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スマホ疲れに「セロ活」 「ドパガキ」の時代に考えるネットとの距離
2026年10月15日 08:20
ネットとの付き合い方が世界で問われ始めています。そんななか、若い女性は「セロ活」によって、自分を整えているという調査があります。
セロ活とは、「セロトニン」を意識する活動を指し、"スマートフォンに戻るために自分を整えるエネルギーチャージ行動"(SHIBUYA109 lab.)とのこと。
セロトニンは、脳内で情報を伝える神経伝達物質の一つです。気分を安定させ、不安やイライラを和らげる働きがあることから、「幸せホルモン」とも呼ばれます。セロトニンは、夜になると睡眠を促す「メラトニン」の材料にもなるため、睡眠の質とも関わっています。
SHIBUYA109 lab.によると、「山手線一周ウォーキング」を行なってVlogにまとめたり、チャームチェーンにビーズやカプセルトイを組み合わせるなどの「クラフト体験」に没頭するような行動が「セロ活」とされています。
「セロ活」という言葉自体は新しい言葉ではなく、『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(有田秀穂著)の中でも提唱されています。こちらでは、太陽光を浴びること、歩行関連の運動、腹筋を使う「吐く」呼吸運動、しっかりと噛む咀嚼運動という日常的な習慣によってセロトニン神経を活性化させることが推奨されています。
こうした活動が注目されるのは、誰もが「スマホを見過ぎている」ことになんらかの問題意識を持っているからだと思われます。
ネットで話題の「ドパガキ」は自虐の言葉
ここのところ、ネットなどで「ドパガキ」というワードが散見されるようになりました。「ドパガキ」とは「ドーパミン中毒のガキ」を略したネットスラングです。ショート動画やSNS、ゲーム、配信などから常に強い刺激を求め、一瞬の退屈にも耐えられない状態の人を指します。
もともとは刺激的なコンテンツに夢中な若者を揶揄する言葉でした。しかし今では、若者だけでなく大人も「私、ドパガキだから」と自虐的に使う人も増えています。「2026年秋の高校生向けトレンド調査」(渋谷トレンドリサーチ)では「今流行っている言葉」の2位(14%)に入り、友達同士で呼び合って笑う「愛称」のように使われています。
また、最近では大人版の「ドパおじ」「ドパおば」や、気分が最高に高ぶった状態を表す「ドパい」といった派生語も生まれています。
ネットでは「ドパガキ(ドーパミン)」と「セロトニン」が対比で語られますが、実際はどちらも脳内で情報を伝える神経伝達物質で、同じ脳の中で同時に働き、互いに影響し合っています。
また、ドーパミンは「快楽物質」と呼ばれることが多いものの、その本質は「期待」や「やる気」にあると考えられています。目標に向かって努力する意欲や、勉強や仕事をやり遂げたときの達成感にも関わっているため、なくてはならない物質です。
とはいえ、手っ取り早い刺激を求めて長時間ネットから離れられず、実際の生活に支障が出ている場合、ネットとの付き合い方を見直した方が良さそうです。
ネットから離れられない仕掛け
「友人とのメッセージが盛り上がってしまった」「もう寝たいと思いながらショート動画を見続けてしまった」などの理由でついスマホの利用時間が延びることは、ままあることです。実際のところ、どれぐらいネットを利用しているのでしょうか。
総務省の「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書概要(2026年6月)」によると、平均ネット利用時間は全年代で平日が183.9分、休日が192.9分で、経年で見ると増加傾向にあります。年代別に見ると、平日のネット平均利用時間は20代が266.9分でもっとも長く、10代が228.3分、30代が225.5分、40代が229.2分で横並びです。休日は10代、20代の利用時間が大きく延びますが、それ以外はあまり変化がありません。
ただ、この調査の利用時間はあくまでも「平均」なので、実際にはもっと長くネットを利用している人も多くいると思われます。スマホが登場する前はこの時間に何をしていたのか、もはや思い出せません。
内訳をみると、10代、20代は「動画投稿・共有サービスを見る」「ソーシャルメディアを見る・書く」の平均利用時間が長いとのことで、若者が自らを「ドパガキ」と呼ぶのもあながち間違いではないようです。
海外では、こうしたSNSや動画共有サービスに関して「そもそもサービスの設計に問題がある」として、規制当局が機能の制限に乗り出しています。
EUの欧州委員会は2026年2月、TikTokの無限スクロールや自動再生、プッシュ通知、個人に最適化されたおすすめ機能などが、EUのデジタルサービス法(DSA)に違反しているという暫定的な判断を示しました。その上で、無限スクロールの無効化や休憩機能の導入、おすすめ機能の見直しなど、サービスの基本設計そのものの変更が必要だとしています。7月にはMetaのFacebookとInstagramにも同様の判断を下し、無限スクロールや自動再生を初期設定で無効にするよう求めました。
米国では裁判で企業の責任が問われ始めています。3月にはロサンゼルスの陪審が、MetaとYouTubeに依存的な設計で若い女性に被害を与えた責任があると認め、計600万ドルの支払いを命じました。両社は評決を不服としています。
これまでSNSとの付き合い方は「使う人の自己管理」の問題とされてきました。しかし世界の議論は、利用者が自分でやめる設定を探すのではなく、事業者が最初から使いすぎを招く機能を抑えるべきだという方向に移りつつあります。
スマホの利用時間を減らす対策
とはいえ、規制がサービスの設計を変えるまでには時間がかかります。それまでは、スマホやアプリに用意されている機能を使って、自分で立ち止まるきっかけを作っておくのが現実的です。
まずは自分が1日に何時間、どのアプリを使っているかを確認してみましょう。iPhoneには「スクリーンタイム」、Androidには「Digital Wellbeing(デジタルウェルビーイング)」があり、アプリごとの利用時間を確認できます。1日の利用時間の上限なども設定できます。また、スマホの「集中モード」などを利用する、通知を切る、物理的に遠い場所に置くといった方法も有効です。
また、TikTokやInstagramなどのアプリは、1日の利用時間を設定してリマインダーを表示する機能や、就寝時間に利用を控えるよう促す機能があります。リマインダーなので強制力はありませんが、「設定」から利用してみましょう。YouTubeはショート動画の視聴を0分にすることもできます。
時間管理専用のアプリを使う手もあります。
「Blockin(ブロッキン)」(Noova)は、勉強や作業に集中したい時に使うアプリです。インストールすると、どれだけ時間を無駄にしてきたかを説明され、やる気を出させてくれます。「ルーティンブロック」と「クイックブロック」があり、ブロックを守ると「ブロッキン」という丸いキャラクターがもらえ、カレンダーに日々の成果がたまっていきます。
基本機能は無料です。有料版の「Blockin MAX」では、解除が一切できなくなる「ロックアウトモード」や、解除しようとするたびに待ち時間が延びる「タイムアウトモード」が使えます。
「moku(モク)」(ゆとりソフト)は、集中したい時間だけSNSや動画、ゲームなどのアプリをブロックするアプリです。ブロックしたいアプリを選択、もしくは利用可能なアプリを選択して集中することができます。
最大の特徴は、別売りの木製NFCカード「mokuカード」です。mokuカードを設定した場合、カードをかざさないと集中モードを解除できません。カードを家族に預けたり、別の部屋に置いたりすれば、誘惑に負けにくくなります。
私自身も、リアルとデジタルのちょうどいいバランスを探している最中です。運動に良い季節になりましたし、まずは朝のウォーキングから「セロ活」を始めてみようと思います。








