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「Minecraftカップ 2019 全国大会」開幕、教育版マインクラフトを使って“ものづくり”の実力を競い合おう!

子ども達に絶大な人気を誇るマインクラフト。その教育版である「Minecraft: Education Edition」を使って、デジタルものづくりを競い合うコンテスト「Minecraftカップ 2019 全国大会」(主催:Minecraftカップ2019 全国大会運営委員会)の作品募集が始まった。その開催に伴い、2019年3月10日に日本マイクロソフト本社でオープニングイベントが実施された。

「Minecraftカップ 2019 全国大会」オープニングイベントの様子。主催はMinecraftカップ2019 全国大会運営委員会(構成団体:ICT CONNECT21、日本マイクロソフト、ユニバーサル志縁センター)

デジタルものづくりの機会創出をめざす「Minecraftカップ」

Minecraftカップは、教育版のマインクラフト「Minecraft: Education Edition」を用いて、子ども達がデジタルものづくりを競い合うコンテスト。2019年の今年が初めての開催となる。同コンテストは、プログラミング教育や課題解決型学習のツールとして活用が広がるマインクラフトを使い、子ども達がデジタルものづくりに触れる機会創出をめざす。将来、コミュニケーション力やコラボレーションスキルなど21世紀型スキルやプログラミングスキルが求められる今の子ども達であるが、現時点でそうした能力を伸ばすための場は限定的だ。ゆえに、子ども達にとって親しみのあるマインクラフトを使って、遊びのなかで楽しく学べる機会を広げていこうというのだ。

「Minecraftカップ 2019 全国大会」の大会ウェブサイト

今回のMinecraftカップのテーマは、「スポーツ施設のある僕・私の街、ワクワクする『まち』をデザインしよう」。日本はこれから、2019年にラグビーのワールドカップ、2020年には東京オリンピック、パラリンピックなど国際的なスポーツイベントが続く。マインクラフトの世界でスポーツ施設のある街をデザインしながら、自分事として社会を見る目を育もう、というのが今回の大会テーマだ。

Minecraftカップに参加できるのは、15歳以下の男女で構成される3名以上、30名以内のチーム及び、16歳以上のコーチング役、成年の責任者となる。教育版マインクラフトがインストールされた端末を使って、チームで協力しながらひとつのワールドを作成し、2019年8月18日までに作品をオンラインで提出。1ヶ月後の9月23日に日本マイクロソフト本社にて授賞式が開催される予定だ。詳しい応募要項については、本稿の最後に詳細を記載したので参考にしてほしい。

友達同士でアイデアを出し合い、協力してワールドをつくろう

オープニングイベントには、Minecraftカップに参加する学校の生徒や親子らが集まった。同イベントの冒頭では、Minecraftカップの運営委員長を務める東京大学教授、慶應義塾大学教授の鈴木寛氏が登壇。参加者らに「友達とアイデアを出し合い、協力しながらマインクラフトでものづくりを楽しんでほしい。日本はこれから国際的なスポーツイベントが続くが、どんなスポーツ施設のある街が望ましいのかマインクラフトで提案してほしい」と伝えた。

Minecraftカップの運営委員長を務める東京大学教授、慶應義塾大学教授の鈴木寛氏

続いて、基調講演として84歳の最年長プログラマー若宮正子氏が登壇した。今回のMinecraftカップでは、プログラミングやレッドストーン回路を使って作品を作ると加点対象になるため、同氏からはプログラミングで作るものづくりの楽しさについて語られた。若宮氏は「買ってきたおもちゃで遊ぶよりも、自分で自由に動かせるおもちゃの方が面白い。だからプログラミングは楽しい」と語り、自身の開発経験などを述べた。一方で、これから人工知能の時代を生きていく子ども達に向けて「創造的であることが大切だと知ってほしい。人間力がさらに求められるようになるが、ものづくりにはそうした能力を育む場面が多くある。マインクラフトで楽しみながら、自分の世界をどんどん広げてほしい」と述べ、会場の参加者らにエールを送った。

84歳の最年長プログラマー若宮正子氏

単にスポーツ施設を作るのではなく、“街”をつくるアイデアを広げよう

その後は、オープニングイベントの進行役を務めた一般社団法人未踏 未踏ジュニア代表の鵜飼佑氏から、Minecraftカップの作品募集に向けて説明された。そもそも、スポーツ施設のあるワクワクする街とはどんなものか。参加者らは、インドの教師がマインクラフトで作成したというスポーツのワールドにアクセスし、実際に中に入ってその様子を確認、自分たちが作るイメージを膨らませた。

参加者たちは、インドの教師がマインクラフトで作ったクリケットの競技場にアクセスして、ワールドを体感した

鵜飼氏は、単にスポーツの競技場を作るのではなく、さまざまな要素やアイデアが散りばめられた“街”をつくろうと参加者に呼びかけた。例えば、「競技場の周りに公園が整備された街」や「パラリンピックのアスリートに配慮したスロープの多い街」など、スポーツ選手や観戦者、観光客が楽しめる街や、社会課題の解決につながる街をつくろうと提案した。

オープニングイベントの進行役を務めた一般社団法人未踏 未踏ジュニア代表鵜飼佑氏(左)と、YouTuberのはるてぃーさん

またMinecraft公式プロマインクラフターでマイクロソフト認定教育イノベーターのタツナミシュウイチ氏からは、レッドストーン回路に関する基本的な操作説明が行われた。というのも、子ども達の多くはマインクラフトを楽しんでいるが、高度なものづくりを可能にするレッドストーンの扱いについてはむずかしいと感じる傾向にある。そこで、タツナミ氏から参加者に向けてレッドストーン回路をつかえば、どのようなことがマインクラフトの世界で実現できるのか説明がされた。繰り返しになるが、今回のMinecraftカップでは、レッドストーン回路やプログラミングを駆使すれば加点対象になるからだ。

Minecraft公式プロマインクラフターでマイクロソフト認定教育イノベーターのタツナミシュウイチ氏
タツナミ氏が自作したワールドで、レッドストーン回路の特性を学ぶ参加者たち

ほかにも参加者たちは、マインクラフトのワールドの中でプログラミングを体験した。教育版マインクラフトでは、マイクロソフトが開発したプログラミング環境「MakeCode」を使用すればプログラミングを使ったものづくりが可能だ。これが出来るようになると、ワールドの中に巨大な競技場を瞬時に作ったり、同じ建物をいくつも複製することができる。子ども達は「歩いた足元に花を咲かせる」といった簡単なプログラミングに挑戦し、効率的なものづくりを体感した。

マインクラフトの中でプログラミングを体験

大会参加者には、教育版マインクラフトのアカウントを貸与

最後に「Minecraftカップ 2019 全国大会」に関する募集要項について紹介しよう。

今回、コンテストへ応募するにあたり教育版マインクラフトを入手する必要があるが、通常、このアカウントは教育機関でしか使用できないものとなっている。しかし、Minecraftカップへ応募する全ての参加者については、募集期間中に教育版マインクラフトのアカウントが貸与されるので、ぜひ取得してコンテストにチャレンジしてみてほしい。学校などで、すでに教育版マインクラフトを利用可能な場合は、そのアカウントを使って参加することもできる。その場合は、アカウント貸与の申し込みはせずに、作品応募をすることで問題ない。

さらに、もうひとつ。今回のコンテストではマインクラフトで作品をつくり、応募する際に、3分間の説明動画が必要である点も要注意だ。どのように工夫したのか、見どころはどこか、動画の中でしっかりアピールしよう。以下にMinecraftカップの応募要項を一部抜粋するが、詳しくは公式サイトを参照のこと。

「Minecraftカップ 2019 全国大会」応募要項
大会テーマスポーツ施設のある僕・私の街
ワクワクする「まち」をデザインしよう
応募期間2019年3月10日(日)~8月18日(日)
参加対象15歳以下の男女で構成される3名以上30名以内のチーム及び16歳以上のコーチング役、成年の責任者
必要な環境Minecraft: Education Edition(教育版マインクラフト)がインストールされ、インターネットに接続された Windows 10、Mac OSX、iPad のいずれかが動作する端末、相互の端末が接続されたLAN
プログラミング作品(ワールド)のテーマスタジアムや運動場、体育館などのスポーツ施設とこれと連携して利用される施設のある町に住んだり訪れたりすることで、暮らす全ての人々が充実した暮らしをすることができるワールドを開発する

マインクラフトでのプログラミングや建築テクニックについては、書籍も多数発刊されているので参考にするとよいだろう。マインクラフトを活用したデジタルものづくりは、子ども達の創造性を刺激する。マインクラフトで遊んだことがない子ども達であっても、アイデアを出したり、動画を撮影したりするなど協力できることがたくさんある。いろんな仲間とつながりながら作品を作り、応募してみよう。

編集部