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VRの本命? スタンドアロン(一体型)VRとは。Oculus GoとMirage Soloのスペックも比較

VRの「本命」とも言われるスタンドアロン(一体型)VR製品がいよいよ本格展開を始めました。スタンドアロンVRとは一体何か、なぜ本命と呼ばれるのか、そしてどんな製品があるのか、見ていきましょう。

スタンドアロンVRとは何か

スタンドアロンVRとは、パソコンやスマートフォンといった外部機器を一切必要とせず、VRゴーグル単体で動作するVR機器です。

スマートフォン向けのプロセッサーや各種センサー、ディスプレイ、レンズ、バッテリーなどが内蔵されており、これ一つでVR動画やVRゲームなどを楽しむことができます。

これまでのVRが「VRゴーグル」と「パソコンやスマホ」を別途用意する必要があったのに対し、スタンドアロンVRは「これだけ買えば、かなり高品質なVRを楽しめる」という手軽なパッケージになっているのが特徴です。

スタンドアロンVRはなぜ「VRの本命」と呼ばれるのか

スタンドアロンVRは「VRの本命」と言われることが多いのですが、なぜなのでしょうか。

それは、スタンドアロンではないVR、すなわちPC接続型やスマートフォン接続型のVRよりも圧倒的に「手軽に楽しめる」ためです。

PC接続型VRの場合、クオリティや用途の広さは最高ですが、VR機器とは別に高価なパソコンを別途用意する必要があり、初期コストが非常に高くなります(VR機器とパソコンを合わせておよそ20万円前後)。また、VRゴーグルとパソコンの間は重く長いケーブルで接続するのが一般的なほか、別途センサーを部屋に設置する場合もあり、使用する際の準備が非常に面倒です(PlayStation VRはPC接続ではありませんが、ほぼ同様の特徴を持っています)。

ダンボール型ゴーグルなどにスマートフォンをセットする簡易方式のVRは、手軽で費用も安いですが、ゴーグルの本体やレンズは特定のスマートフォン専用に設計されている訳ではないため、装着方法や画質などに難があります。用途も主に動画や静止画などに限られ、本格的なゲーム用途などには向きません。

GoogleのDaydream ViewやサムスンのGear VRといったスマートフォン接続型VRは、専用ゴーグルとスマートフォンを接続することで、手軽さと高い映像クオリティを両立でき、ゲーム用途にも使用できますが、対応するスマートフォンは一部機種に限られてしまいます。また初期費用についても、ゴーグルとスマートフォン合わせて6〜10万円程度が必要となります。

スタンドアロンVRは、上記のような様々な欠点が解消されています。具体的には下記の通りです。

  • 安価(2万円〜6万円程度)
  • スマートフォンやパソコンを別途用意・接続する必要がない
  • わずらわしいケーブルが一切存在しない
  • 専用設計のレンズとスマートフォン並みの性能で高画質な映像を実現
  • 専用コントローラーでの操作性
  • ゲームにも利用できる

一方、スタンドアロン型の弱点として、PC接続型VRほどの処理能力がないため、3Dゲームなどのグラフィック品質が相対的に劣ることが挙げられます。また、PC接続型で実現できるようなルームスケールVR(一つの部屋など広い範囲を自由に動き回るVR)には現時点では対応しません。ただ、こうした課題はプロセッサーやセンサーなどの技術向上によって改善していく部分であり、長い目で見た際にはスタンドアロン型がVRの主流になっていくことが予想されます。そうした将来性も、スタンドアロンVRがVRの本命と目される理由のひとつです。

最新2製品「Oculus Go」と「Mirage Solo」

スタンドアロンVR製品はこれまでも存在していましたが、日本では提供されていなかったり、されていても主に法人向けで販売されていたりと、手を出しにくい状況でした。しかし今年2018年は主要メーカー、プラットフォーマーから一般向けに魅力的な製品が相次ぎ登場しています。

一つは、Facebook傘下のOculusから5月2日に発売された「Oculus Go」です。価格は23800円(税抜)からと非常に安価でありながら、2560x1440の解像度、72Hzの映像リフレッシュレートなど、ことディスプレイではハイエンドVRに引けを取らないスペックになっています。アプリプラットフォームとしてはGear VRと同様の「Oculus Store」に対応。Gear VR向けに開発されたアプリとの互換性が高いこともあり、Oculus Go向けのアプリは早晩充実していくことが予想されます。モーショントラッキングは3DoFに対応し、ゴーグルの「前後左右への傾き、左右の首振り」を検知することでVR内を自由に見回すことができます。

Oculus Go

もう一つは、レノボから5月11日に発売する「Mirage Solo」です。GoogleのVRプラットフォームであるDaydreamに対応し、価格は5万円代半ばとやや高価ですが、性能面は非常にハイエンドです。対応するモーショントラッキングは「6DoF」で、ゴーグルの「前後左右への傾き、左右の首振り」に加え「上下、左右、前後への動き」を検知。これにより、立ち上がったり、しゃがんだり、体を傾けたり、一定の範囲で歩くなどの動作を検知します。6DoFに対応するアプリなら、VR内で「実際に体を動かす」ゲームなどが楽しめます。

Lenovo Mirage Solo
3DoFと6DoFの違い。6DoFのほうがより多彩なモーショントラッキングに対応するが、VR動画を視聴する程度なら3DoFで問題ない
Oculus GoMirage Solo
重量470g645g
SoCSnapdragon 821Snapdragon 835
RAM容量3GB4GB
内蔵ストレージ32/64GB64GB
ディスプレイ解像度2560x14402560x1440
ディスプレイ方式液晶液晶
リフレッシュレート60Hz/72Hz75Hz
モーショントラッキング3DoF6DoF
スピーカー内蔵なし
バッテリー容量2600mAh4000mAh
公称バッテリーライフ約2〜2.5時間約2.5時間
ネットワーク802.11b/g/n/ac
Bluetooth 4.1
802.11b/g/n/ac
Bluetooth 5.0
ポートMicroUSB
ヘッドホン端子
USB type-C
ヘッドホン端子
メモリーカードなしmicroSD(〜256GB)
コントローラー付属付属
OSAndroid 7.1.2Daydream 2.0
アプリプラットフォームOculus StoreGoogle Play
公式ストアでの税抜価格
(2018年5月現在)
23800円(32GB)
29800円(64GB)
51200円

その他のスタンドアロン型VRを紹介

ここでは、上記2製品以外のスタンドアロン型VRを紹介していきます。

HTC Vive Focus

PC接続型VR「Vive」を発売するHTCが展開するスタンドアロン型VRヘッドセットです。すでに中国市場で発売していますが、今年中の世界展開が予定されています。6DoFに対応するなどハイエンドなスペックを誇ります。アプリプラットフォームとしては「Viveport」に対応します。

Vive Focus

IDEALENSシリーズ

日本で以前から法人向けに展開しているスタンドアロン型VRがIDEALENSシリーズです。主にイベントのVR体験会などで見かけることが多く、次期製品はディスプレイ解像度が4Kになるなどハイスペックです。OSとしてはAndroidベースとなっています。

IDEALENSの4Kモデル

桑野雄