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鳥羽VS中内で社内抗争激化~波紋広がるダイエーのインサイダー疑惑

  経営再建を進めている大手スーパー、ダイエー(8263)の鳥羽董(ただす)社長のダイエーオーエムシー(8258)株を巡るインサイダー疑惑が、関係者の間に波紋を広げている。「鳥羽社長の大胆なリストラを快く思っていない中内功会長一派が刺した」との見方が出る一方で、クリーンイメージで売ってきた鳥羽社長の求心力低下を懸念する声も聞かれ、ただでさえ見通しが立ちにくかったダイエーの再建に、さらに厚い暗雲がたれ込めてきた。

  「インサイダー取引に当るとは思っていない」と、会見で疑惑を否定した鳥羽社長は、「辞任するつもりはまったくない」と明言。今後のことは取引先の銀行などと相談して進めたいと話しており、今後も主要銀行の支援を頼りに、強気の経営改革を断行する構えを崩していない。

  しかし、鳥羽社長が頼みにしていた主要銀行のうち、既に住友銀行は「もはや生ぬるいリストラで満足している段階ではない」と強硬姿勢に転じており、中間決算の発表(13日)までにまとめられる経営再建策に満足できない場合は、「寝首すら掻きかねない様子」(関係筋)という。この住友銀行が、マルエツ(8178)株の丸紅(8002)への売却やディスカウンター部門のカルフールへの売却程度で納得してくれるか、もともと不透明だった。

  一方、住友以外の主要銀行は「中間決算は問題ない」として、鳥羽社長の改革を見守るスタンスをとってきた。しかし、仮に今回の疑惑に司法当局が関心を持つようだと、住友以外の主要銀行も、鳥羽社長を見放しかねない。この最悪のシナリオが現実になれば、これまでにほぼまとまっていた鳥羽流改革が、すべて水泡に帰す恐れもある。

  そのカギを握る証券取引等監視委員会は、公式にはノーコメントを通しているが、「あまりに単純な構図」(市場関係者)との受け止め方が一般的なため、関心を持っているのは間違いないとみられる。

  今回の疑惑が報じられたのが、決算発表を10日後に控えた微妙な時期だったため、中内派のリークではないかといった観測が出るのも、無理からぬところ。真相は藪の中だが、少なくとも鳥羽社長が決算発表前に動きにくくなったのは間違いない。

  もともと社内の中内派に煙たがられていた存在の鳥羽社長。しばらくは司法当局や主要銀行のご機嫌も伺いながら、眠れぬ夜を過ごすことになりそうだ。


(舩橋桂馬)
2000/10/04 17:03
3/30(金)
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