『連弾』を含めた竹中作品では、すべて本人が出演しかも主役を演じているが、大学時代、すでに一人4役をこなしていた彼にしてみれば、監督と俳優を両立するのはそれほど難しいことではないのかもしれない。それでは個性派俳優として活躍し、多くの有名監督たちからラブ・コールを受け続けている今、竹中直人監督は俳優、竹中直人をどのように評価しているのだろうか。

「同じ人物なので、なかなか評価っていうことはできませんが。まあ、どうなんでしょうかね。自分の芝居に対して監督として、あまり期待はしていないので。スタンドインというのを立てて、僕の代わりに最初役者さんに動いてもらって、それを、こう、レンズで覗いて“ああ、だいたいそういう風に動いてくれればいいね”みたいに自分でいろいろそれなりに指導しましてですね、それで自分が次は立つんですけど。1回目テストしてすぐ本番っていうのが多いですね。自分の芝居であまり粘ったりするのは恥ずかしいので。まあ、監督も役者も肩書きでしかないですから。ただの肩書きであって、結局は一人の人間がやってるわけで、まあ、何でもないってことですね。基本的には。何でもないことやってる。映画なんか作って“映画作ったんだよ”って言ったって“映画観ないんだよね”って言われてしまえば、我々の仕事はそれまでですからね。好みじゃないって言う人にとっては何でもないってことですから。それがまたいいわけですけれどもね」。


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