こどもとIT

レゴ エデュケーション、新たなプログラミング教材「SPIKE プライム」を日本で発売開始

レゴ社の教育部門レゴ エデュケーションは、新たな学習用プログラミング教材「レゴ エデュケーション SPIKE プライム」(4万5800円)を発売した。様々な形状のブロックとハブ、モーター、外付けセンサー、Scratchベースのソフトウェアなどをセットで提供する。対象となるのは小学校高学年から中学生、高校生で、メインターゲットは中学生となる。

レゴ エデュケーションは今年で40周年目を迎え、幼稚園から大学の研究機関まで幅広い教材を揃えている。今回、中学生をメインターゲットとしたSPIKE プライムを発売したことで、従来中学生に多く使われていたマインドストームのメインターゲットは高校生以上とする。

2020年度から小学校でプログラミング授業がスタートすることから、教育市場向けにプログラミング教材が多数投入されているが、「当社ならではの強みとしては、特別な工具の必要がなく、機器を組み替えることができる。さらに工夫した結果は動きで再現することができる。ほとんどの子どもが一度は遊んだことがある点も強みといえる」(レゴ エデュケーション 日本代表 須藤みゆき氏)とレゴならではの強みがあると話す。

レゴ エデュケーション 日本代表 須藤みゆき氏

SPIKE プライムは、全528パーツ、別売りの「SPIKE プライム拡張セット」から成る。ハードウェアとしては、制御ハブ、モーター2種類、センサー3種類、無料ダウンロードできるソフトウェアがセットとなっている。学校で利用する場合には、生徒2人、1組での利用を想定している。

従来のマインドストームよりも、より簡単に組み立てて利用することができるという。ハブは5×5マスのLEDライトで絵と文字を表示できるほか、6軸のジャイロセンサーを搭載し傾きを計測、スピーカーからはビープ音を出力する。

モーターは高速回転のMモーター、パワーのLモーターの2種類。外付けセンサーは、色を識別するカラーセンサー、物体までの距離を計測する距離センサー、接触と圧力を計測するフォースセンサーの3種類が用意されている。

プログラミング環境は、Scratchベース。ドラッグ&ドロップ方式で簡単にプログラミングが可能で、多彩なブロックを組み合わせることで、生徒のアイデアを具現化することができる。

また、「時期は未定だが、Pythonベースのソフトウェア提供を予定している」(レゴ エデュケーション キーアカウントマネージャー 江口敬介氏)とテキストベースプログラミングにも対応していく予定だ。

レゴ エデュケーション キーアカウントマネージャー 江口敬介氏

「設計と開発」、「生活の中の技術」、「社会とロボット」、「ロボットカー制御」の4つのユニット(テーマ)と、30種類のプロジェクトが用意されている。テーマやプロジェクトに応じたハード、ソフトを組み立てて作り上げていくことができる。

指導する教員向けにも、3つのステップでSPIKE プライムを体験できるスタートガイドをはじめ、授業の流れや動画、モデルやプログラムのヒントを搭載したレッスンプランなどのサポートツールが用意されている。

活用教科としては、小学校高学年では総合的な学習の時間や理科、算数、音楽などを想定。中学校では技術・家庭科など技術分野、高等学校では情報科の情報Iでの利用を想定している。具体的には、ロボットハンドを中学校技術・家庭科に用いて、機構のメカニズムやモデルの検証と改良、センサーを活用した効率的な動作などで利用する。また、物流システムの自動化モデルとして、自動搬送ロボットや産業用ロボットのモデルを組み合わせた物流システムシミュレーションなどに利用。農作物の自動給水モデルは、ネットワーク上の気象データを活用して生物育成、農業技術の考察などに利用できる。

SPIKE プライムを使った、中学校の技術家庭科での具体例(発表会資料より抜粋)

レゴ エデュケーションは、レゴの教育部門として1980年に設立。STEAM教育、ハンズオン学習分野で40年の歴史を持っている。これまで幼児向けの「デュプロ プログラミングトレイン」、小学生向けの「レゴ WeDo2.0」、中学生・高校生・大学生向けの「教育版レゴ マインドストーム EV3」を提供してきたが、新たに中学生から高校生をターゲットとしたSPIKE プライムが加わることで、幅広いSTEAM教育製品が揃うことになる。それぞれのシステムに互換性はないが、「レゴを体験した」という体験に一貫した流れがあるという。

幅広い年代に向けた教材を提供し、「販売して終わりではなく、販売後もレゴを活用して学びを深めていくという取組を一貫して行ってきた。今回、幼稚園から小学生、中学生、さらに高校、大学まで日本の全ての子どもたちにSTEAM教育に取り組めるキットを提供し、接する機会を作っていく」(須藤氏)ことを強くアピールしている。

三浦優子

日本大学芸術学部映画学科卒業。2年間同校に勤務後、1990年、株式会社コンピュータ・ニュース社(現・株式会社BCN)に記者として勤務。2003年、同社を退社し、フリーランスライターに。PC Watch、クラウド WatchをはじめIT系媒体で執筆活動を行っている。