いつモノコト
カシオのレトロなデジタルウォッチを買ってみた Bluetoothで注目
2024年8月24日 09:30
そのクラシカルな見た目とBluetooth搭載というギャップで大きな注目を集めたカシオの腕時計「ABL-100」が8月9日に発売されたので買ってみました。カラーは、思い切ってゴールドの「ABL-100WEG-9AJF」にしました。ヨドバシカメラにて9,620円で、10%ポイント還元分を差し引くと8,658円相当でした。
「CASIO Collection」に属するこのモデル、Bluetooth連携で何ができて、何ができないのか、簡単に紹介してみたいと思います。
「ABL-100」が対応するスマートフォンリンク機能とは、スマートフォンアプリ「CASIO WATCHES」と、Bluetoothを介して連携できるというものです。連携機能は大きく分けると2つで、時刻を修正する機能と、アプリから腕時計の機能や設定を変更できる機能です。どちらも、腕時計とスマホが常時接続されているわけではなく、必要な時だけ接続する、というのがポイントです。G-SHOCKのBluetooth対応モデルでも、比較的安価なモデルではすでにお馴染みの仕様です。
自動時刻修正は機能は、アプリと腕時計を一度ペアリングすると有効になり、6時間おきに1日4回、腕時計の時刻が自動的に修正されます。スマホのBluetoothをオンにしておく必要はありますが、腕時計とのBluetooth接続は時刻修正のタイミングでのみ行なわれ、修正が終わるとBluetooth接続は解除されます。
「ABL-100」には、カシオの腕時計では定番的な機能として、夜間に身に着けてない時間を検出すると液晶の表示を消灯する「パワーセーブモード」も用意されていますが(初期設定ではオフ)、上記の自動時刻修正は画面が消灯している間も実行されます。
上記のようにしてアプリ「CASIO WATCHES」と腕時計のペアリングが済んでいる場合、腕時計から操作して、任意のタイミングで時刻修正も可能です。スマホが近くにある状態で、腕時計右下の「SEARCH」ボタンを短くワンプッシュすると、すぐに時刻修正が行なわれます。これも時刻修正が終わるとBluetooth接続は解除されます。ちなみに長押しするとスマートフォン探索機能(スマホから音が鳴るモード)になるため、文字板のボタンの表記は「SEARCH」になっています。
「ABL-100」には歩数計が搭載されているため、そのデータもアプリで同期され、「CASIO WATCHES」のマイページ「ライフログ」に集約されて表示されます。歩数計は3軸加速度センサーによる計測で、歩数精度は±3%となっています。また歩数計とは別に、一定時間歩行していないと判断すると音で運動を促す「ステップリマインダー」機能も用意されています。
腕時計に搭載の機能をアプリから設定・変更できる機能は、アラーム、タイマー、ワールドタイムなどです。例えばアラームの時刻を設定する場合なら、時計本体の小さなボタンで操作するより、アプリの画面でサッと設定できて便利です。
また、腕時計の基本設定も、ボタンの操作音のオン・オフ、バックライトの点灯時間、24時間表記への変更などについて、アプリから変更できます。
これらの、アラームや時計の基本設定をアプリから変更する操作は、腕時計とアプリをBluetoothで接続した状態にする必要があります。ただ、手順は簡単で、スマホ側ではアプリを開いておき、腕時計側では左下の「MODE」ボタンを3秒間長押しするだけです。かなり簡素化されていて、思いついたらすぐに接続できます。
「ABL-100」のスマートフォンリンク機能は、あれもこれでもできるという方向性ではなく、連携機能は厳選されている印象です。例えば、スマホで受信した通知を腕時計に表示する機能はありません。
一方で、腕時計側に搭載されているボタンひとつで、スマホとのBluetooth接続を開始したり、すぐに時刻を修正できたりするのは便利です。
これは、例えばG-SHOCKの「GA-B2100」など、比較的手頃な価格でBluetoothに対応しているモデルでも同じような仕様が実現されているので、そうしたこれまでの開発ノウハウを「ABL-100」のモジュールにも応用した結果といえそうです。
全体的には、シンプルに腕時計として使いながら、スマホが近くにあれば時刻修正機能が利用できたりアプリから設定の変更ができたりするという“ゆるい”連携になっています。つまり、スマートウォッチのように“スマートフォンの体験を拡張する”腕時計ではありませんが、常に正確な時刻に保てる時刻修正機能を中心として、“スマホアプリの恩恵を受けられる”腕時計になっています。
実はそこそこリッチなデジタル液晶
せっかくなので、クラシックな佇まいのデザインや機能についても触れておきます。そのパッと見のデザインから連想して“チープカシオ”と呼ばれることもあるようですが、実際に手にしてみると、外観デザイン・デジタル液晶のどちらもチープさはあまりなく、丁寧に仕上げられています。
液晶表示で特徴的なのは、上端にあるグラフィック表示(バーインジケーター)です。0~100%まで、20の目盛りで表示される部分で、時刻モードでは3秒ごとに1つの目盛りが点灯し、60秒でフルになるという塩梅です。時間の経過でバーインジケーターが増えていく様子は、変化に乏しいデジタル表示の画面に伸びていくバーという“動き”が加わって、見ていて楽しい部分です。
このグラフィック表示はストップウォッチなどほかのモードでも、計測中の秒に連動して動きます。歩数計では1日の目標に設定した歩数に対する進捗が表示され、例えば進捗が50%なら目盛り10個で表示されます。
左上の曜日を表示する部分がセグメント表示ではなく、アルファベットなどを表示しやすいドットマトリクス表示なのも、“チープカシオ”とは異なる部分です。アルファベットによる曜日の表示のほかにも、モード表示名、電池残量警告のアイコン、歩数計の1時間ごとのグラフなど、さまざまな表示に対応します。またこの上段の表示が、曜日、年(下二桁)、月、日と、カレンダーがフルで表示されるのも、情報量がリッチで嬉しい部分ですね。
二面性を楽しみたいゴールド
ケースは樹脂製で、綺麗なメッキのポリッシュ仕上げです。耐傷性にはあまり期待できないので傷には気をつける必要があると思いますが、買ったばかりの今はキラキラと輝いています。
防水性能は、現代では最低限のラインといえる「日常生活防水」。洗顔や雨には耐えますが、水仕事や水泳には使えないという仕様です。現代的な高い防水性能の腕時計に慣れている人は、無茶をしないよう注意が必要です。
金属製のバンドはわずかにヘアライン仕上げで、つや消しで抑えが効いています。平面が分割されたような多列構造のクラシカルなデザインで、レトロな本体のデザインとマッチしていると感じます。しなやかでフィット感は高く、腕に装着すると曲面に多数の小さな“面”が現れて、ゴールドだとゴージャスな雰囲気になります。
筆者はブラックやステンレス製の腕時計はすでにたくさん持っているので、今回はあえて派手なゴールドを選んでみました。思いの外、肌の色に馴染みますし、服の色との相性にも懐の深さがあると感じますが……装着して街に出てみると、金色のアイテムが腕元でキラッと輝くのは良くも悪くもかなり派手だと感じます(笑)。使いこなすまでの道のりは長そうですが、「実はBluetoothで正確」「実は9,000円ぐらいで買える」みたいな二面性も楽しんでいきたいと思います。