BSデジタル放送の試験放送が9月1日から始まったが、さくら銀行（8314）は12月の本放送開始と歩調を合わせ、双方向通信機能を生かして振り込みや入出金の照会ができる日本初の「テレビ・ホームバンキング」を年内にもスタートさせる。

　 シドニー五輪の開幕から年末商戦にかけ、メーカーや販売店がデジタルテレビ、アンテナ、専用チューナーの広告攻勢をかけるのは確実で、さくら銀は他の大手銀に先駆けてBSデータ放送を活用したサービスに参入、個人顧客への浸透を狙う。

　 ●ATMそっくりの画面で操作
　 BSデジタル放送では、動画番組の受信と同時に、テレビ受像機やチューナーを電話回線に接続すれば、放送局と視聴者が情報をやり取りできる「双方向通信」が可能になる。さくら銀はこの機能を活用。データ放送でATM（現金自動預け払い機）そっくりの画面を配信し、画面の指示に従って電話回線とつないだリモコンを操作すれば、ネット・バンキングと同様のサービスが受けられる。パソコンに比べて操作が簡単で、親しみやすいテレビを利用すれば「家庭への幅広い普及が期待できる」（同行）という。

　 ●Tコマースで先手
　 当初は投資額を押さえるため、サービス内容を振り込みと残高照会程度にとどめる。ただ将来は、通常のTVショッピングだけでなく、ドラマなど様々な番組に登場したファッションや飲食店、音楽などがその場で「買い物予約」できる「番組連動ショッピング」も双方向データ放送として実現できそうで、そのための広範な代金決済も手掛ける構想だ。

　 問題は、資金取引の際の本人確認やデータの暗号化が完備していない点。他の大手銀や流通業者が「T（テレビ）コマース」の早期参入に二の足を踏んでいるのもこのためだが、さくら銀は、「インターネットと違ってクローズ・システムなので心配はない。テレホン・バンキングと同等かそれ以上に安全だ