新生活特集2018

新年度はスーツ選びとお手入れ方法にこだわりを!

ビジネスマンは第一印象が命。話し方や挨拶、そして身だしなみや清潔感などが重要とよく言われます。これから社会へ飛び出すフレッシャーズはもちろん、新年度にスーツを新調する人も多いのではないでしょうか。

みなさんはスーツを選ぶときに、何を基準に選んでいますか? 何着着まわしていますか? 社会人となってスーツを着ることになったとき、上司や先輩、ショップの方に人からいろいろ教わったと思います。基本的なことでも時間が経つと、ついつい忘れてしまっていることもあるかもしれません。

新年度を迎えるこの時期に、あらためてスーツのことを考えてみませんか? 最近のスーツのトレンド、年代別の着こなし術、スーツのメンテナンスなどについて、洋服の青山 池袋東口総本店 橋本 匡平店長に話を聞いてきました。

クラシックに機能性スーツ……でも大切なのはフィッティング

「最近のスーツのトレンドは『クラシコイタリア』スタイルです。肩のパッドを抜いて全体的にやわらかめな印象の着こなしで、Vゾーンが浅めになっていたり、ちょっと色気を出す雰囲気のスーツが人気です」

クラシックを意味する「クラシコ」。クラシコイタリアとはその名のとおり、イタリアの伝統を受け継ぐ定番的なスタイルで、クラシコイタリアのスーツは世界中で人気となっています。伝統を受け継いでいるから古臭いというわけではなく、そこにイタリアと並んでスーツの本場であるイギリスのヴィンテージっぽい生地を採用していたり、現在のテイストに合わせてクラシックを取り入れるスタイルだそうです。

また、最近ではウォッシャブルをはじめ、さまざまな機能を搭載するスーツが増えています。これまではウール100%で産出地にもこだわっていた海外の有名ブランドでも、積極的に新しい機能を取り入れる流れとなっているそうです。

「当社で扱っているスーツもほとんどにストレッチ機能が入っています。そして、いろいろなパーツにストレッチ機能が入っているため、動きやすく、着用時にシルエットも美しくなります。肩のパッドも抜いて生地も薄くなっているため、とても軽いのも特徴です」

肩にパッドが入ったスーツが主流だったころは、ずっしりと重量もあり、少しダボっとした感じで体を隠すようなスーツが多かったですが、いまはストレッチや形状記憶機能も搭載し、スタイルを活かす感じのスーツがトレンドになっています。また、機能性スーツであるとはいえ、やはりジャストサイズのスーツを選ぶのが大切とのこと。

最近のスーツにはさまざまなパーツにストレッチが入っているため、自分にジャストサイズのスーツを選ぶと、皺が出ずにキレイに見えます。後ろ姿も鏡でチェックしましょう

たとえば、洋服の青山では身長で5cm、ウエストで2cm刻みで揃っています。きちんとサイズが合っていると、袖の長さや着丈、背中、肩などに皺が出にくくキレイに見えて、それだけで印象がだいぶ変わるそうです。オシャレな感じに見える人は、自分のサイズに合わせてフィッティングしていることが大きいようです。もちろん、その後の体型キープも大切ですが。

年代ごとのスーツ選びのトレンドは?

そうしたトレンドも踏まえて、各年代ごとのスーツ選びのアドバイスもいただきました。

フレッシャーズや20代若手の人にオススメのコーディネート

まずフレッシャーズをはじめ、20代の若手の人にオススメなのは、シャドーストライプが入ったネイビーのスーツ。5~6年前の入社式では黒のスーツが中心でしたが、最近では7~8割がネイビーベースのスーツだそうです。若手ならではのフレッシュさや誠実さをアピールしやすいカラーです。

「とくにフレッシャーズの方のように着数が少ない場合には、シャツのタイプやカラーで着こなしのコーディネートの幅も広がります。まずは白ベースを揃えておくのがオススメです」

また、最近は若い人の間でジレスタイルも人気になっており、セレクトショップでもコーナーができるなど盛り上がりを見せているそうです。女子ウケもいいジレをセットで購入しておくのもいいかもしれません。

30代~40代のオススメのコーディネート

スーツへのこだわりが出て、自由に好きなものを選べるようになる30代は、きちんと知識を身につけて来店する人が増えているそうです。

「着こなしにこなれ感が出てくるのが30代です。ライト系のスーツを着ても、コーディネートにもストライプが強いタイプを選んでも違和感なく、落ち着いた雰囲気を壊すこともありません」

足元のオシャレもいちばん楽しむのが30代でもあるそうです。フレッシャーズではベーシックなストレートチップやプレーンのシューズからはじまり、30代ではモンクストラップやウイングチップ、チャッカブーツなどを楽しみ、最終的にストレートチップに戻る人が多いとのこと。

50代のオススメのコーディネート

さらにキャリアを積んだ50代になってくると、やはりオールグレーやダークネイビーといった落ち着いたスーツを選ぶ人が多いそうです。

「シャツの襟に関しても、ワイドよりはレギュラーやセミワイド、ボタンダウンを選ぶ方が多いですね。30代や40代のときよりも落ち着いた印象になります。また、新年度の時期にはあえて爽やかなコーディネートされる方もいます。自然に貫禄というか雰囲気が出てしまうため、まわりに溶け込むように気を配ることもできるのが、この年代だと思います」

また、年代ごとにスーツの襟の幅も少しずつ広くなっていき、丈も少しずつ長くなっていく傾向があるとのこと。わずかな差が落ち着いた印象をつくっていくそうです。

左が30代、右が50代のコーディネート。50代のほうが襟の部分が少し広くなっています
こちらも50代のほうが少し丈が長くなっています

スーツ姿をワンランクアップさせるテクニック

自分の年齢やサイズに合ったスーツを見つけたあとに、スーツ姿をワンランクアップする着こなしポイントについても話をうかがいました。シューズとベルトの色を合わせるのが基本とよく言われますが、そのほかにもポイントはいろいろあります。橋本店長は、企業に出向いて着こなし講座を開催することもあるそうですが、キャリアを積んで質の良いスーツを着ている人でも、きちんと着こなせていないこともあるそうです。

・袖口から出るシャツは1cm
両手を自然に下ろしたときに、シャツの袖が1cmくらい見えるのが美しい長さ。これはどの年代でも同じです。

・パンツの裾丈にもトレンドあり
シューズを履いてパンツを試着しますが、その裾丈にもトレンドがあります。シューズに少しだけ裾が当たるハーフクッションにする人が多いそうです。若い人はギリギリ当たらないくらいのノークッションで、ファッショナブルに着こなす人はくるぶしを出すように裾丈を調整しています。

シャツの袖は1cm
ノークッション

・着丈の高さはヒップトップ
20代はお尻のいちばん高いところに丈がかかるくらいがスタイリッシュに見えて人気。年齢が上がるにつれて、丈も少しずつ長くなっていきます。

・パンツは腰骨の位置でしっかり止める
パンツが下がってしまうとダボついてしまいます。ウエストも余裕がありすぎるとグニャっとしてしまうので、腰骨の位置でしっかり止めます。

・パンツのクリース(センターライン、折り目)もケアしよう
パンツに立体感を与え、足のラインを長くキレイに見せる効果があります。ラインが消えていると、だらしなく見えてしまいます。スチームを使いながら当て布をしてプレスをしましょう。

・ラペル(下襟)の幅とネクタイの幅を揃える
ラペル(下襟)の幅とネクタイの幅を揃えると、見た目のバランスがとてもよくなるそうです。ネクタイを選ぶときに意識しましょう。

・ゴージライン(襟刻み)の角度とシャツの襟の角度を意識する
上襟ラペルの縫い目線がゴージライン(襟刻み)。シャツの襟の角度とゴージラインの角度が平行に近いと、よりスタイリッシュな印象になります。シャツを選ぶときには、襟の角度も意識しましょう。

ラペルの幅とネクタイの幅を揃える
ゴージラインの角度とシャツの襟の角度を意識

・ネクタイにディンプル(くぼみ)をつくる
フレッシャーズの人は最初はたいへんかもしれませんが、ディンプル(くぼみ)をつくることによって、立体感が出てスタイリッシュな印象になります。

・ポケットチーフの活用
結婚式などのフォーマルシーンでしか使わない人も多いかもしれませんが、ビジネスシーンでもだいぶ定着してきたそうです。清潔感アップにもつながります。また、日ごろからつけていると、結婚式などで使う際には、慣れていない人とかなり印象に差が出るとのこと。

ディンプル例
ポケットチーフ例

人間よりも休息が多く必要なスーツ

どんなに高級なスーツであれ、自分にジャストサイズのスーツであれ、実際に日々のお手入れを怠れば当然スーツは長持ちはしません。最後にスーツと長く付き合うコツをうかがいました。

「スーツは1日着たら2~3日休ませてあげるのが理想です。着数の問題もあると思いますので、最低でも中1日は休ませてあげてください。そして、その際は専用のハンガーを使っていただけたらと思います」

フレッシャーズや若手の人は、そんなに着数に余裕もないかもしれませんが、中3日であれば2~3着でローテーションを組むことができます。ただし、大事なことはスーツ専用のハンガーを使うこと。

専用のハンガーを

「ウールは汗や湿気を吸収し発散する素材で、皺を自ら戻して疲れも回復します。そのためにも専用ハンガーにかけることをオススメします。クリーニングから戻ってきたハンガーをそのまま使ってしまう人が多いですが、このハンガーの差は大きいのです」

心当たりのある人も多いのではないでしょうか。クリーニング屋さんの黒ハンガー。クリーニング後にそのまま使いがちですが、いまは肩のパットが入っていないスーツが主流なので、細いハンガーだと跡がついてしまい、着用時にキレイにならずに崩れてしまうとのこと。とくに最近のスーツは曲線にこだわってつくられているので、ハンガーは重要なポイントになります。

パンツに関しても同様です。折り畳んでハンガーにかけてしまうと、畳んだラインがパンツに入ってしまいます。やはり専用のハンガーで吊るすのがオススメです。裾を上にしてウエスト部分を下にすることで、重みで皺が伸びてキレイにな状態を維持できます。

パンツも専用ハンガーに

また、スーツのクリーニング回数も重要なポイント。ちょっと皺っぽくなるとクリーニングに出してしまう人も多いそうですが、このクリーニングの出し過ぎはスーツを痛める原因になるそうです。

「スーツのクリーニングは基本的には1シーズンに1回で十分です。やはりクリーニングをすることでスーツの表面を痛める原因になります。ローテーションがやはり大切で、それでも汗やニオイが気になるときは専用スプレーでケアをして、できるだけクリーニング回数を減らしましょう」

とはいえ、いまの日本の夏はかなり暑いので、夏場はウォッシャブルを活用したり、パンツはスラックスにしたり、工夫をすることでクリーニング回数を抑えることができます。ちなみにクールビズで夏場はシャツだけという人も多いと思いますが、その際にもスラックスを活用するのがオススメです。秋になったらスーツのパンツの色が変わっている……ということもよくある話だそうです。とくに既製品のスーツはパンツを買い足すことができないので、ツーパンツの人気も非常に高くなっています。

足元のシューズもスーツ同様にメンテナンスが必要です。

「連続着用は避けましょう。1日履くとコップ1杯分の汗をかくといわれています。シューズもローテーションという意味で2~3足揃えておくことをオススメします」

シューズのお手入れに関しては、帰宅後はその状態のままで、夜から朝にかけて自然に水分を飛ばします。そして乾いたタイミングでシューズキーパーに入れます。1~2日休ませることで、シューズキーパーが残っているわずかな水分を吸い取り皺を伸ばします。

いかがでしたか? これからの新年度でスーツを新調予定の人はぜひ試してみてください。

スーツのお手入れもお忘れなく