スマートフォン企業導入の○と×
街中で見かける携帯電話がすっかりスマートフォンとなった今、いよいよその波が企業にも本格的に訪れることになりそうだ。
これまで、企業で社員同士の連絡用に"社用"として導入されてきた携帯電話は、従来型のいわゆるフィーチャーフォンが主流であり、現在もそのニーズは底堅い。実際、ビジネス街でフィーチャーフォンを使って電話をかけるビジネスマンを見かけることも決して珍しくない。
季節ごとに発売する数々の新型スマートフォンが注目を集め、企業のIT担当者や社員が個人的に契約する端末もスマートフォンの方が多いにもかかわらず、いざ"社用"となるとスマートフォンの採用をためらう企業が存在するのは、一体なぜなのだろうか? 企業ユーザーにとってのスマートフォンのメリットとデメリットをあらためて整理してみよう。
まずは、スマートフォンそのもののメリットを考えてみよう。スマートフォンのメリットは、以下のような点が挙げられる。
- 1.タッチによる直感的な操作ができる
- 2.大きな画面で多くの情報を表示できる
- 3.アプリを追加して機能を拡張できる
- 4.高品質な写真や動画を撮影できる
- 5.地図や電卓など便利なサービスや機能を利用可能
- 6.PCと同じメールやカレンダーサービスを利用できる
- 7.ブラウザを使った情報アクセスができる
スマートフォン企業導入の「○」
中でも、ビジネスシーンで重要なのは6番以降だろう。現在のビジネスシーンでは、メールを使った取引先との連絡やグループウェアや社内システムへのアクセスを業務上欠かすことができない。これを外出先など場所を問わずに利用できるのは、スマートフォンの大きなメリットだ。
しかし、その一方で、企業がスマートフォンを導入する上で考慮しなければならない課題もある。
- 1.操作に慣れる必要がある
- 2.バッテリー動作時間が短い
- 3.ビジネスに不要な機能がある
- 4.私的利用を避けたい
- 5.セキュリティが心配
- 6.業務に合わせたカスタマイズが難しい
- 7.月々のコストが心配
スマートフォン企業導入の「×」
前半は、メリットの裏返しだ。前述したように、スマートフォンはすでに個人ユーザーに普及しつつあるため、操作に関する敷居は下がりつつある。しかし、それでも幅広い年齢層の社員がいる企業では、せっかくスマートフォンを導入したとしても社員が使いこなせるかどうかが心配なうえ、そのための教育の機会を設ける時間や費用も確保しにくい。
バッテリーの問題も深刻だ。一日中外回りをする営業職などでは、バッテリー動作時間が短いと、それだけで仕事にならなくなってしまう。最近では充電環境が整ってきたうえ、モバイルバッテリーなどの利用も一般的になってきたが、やはり単体で長時間使えるかどうかはビジネスシーンではとても重要だ。
後からアプリを追加できるスマートフォンの自由度の高さも、企業導入ではデメリットになる。多機能過ぎて使いこなせなかったり、ゲームなどビジネスに関係のないアプリを私的に使われてしまうと、逆に業務の効率を下げることにもなりかねないからだ。
また、業務で利用する上での対策をどうすればいいのかも悩みどころだ。メールやカレンダーなどであれば標準の機能で対応できるが、既存の業務に合わせてカスタマイズしたり、重要なデータを扱うことを前提にセキュリティ対策をどのように施せばいいのか見当もつかないという導入担当者も少なくないことだろう。
最後のコストも企業にとっては避けて通れない問題だ。スマートフォンでは、通信量が増えるため、月額料金がフィーチャーフォンに比べて高くなってしまう。そもそもコストの負担に耐えられるかも重要だが、コストに見合うメリットがなければ経営者は導入を決断できないはずだ。これが導入の大きな障害になっている場合も多いだろう。
このように、企業でスマートフォンを導入する際には、解決しなければならない課題がいくつかあるが、ついにこれらの課題の解決に真剣に取り組んだスマートフォンが登場してきた。NTTドコモから新たに登場したのが富士通製のビジネススマートフォン「F-04F」だ。
企業での利用を考慮したビジネススマートフォン「F-04F」
F-04Fの特徴は、大きく3点ある。1つめは「ビジネスに最適な操作性の実現」、2つめは「安心して使えるセキュリティ機能の搭載」、3つめは「業務をサポートするソリューションの提供」だ。
まず、「ビジネスに最適な操作性の実現」から見ていこう。F-04Fでは、ビジネスシーンでよく使う操作に特化したホームアプリが採用されている。電話、メール、電話帳など、よく使うアイコンが大きく表示されており、とてもわかりやすい。デザインもフィーチャーフォンに近いイメージで構成されており、フィーチャーフォンから移行しても違和感なく使えるようになっている。
簡単に使えるだけでなく、「長く」使えるのもF-04Fの特長だ。2500mAhと、4.3インチのコンパクトなサイズの端末としては最大級のバッテリーを搭載しているだけでなく、「WhiteMagic™」と呼ばれるディスプレイを採用しており、高い省電力性と、屋外でも見やすい輝度の高さを実現、NTTドコモによる計測では実使用時間97.8時間を達成している。長時間の外出や出張でも、安心して連絡手段として使えるのは大きな魅力だ。
このほか、「通話」機能が強化されているのもビジネススマートフォンならでは。たとえば、標準で「通話録音機能」が搭載されており、通話内容をあとで再度聞き直すことができる。ほかにも、音声を聞き取りやすくする機能も搭載されており、人ごみで相手の声を強調して聴きやすくしたり、相手の声がゆっくり聞こえるように調整することなどもできる。ビジネスシーンでは、まだまだ音声通話がメインの使い方というケースが多いが、そういった場合での使いやすさが追求されているのがF-04Fの魅力と言えそうだ。
続いて、「安心して使えるセキュリティ機能」について見ていこう。F-04Fには背面にスマート指紋センサーが搭載されており、あらかじめ指紋を登録しておくことで、指をなぞるだけでロック画面を解除したり、指定したアプリの起動時に指紋認証を求めることができるようになっている。
ビジネスシーンでスマートフォンを利用する際は、内部の重要なデータをどのように保護するかが鍵となるが、指紋を利用することで、利用者に負担をかけることなくセキュリティを確保できるというわけだ。
また、標準でGoogle Playの利用ができない仕様になっているため、スマートフォンを私的に利用されたり、不正なアプリを勝手にインストールされてしまう心配もなくなっている。
このほか、「SECURITY for Biz」や「ビジネスmoperaあんしんマネージャー」などのNTTドコモのサービスにも対応しており、スマートフォンの遠隔ロックや初期化、カメラ機能のオフといった自社に合わせたカスタマイズも可能だ。
業務に使う端末である以上、利用者に一定のルールを守って使ってもらうことが大切だが、それをあらかじめ管理者側で制御できるようになっていることになる。このほか、VPN接続にも対応しているので、企業でVPN接続を許可している場合は、スマートフォンから社内ネットワークに安全にアクセスすることも可能だ。
最後の「業務をサポートするソリューションの提供」は、企業の業務に必要なアプリケーションやサービスを手軽に入手できるのが特徴となる。
企業では、社内に設置したExchangeサーバーによってメールやスケジュールを管理しているケースがあるが、F-04FではExchange連携用のアプリ「オフィスシンク」を無料でダウンロードして利用でき、セキュアな環境でメールやスケジュールなどを使うことができる。
そのほかのサービスに関しても、NTTドコモが提供している法人向けサイトや富士通の法人向けサイトで、オンラインストレージやネットワーク電話帳、勤怠管理、端末管理など、さまざまなソリューションが紹介されており、実際にサービスを導入しやすい体制が整えられている。
せっかく導入したスマートフォンを電話とメールのみに使うのはもったいないので、このようなソリューションを積極的に活用したいところだ。
コストについても、NTTドコモがビジネススマートフォンの発売と同時に提供を開始する予定の「Xiパケ・ホーダイ for ビジネス」に対応しており、月額2980円(フラット型定額サービスで月500MB以上の利用時は128kbps制限)とパケット通信料金をリーズナブルな価格で利用することができる。
F-04Fでスマートフォン導入の「×」を「○」に
以上、富士通のビジネススマートフォン「F-04F」の特徴を見てきたが、以下のように、これまでスマートフォンを企業が導入する上での障害となっていた課題が、F-04Fではきちんと解決されているのが特徴だ。
- 1.操作に慣れる必要がある
- →電話とメールに特化したホームアプリで簡単操作
→電話機能そのものの使いやすさ - 2.バッテリー動作時間が短い
- →2500mAhの電池搭載で長時間駆動を実現
→省電力性に優れたWhite Magicディスプレイを採用 - 3.ビジネスに不要な機能がある
- →ビジネス向けのアプリのみをプリインストール
- 4.私的利用を避けたい
- →Google Play使用不可で私的利用を防止
- 5.セキュリティが心配
- →スマート指紋センサーで端末情報をしっかり保護
→VPN対応で社内ネットワークに安全にアクセス
→SDカード暗号化で重要な情報を保護
→SECURITY fo Biz、ビジネスmoperaあんしんマネージャー対応 - 6.業務に合わせたカスタマイズが難しい
- →Exchange連携アプリでメールや予定を管理可能
→業務報告や勤怠管理などのソリューションも利用可能 - 7.月々のコストが心配
- →「Xiパケ・ホーダイ for ビジネス」で低価格で利用可能
スマートフォン企業導入の「×」が「○」に
大企業であれば市販のスマートフォンを利用し、機能を独自にカスタマイズしたり、業務アプリを作り込んで搭載することもできるだろう。しかし、中小企業ではそこまで費用をかけることはできないうえ、そもそもどのように環境を整えればいいのかすらわからないケースが多い。
しかし、F-04Fであれば、標準機能+αのサービスを活用するだけで、セキュアかつ手軽に、業務にスマートフォンを活用することが可能というわけだ。これまでスマートフォンの導入に二の足を踏んでいた企業でも、F-04Fなら、業務効率化やワークスタイルの変革に、きっとスマートフォンを活用できるだろう。
会社員写真:©sunabesyou - Fotolia.com
イラスト:©ようへい - Fotolia.com