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外資系金融機関の意外な“弱点”

 今年の秋口、ある大手国内銀行と外資系の大手金融グループとの提携交渉が破談に終わった。企業の合併・買収(M&A)の仲介や、株式の発行などを通じて資金調達を手掛ける「投資銀行」分野で合弁会社を設立する構想がまとまりかけたのだが、経営権を握るカギとなる出資比率を巡り、歩み寄りが見られなかったためだ。日本版ビッグバン(金融制度改革)を“追い風”に日本での業容を順調に拡大している外資系の意外な“弱点”が、この提携決裂劇を通じて浮かび上がる。

 ●目先の結果を追求する外資
 世界的な金融グループへの脱皮を急ぐ邦銀や大手証券会社にとって、高収益を確保できる投資銀行業務の強化は喫緊の課題だ。一方、邦銀などの取引先企業リストは、外資にとっては喉から手が出るほど欲しい存在。両者の組み合わせは、経済が急速にグローバル化する時代にあって理想的な補完関係といえるが、この交渉のようにまとまらないケースが多い。

 なぜか。提携を求められる日本側に、「短期的な視野で収益を追求する外資にかかったら、長年の顧客基盤が食い物にされてしまう」(都市銀行の首脳)との強い懸念があるからだ。欧米の金融機関、特に投資銀行業務に携わる人材が短期的な視点から金融取引を手掛けるのはわけがある。外資の大半が「日本の数倍経営監視の目が厳しい株主を常に意識せざるを得ない」(米系投資銀行の幹部)環境下に置かれているためだ。  特に四半期ごとに発表される決算の中身に対する株主の要求は厳しく、「ノルマを課せられている上に収益が下がれば、会社自体が買収のリスクに怯える」(同)ことは、外資系金融機関同士の大型合併案件が急増していることをみれば明らか。また、企業間の人材流動化が進んでいるため、「高収益の実績を残し、巨額給与で引き抜かれることがステータス」(欧州系の投資銀行幹部)と指摘する関係者が多いことが示すように、いかに短期で儲けるかが最重要課題となっている。長期間にわたって信頼関係を築くことをより重視する日本の金融機関とは肌が合わないという事情がある。

 ●いずれ行き詰まる?
 現在、日本にはゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター、メリルリンチといった米系のほか、欧州系のUBSウォーバーグ、ドイチェなどそうそうたる名門投資銀行が進出。日本の証券会社や大手銀行からの人材引き抜きも活発で、投資銀行業務の陣容を急速に拡大している。  しかし、「日本人スタッフを大量に集めても、投資銀行部門の地域担当幹部はほとんどが外国人」(別の米系関係者)。日本の顧客や商慣行を熟知したスタッフをいくら増やしても「決定権のある外国人幹部は短期的な視野でしかみていない」(同)というのが実情だ。

 名門外資の多くは、日本企業の株式や社債の引き受け業務でシェアを急速に伸ばしているほか、大型M&A案件の仲介ではほぼ独占状態とされる営業基盤を築いた。しかし、「母国市場のように、幅広い企業に食い込んでいるわけではない」(別の欧州系関係者)ため、冒頭のケースのように「日系・外資連合」の結成が強く意識される訳だ。

 経済のグローバル化の進展で、日本企業は徐々にその体質を改善し、より欧米的な志向でビジネスを展開し始めようとしている。が、その速度は依然として遅く、「欧米流の金融手法をそのまま持ち込んでも通用しない」(別の大手銀行首脳)。にもかかわらず、外資が短期的な物差しでしか日本市場を測れないとなると、日本でのシェア拡大戦略は早晩行き詰まることが間違いない。

相場 英雄
11月21日
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