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小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート

2017年9月17日、東京都江東区のBumB東京スポーツ文化館で「WRO Japan 2017」(以下、WRO2017)の決勝大会が開催された。WRO2017は、世界の小中高生によるロボット競技会で、今回で14回目となる歴史のある競技会である。この決勝大会には、全国37の予選会を勝ち上がってきた121チームが参加し、レベルの高い競技が行われた。

レギュラーカテゴリーとオープンカテゴリーの2カテゴリーで開催

WRO2017は、レギュラーカテゴリーとオープンカテゴリーの2つのカテゴリーに分かれて競技が行われる。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 会場の様子
会場の様子

レギュラーカテゴリーは、設定されたコースの課題をクリアする自律型ロボットを組み立て、そのクリアタイムや達成度を競う競技であり、サプライズルールと呼ばれる一部ルールの変更が当日の朝に発表されることがユニークだ。難易度によって、経験者向けのエキスパート競技と初心者向けのミドル競技に分けられており、エキスパート競技は、小学生、中学生、高校生のそれぞれについて課題やコースが異なり、ミドル競技は全て同じコースと課題となる。また、エキスパート競技では、プレゼンシートの掲示と審査員によるプレゼン審査もあわせて行われる。レギュラーカテゴリーは、「レゴ マインドストームEV3」を使ってロボットを製作することになっており、各チームともハードウェアについては同一条件で競うことも特徴だ。

小学生部門の課題は、「大切な動物たちを守れ!」というもので、逃げ出した動物をそれぞれの動物がもといたエリアに戻すというのがミッションだ。また、中学生部門の課題は、「Carbon Neutrality」であり、ソーラーパネルの設置と樹木の植栽がミッションである。高校生部門の課題は、「Renewable and Clean Energy」であり、3台の風力発電機を建設することがミッションだ。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート レギュラーカテゴリーのチームがロボットを組み立てている様子
レギュラーカテゴリーのチームがロボットを組み立てている様子
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート レギュラーカテゴリー 高校生部門の設定コース
レギュラーカテゴリー 高校生部門の設定コース

オープンカテゴリーは、設定されたテーマに基づいてロボットを作り、当日展示と発表を行うものだ。プレゼンビデオとレポートによって事前審査が行われ、決勝大会には選抜された全14チームが参加した。決勝大会では、それぞれのチームのブースを設営し、審査員に対してプレゼンを行い、評価が付けられる。2017年のオープンカテゴリーのテーマは「Robots for Sustainability」であり、日本語に訳すと「持続可能性のためのロボットを作成せよ」となる。こちらは、「レゴ マインドストームEV3」以外のパーツを使用してもよい。オープンカテゴリーは、アイデア勝負という要素も大きく、バラエティに富んだロボットが展示されていた。

本稿では、オープンカテゴリーの様子を中心にレポートする。

オープンカテゴリーでは完成度の高いロボットが多数展示

オープンカテゴリーの展示スペースには、今回の「Robots for Sustainability」というテーマに合致したさまざまなロボットが展示されていた。その中から主なものを紹介する。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 開会式後、オープンカテゴリーの選手達はブースの設営を行う。ブースの設営もコーチや保護者が手伝ってはならない
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 開会式後、オープンカテゴリーの選手達はブースの設営を行う。ブースの設営もコーチや保護者が手伝ってはならない
開会式後、オープンカテゴリーの選手達はブースの設営を行う。ブースの設営もコーチや保護者が手伝ってはならない

高校生部門「Chig RPMs」チームの「SOLAR COOKER」

高校生部門の「Chig RPMs」は、太陽の光を追いかけて、太陽光で調理を行う「SOLAR COOKER」を展示。太陽の動きにあわせて、太陽光を集めるパラボラ鏡が動く仕組みだ。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 太陽の位置を緯度と経度から逆算して自動的に角度を調整する「SOLAR COOKER」
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 太陽の位置を緯度と経度から逆算して自動的に角度を調整する「SOLAR COOKER」
太陽の位置を緯度と経度から逆算して自動的に角度を調整する「SOLAR COOKER」

高校生部門「Ceres」チームの「潔」「截」「諧」

「Ceres」は、海岸に大量に流れ着き、悪臭などの原因となっているアオサを肥料に変えるための3台のロボット「潔」「截」「諧」の展示やデモを行っていた。

アオサを洗浄する「潔」の動作の様子。水の中でゆすいで塩分などを除去する
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 「アオサ」を肥料に変えるために、「潔」「截」「諧」の3台のロボットを作成した
「アオサ」を肥料に変えるために、「潔」「截」「諧」の3台のロボットを作成した
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 左が水だけで育てた小松菜、右がアオサ肥料を混ぜた土で育てた小松菜。明らかに右の方が大きく生長している
左が水だけで育てた小松菜、右がアオサ肥料を混ぜた土で育てた小松菜。明らかに右の方が大きく生長している
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート アオサを細かく切り刻む「截」
アオサを細かく切り刻む「截」
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート アオサから作った肥料と土を混合する「諧」
アオサから作った肥料と土を混合する「諧」

高校生部門「おばあちゃんの知恵袋」チームの紙をホウキに加工するロボット

「おばあちゃんの知恵袋」は、不要な紙をホウキに加工する大がかりなロボットを展示。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 紙を折る、紙の選別、加工、を三段に分けて行う
紙を折る、紙の選別、加工、を三段に分けて行う
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート ホウキ作成ロボットの全景、非常に大がかりなシステムとなっている
ホウキ作成ロボットの全景、非常に大がかりなシステムとなっている

高校生部門「ISC」チームの「EASY-III」

「ISC」は、ベッドから車いすへの移動をサポートする移乗ロボット「EASY-III」のデモを行っていた

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 移乗ロボット「EASY-III」
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 移乗ロボット「EASY-III」
移乗ロボット「EASY-III」
EASY-IIIの動作の様子。ベッドから車いすへの移乗を介護者に負担をかけずにできる

高校生部門「山脇学園SIクラブ」チームの「緑化ロボット」

「山脇学園SIクラブ」は、砂漠化の進む地域で緑を増やすための緑化ロボットのデモを行っていた。モーターで種子を吸引し、散布する仕組みだ。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 砂漠化の進む地域を走行し、カラーセンサーで乾燥地を検知、モーターで種子を吸引し散布
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 砂漠化の進む地域を走行し、カラーセンサーで乾燥地を検知、モーターで種子を吸引し散布
砂漠化の進む地域を走行し、カラーセンサーで乾燥地を検知、モーターで種子を吸引し散布
緑化ロボットの動作の様子

高校生部門「Enter」チームの「スサノオ」

「Enter」は、間伐作業を行うロボット「スサノオ」をデモしていた。スサノオは間伐材の判断を行う親機と、実際に木を切る子機から構成されており、画像認識を行うなど技術的なレベルが高かった。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート スサノオは、親機が画像認識により間伐が必要な木を選別、子機がその情報を元に間伐する
スサノオは、親機が画像認識により間伐が必要な木を選別、子機がその情報を元に間伐する
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 親機のカメラ部分。カラーCCDカメラと画像認識用カメラを搭載する
親機のカメラ部分。カラーCCDカメラと画像認識用カメラを搭載する
木を切る子機の動作の様子

高校生部門「福岡県立香椎工業高等学校作品製作部」チームの「大気集水ロボット」

「福岡県立香椎工業高等学校作品製作部」は、大気中に含まれる水蒸気を冷やすことで水に変えるロボットを展示していた。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 大気から水を作り出すロボット。ペルチェ素子などへの電力供給はソーラーパネルから行われる
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 大気から水を作り出すロボット。ペルチェ素子などへの電力供給はソーラーパネルから行われる
大気から水を作り出すロボット。ペルチェ素子などへの電力供給はソーラーパネルから行われる

中学生部門「crafts men」チームの、土壌に含まれている瓦礫や有害物質を取り除く装置

中学生部門の「crafts men」は、土壌に含まれている瓦礫や有害物質を取り除く装置の展示とデモを行っていた。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 土壌から瓦礫や有害物質を取り除き、化学薬品で中和したうえで、肥料を投入する
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 土壌から瓦礫や有害物質を取り除き、化学薬品で中和したうえで、肥料を投入する
土壌から瓦礫や有害物質を取り除き、化学薬品で中和したうえで、肥料を投入する
土壌から瓦礫や有害物質を取り除く装置の動作の様子

中学生部門「Otemon Quest」チームの「しゅわっと君」「はなちゃん」

「Otemon Quest」は、音声を認識して手話に変換する「しゅわっと君」と文字入力装置「はなちゃん」のデモを行い、注目を集めていた。タブレットで音声を認識し、カラーコードに変換。それをEV3のカラーセンサーで読み取り、ロボットへと伝える。プレゼンも手話を交えて行うなど、全体的なレベルの高いデモであった。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 音声を認識して手話に変換する「しゅわっと君」、プレゼンも手話を交えて行っていた
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 音声を認識して手話に変換する「しゅわっと君」、プレゼンも手話を交えて行っていた
音声を認識して手話に変換する「しゅわっと君」、プレゼンも手話を交えて行っていた
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 腕型ロボットしゅわっと君の中身
腕型ロボットしゅわっと君の中身
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 手で文字を入力するための「はなちゃん」
手で文字を入力するための「はなちゃん」
しゅわっと君の動作の様子。画面に表示されるカラーコードを読み取って動作する

中学生部門「奈良教育大附属中 Astro Boys」チームの移動アシストロボット

「奈良教育大附属中 Astro Boys」は、自律走行が可能な移動アシストロボットを展示していた。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 独自のサスペンション機構を備え、深度センサーにKinectを使った、移動アシストロボット
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 独自のサスペンション機構を備え、深度センサーにKinectを使った、移動アシストロボット
独自のサスペンション機構を備え、深度センサーにKinectを使った、移動アシストロボット

小学生部門「TOKYO-gg」チームの守護神ロボット

小学生部門の「TOKYO-gg」は、畑を荒らす害獣を追い払う守護神ロボットの展示やデモを行っていた。“守護神”はダイナミックに走り、腕が回転し、光で威嚇する。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 畑を荒らす害獣を追い払う守護神ロボット、ダイナミックに走り、害獣をセンサーが検知すると、トラが回転し、目のLEDが光るしくみ
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 畑を荒らす害獣を追い払う守護神ロボット、ダイナミックに走り、害獣をセンサーが検知すると、トラが回転し、目のLEDが光るしくみ
畑を荒らす害獣を追い払う守護神ロボット、ダイナミックに走り、害獣をセンサーが検知すると、トラが回転し、目のLEDが光るしくみ
“守護神”の動作の様子

小学生部門「FrozenBlizzad」チームの海水面上昇を防ぐロボット

「FrozenBlizzad」は、地球温暖化で解けた氷を再び元に戻すことで、海水面上昇を防ぐロボットの展示とデモを行っていた。この作業は、3台のロボットが分担して行う仕組みであり、こちらも小学生とは思えない立派なプレゼンを行っていた。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 温暖化で解けた水を再び氷山に戻し、海水面上昇を防ぐロボットを作成し、プレゼンした
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 温暖化で解けた水を再び氷山に戻し、海水面上昇を防ぐロボットを作成し、プレゼンした
温暖化で解けた水を再び氷山に戻し、海水面上昇を防ぐロボットを作成し、プレゼンした
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 氷山を見つけて、その高さを測る「探査ロボ」
氷山を見つけて、その高さを測る「探査ロボ」
小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート 左が水くみ上げロボ、右が噴射ロボ
左が水くみ上げロボ、右が噴射ロボ
探査ロボの動作の様子。氷山を見つけたら高さを測る
水くみ上げロボと探査ロボが連携して、水を別の氷山に吹き付ける$$

コスタリカでのWRO国際大会へは10チームが進出

展示や競技、審査がすべて終わったのちに、表彰式が行われた。

オープンカテゴリーの最優秀賞は、音声を認識して手話に変換する「しゅわっと君」と文字入力装置「はなちゃん」の「Otemon Quest」チームが選ばれた。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート オープンカテゴリー最優秀賞「Otemon Quest」チーム
オープンカテゴリー最優秀賞「Otemon Quest」チーム

最後に、表彰を受けたチームの中から、2017年11月10日にコスタリカで開催されるWRO国際大会進出チームが発表された。

オープンカテゴリーからは、最優秀賞の「Otemon Quest」に加え「福岡県立香椎工業高等学校 作品製作部」「Frozen Blizzard」の3チーム、レギュラーカテゴリーからは「ウルトラS」「Space hero」「サンダーバード1号」「ロボターズ3」「Color Creators」「IZUMI・MIYAZAKI」「KKT+α」「YTHS E.boys」「Team Axis」「しおこしょう」の10チームが選ばれた。

レギュラーカテゴリーのエキスパート競技やミドル競技の、各部⾨の表彰チームは以下の通り。

レギュラーカテゴリー(エキスパート競技)
エキスパート:高校生
表彰NOチーム名学校名
優勝9KKT+α山梨県立甲府工業高等学校
準優勝23YTHS E.boys愛媛県立八幡浜工業高等学校
3位12Team Axis富山高等専門学校
エキスパート:中学生
表彰NOチーム名学校名
優勝47ロボターズ3新発田市立猿橋中学校
準優勝52Color Creators洛星中学・立命館中学
3位57IZUMI・MIYAZAKI都城泉ヶ丘高等学校附属中学校
エキスパート:小学生
表彰NOチーム名学校名
優勝69ウルトラS静岡大学附属浜松小学校
準優勝70Space hero立命館小学校
3位67サンダーバード1号氷見市立十二町小学校・富山市立鵜坂小学校・砺波市砺波南部小学校
レギュラーカテゴリー(エキスパート競技)プレゼン審査
プレゼン審査:高校生
表彰NOチーム名学校名
最優秀賞5Dengiken δ芝浦工業大学附属高等学校
優秀賞13HAYABUSA福井県立高志高等学校・福井県立武生東高等学校
プレゼン賞23YTHS E.boys愛媛県立八幡浜工業高等学校
プレゼン審査:中学生
表彰NOチーム名学校名
最優秀賞44Dengiken T O芝浦工業大学附属中学校
優秀賞46TONAN.JP筑波大学附属中学校
プレゼン賞57IZUMI・MIYAZAKI都城泉ヶ丘高等学校附属中学校
プレゼン審査:小学生
表彰NOチーム名学校名
最優秀賞72かみかむかめかむかもRD-β尼崎市立杭瀬小学校・神戸市立御影北小学校・神戸市立渦が森小学校
優秀賞69ウルトラS静岡大学附属浜松小学校
プレゼン賞67サンダーバード1号氷見市立十二町小学校・富山市立鵜坂小学校・砺波市砺波南部小学校
レギュラーカテゴリー(エキスパート競技)審査員特別賞
表彰NOチーム名学校名
小学生部門75Step By Step石垣市立平真小学校
中学生部門47ロボターズ3新発田市立猿橋中学校
高校生部門10しおこしょう横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校
レギュラーカテゴリー(ミドル競技)
ミドル:高校生
表彰NOチーム名学校名
優勝103Blue Mountain Bridge茨城県立土浦工業高等学校
準優勝108TOGAKUメカトロ東海学園高等学校
3位109Team Happy Futures幸福の科学学園関西高等学校
ミドル:中学生
表彰NOチーム名学校名
優勝126つばた津幡町立津幡中学校
準優勝131パイレーツ豊中市立第八中学校・箕面市立第六中学校
3位125BNR-34松本秀峰中等教育学校
ミドル:小学生
表彰NOチーム名学校名
優勝161アミークスR2.S沖縄アミークスインターナショナル 小学校
準優勝該当なし--
3位該当なし--
オープンカテゴリ―
表彰NOチーム名学校名
最優秀賞212Otemon Quest追手門学院大手前中学校
優秀賞209福岡県立香椎工業高等学校作品製作部福岡県立香椎工業高等学校
優秀賞222FrozenBlizzard世田谷区立中丸小学校・横浜国立大学教育学部附属横浜小学校

WROが目指すのは「世界を執れる、世界を変える人材」の育成

メディア向けに行われた説明会では、WRO Japan実行委員長の渡辺登氏がWROの概要や歴史についての説明を行った。

小中高生13チームのロボットが国際大会に進出!――国際ロボット競技会 WRO Japan 2017レポート WRO Japan実行委員長の渡辺登氏
WRO Japan実行委員長の渡辺登氏

渡辺氏はまず、「ロボットや人工知能の進化によって、人間の仕事が機械にとって代わられるようになるという主張を聞くようになった。20世紀と21世紀ではロボットを作るということの意味も変わってきた。20世紀では、ロボットを作るというのは、機械を組み立てそれを制御するということであったが、21世紀では、ロボットを作ることというのは、ITや人工知能と同義になった」とロボットの発展を語った。

WROは、青少年の創造性と問題解決力を図る目的で、シンガポール国立サイエンスセンターの発案により2004年から開催された。現在は50以上の国や地域から、25,000チームが参加するほどの規模に成長している。

WROでは、まず国内公認の予選会が開催され、そこで選抜されたチームがWRO Japan決勝大会に進み、さらにその上位チームがWRO国際大会へと進む。日本の選抜チームは国際大会でも優秀な成績を残しており、2014年にロシア・ソチで開催された国際大会では、オープンカテゴリーの中学生部門で、奈良教育大学付属チームが見事優勝を果たしたという。

続いて、WRO Japan in EHIME実行委員会の佐伯淳氏が「運営・指導面からみたWROの意義」と題した講演を行った。

日本ではさまざまなロボット大会が開催されており、その年間開催数は100を超えるが、佐伯氏によると、それらのロボット大会にはちょっと問題があるという。その問題とは、「お金がかかる」「再利用が困難」「競技のための環境を整えすぎ」「前提となる知識のハードル」といったものである。

そうした問題を全てクリアしたロボット競技会がWROだと佐伯氏は言う。世界中で共通で手に入る「レゴ マインドストーム」を使うため、お金だけで解決することができず、選手の知力、体力、発想力などを総動員して取り組まないと勝つことはできない。また、WROでは競技中、選手と指導者が隔離されることも特徴だ。当日朝に行われるルールの追加・変更の「サプライズルール」には、選手だけで対応を考える必要があるため、教育効果が非常に高いという。また、選手のために用意された環境は最低限であり、様々な環境に対応する必要がある。「WROが目指す人材像は、世界を執れる人材であり、世界を変える人材だ」と佐伯氏は語った。

石井英男

PC/IT系フリーライター。ノートPCやモバイル機器などのハードウェア系記事が得意。最近は3DプリンターやVR/AR、ドローンなどに関心を持ち、取材・執筆を行っている。小中学生の子どもを持つ父親として、子どもへのプログラミング教育やSTEM教育にも興味があり、CoderDojo守谷のメンターとして子どもたちにプログラミングを教えている。