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マイナンバーカード発行から5年。電子証明書を更新してきた

累計申請枚数が1億枚を超え、保有枚数も9,215万枚(3月31日時点)、人口に対する割合は73.5%まで普及した「マイナンバーカード」。そろそろ「更新」が迫ってきている人も出てきているのではないでしょうか?

マイナンバーカード自体の更新期限は10年です。ただし、マイナンバーカードに搭載している「電子証明書」については期限が5年となっています。

電子証明書は、マイナポータルへのログインやe-Taxなど、オンラインでの行政サービスの多くで活用されるほか、コンビニでの住民票等の交付などでも使われます。便利になってきたマイナンバーカードですが、多くの便利な機能は電子証明書が必要ですので、電子証明書を更新しておかないとその本領を発揮できません。

2019年12月にマイナンバーカードを作成した筆者にも、5年目の更新を告げる封筒が'23年末に届きました。また、マイナポータルに入ると証明書の更新を促す表示も出るようになりました。マイナンバーカードの主要機能が使えなくなるのは困るので、更新に行ってきました。

電子証明書の更新手続きの通知封筒

なお、Androidスマートフォンでは'23年5月から電子証明書を内蔵できる「スマホ用電子証明書」がスタートしています。マイナンバーカードの電子証明書を更新した場合、こちらも更新作業が必要になります。

カードと封筒持って窓口行くだけ。パスワード忘れずに

電子証明書の更新では、自治体にもよりますが、更新期限が3カ月前に迫ると自治体から封書が送られてきます。この中には、電子証明書の更新手続の案内書と有効期限通知書、代理人申請に必要な照会書兼回答書と封筒が同封されています。

マイナポータルにログインすると電子証明書の更新を促す通知が

案内書によれば、更新手続きはマイナンバーカードと有効期限通知書を持って、自治体の窓口に行けばよいとのこと。カードは更新しないので顔写真は不要です。なお、一部の自治体では更新が予約制となっているようですが、筆者の住む東京都 世田谷区は指定の出張所では予約不要でした。出張所は平日のみなのですが、区内6カ所で土曜日受付窓口も開設していたので、土曜日に窓口に向かいました。

案内書。マイナンバーカード総合サイトでもPDFが公開されている

基本的には、「マイナンバーカードと有効期限通知書を持って窓口に行くだけ」です。ただ、追加でアドバイスするならば、「電子証明書の2種類のパスワードを覚えていく」とよいでしょう。証明書の更新時に、本人確認とあわせて2種類のパスワードを入力する必要があるので、覚えていると作業がスムーズに進みます。

筆者の場合、土曜の10時過ぎに窓口に到着して、受付を済ませて数分待つとすぐに自分の順番になりました。窓口では、電子証明書更新申請書に住所・氏名等の必要事項を記入(手書き)し、窓口で持参した通知書とマイナンバーカードとともに更新申請書を渡します。その後、液晶モニターと端末を使いながら、自分でパスワードを入力します。

パスワードを覚えていて変更しない場合は、そのまま入力するだけです。筆者は4桁のパスワード(利用者証明用電子証明書)は記憶していたのですが、6~16桁のパスワード(署名用電子証明書)が思い出せず、結局再設定することとなりましたが、それでも数分程度で作業が終わりました。マイナンバーカードを返却され、更新後30分程度は証明書発行ができない旨を伝えられて手続きは完了です。待ち時間を含めて15分程度で更新が完了しました。

帰宅して半日後ぐらいにマイナポータルにログインすると、電子証明書更新を促す表示が消えていました。これで、あと5年間は使い続けられることとなります。

スマホ用電子証明書も再申請を忘れずに

正直、「更新の封筒が届いたら忘れずに更新手続きにいこう」というだけの話です。あえて注意点を上げると、Androidスマートフォンで電子証明書を発行している場合は、その更新も必要となります。

Androidスマホの電子証明書も2024年4月までだった。これはカードだけを更新してもそのまま

このスマホ用電子証明書は、マイナンバーカード内の電子証明書とは別に、カード内の証明書を用いてスマホ用に新たに電子証明書を作成して保存します。カードの電子証明書とは別ですが、カード側の証明書が更新されるとスマホに保存した証明書も使えなくなります。そのため、新たにスマホ用電子証明書の利用申請を行なう必要があります

申請は、Androidスマートフォンのマイナポータルアプリをタップし、マイナンバーカードとパスワードを使って「マイナポータル」にログイン。スマホがスマホ用電子証明書に対応している場合は、「スマホ用電子証明書の申込」の項目がでてきますので、ここで申請を行ないます。

あとは画面の案内に沿って、2種類のパスワード等を設定し、マイナンバーカードを読み取り申請が完了します。2つのパスワードを設定すると「利用申請中」となり、マイナポータルアプリに通知が来ます。なお、9時から19時30分の間であれば、即時~数分程度で通知が来ますが、19時30分以降の申請は翌朝処理となります。

筆者はなぜか申請が通らず、再申請を行なうなど若干戸惑いましたが、無事に申請が完了。あとは「スマホ用電子証明書の登録」で「登録する」をタップすれば登録が完了します。より便利に使うためには、「生体認証などを利用登録する」から顔認証や指紋認証等で設定しておくと便利です。

2029年4月まで延長された

スマホ用電子証明書により、マイナポータルのログインなど、マイナンバーカードの電子証明書を使ったログインやデータの送信などが、「マイナンバーカードを使わず」にスマートフォンだけで完結できるようになります。

なお、iPhoneのスマホ用電子証明書対応時期は「未定」ですが、先日のデジタル庁の会見では「来年(2025年)の確定申告」には、という言及もありましたので、早期の対応を期待したいところです

フル活用のためには証明書更新は忘れずに

行政サービスのほか、オンラインでの本人確認、健康保険証など、活用シーンが広がってきたマイナンバーカード。2024年度には運転免許一体化なども予定されており、さらに使える場面は増えていきそうです。

使える場面が増えるということは、使えなくなると困るということでもあります。電子証明書が使えなくなると、マイナンバーカードでできることも減ってしまうので、更新時期をしっかり把握しておくようにしましょう。

一方、マイナンバーカードに代わる次世代の「個人番号カード」の検討も進められています。カードデザインや券面の記載事項の変更のほか、電子証明書の有効期間もカードと同じ10年に延長される見込みです。

また、次世代カードは2026年以降の導入が予定されていますが、次世代カード導入後は、現行カードの電子証明書の更新(5年)の際に、電子証明書の更新ではなく次期カードの取得を推奨する予定です。今後、まだまだ動きがあると思われますが、ご自身のマイナンバーカードの証明書期限は忘れずにチェックしておきましょう。

臼田勤哉