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Apple Watchで助けを求める セコム「ひとりにしない」カスハラ対策
2026年9月30日 18:55
セコムは、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策支援サービス「Safe Assist(セーフアシスト)」を10月1日に発売する。カスハラを受けた際に、従業員がiPhoneやApple Watchから上司に助けを求められる法人向けサービスで、カスハラ発生時の迅速な状況把握・対応を支援する。1人あたりの料金は月額1,100円から。
近年のカスハラの深刻化を受け、企業にカスハラ防止のための措置を義務付ける「改正労働施策総合推進法」が10月1日に施行される。企業のカスハラ対応では「正当なクレームや要求との区別が難しい」「発生状況の把握が困難」といった、発生時の運用が課題となっている。
Safe Assistは、「記録して、知らせて、社内で対応できる」をコンセプトに、音声記録や上司への「HELP通知」、本部での情報共有を1つの仕組みで提供する。夜間の施設・店舗や訪問先など、従業員が孤立する環境でも、カスハラ対応を個人任せにせず、組織として対応できる環境を整える。
「ひとりにしない」カスハラ対策
Safe Assistでは、従業員が店舗や施設、訪問先などでカスハラを受けた際に、iPhoneやApple Watchの専用アプリから音声を録音し、あらかじめ登録した上司へHELP通知を送信できる。ボタンを長押しするだけで通知でき、カスハラ対応中の切迫した状況でも迷うことなく助けを求められる。
通知先の上司は複数登録でき、特定の上司が対応できない場合でも、ほかの登録者が確認できる。HELP通知を受けた上司は、従業員の位置情報を確認できるほか、録音中の音声を追いかけ再生し、現場の状況を把握したうえで対応できる。HELP通知は、「重大な通知」機能によりスマホがマナーモードでも強制的に通知音が鳴る。
また、助けを求めた際に従業員側の端末には対応中の上司の名前を表示するなど、1対1の対応などで不安を感じる従業員に「ひとりではない」という安心感を与える設計となっている。
録音した音声は、セコム専用のクラウド上に保存する。スマホなどの端末内には音声データを残さないため、端末の紛失や故障、持ち出しに伴う情報管理リスクを抑えられる。また、本部のカスハラ対策室などの担当部署は、PC管理画面(Webブラウザ)によりHELP通知や音声データを一元管理できる。
カスハラがエスカレートし、身の危険を感じた場合に、従業員または上司からセコムへ警察通報の支援を依頼できる「セコムSOSあり」プランも用意する。ただし同プランはセコムがトラブルの仲裁・説得・交渉・紛争介入を行なうものではない。
料金は導入人数によって異なり、初期費用は無料。1人あたりの月額料金は、1~49人が2,420円、50~999人が1,320円、1,000~9,999人が1,210円、10,000人以上が1,100円。セコムSOSありプランでは、それぞれ順に2,750円/月、1,650円/月、1,540円/月、1,430円/月となる。
利用するiPhoneやApple Watchは顧客側で用意し、セコムでは販売しない。警察通報支援に伴ってセコムが現場確認する場合は、1回1時間あたり11,000円が別途かかる。
今後はAndroid端末への対応も計画しており、時期は未定ながら早期対応を目指す。Apple Watch以外のスマートウォッチへの対応も検討している。
「ココセコム」が開発のきっかけに
セコムは、2001年からGPS位置情報サービス「ココセコム」を展開している。主に子ども・高齢者の見守りや個人の防犯対策などに利用されてきたが、法人での利用も多く、2021年頃からカスハラ対策を目的とした問い合わせや活用が急増したという。
また、顧客から「現場の状況を記録したい」「異変に早く気づきたい」「組織内で対応したい」「業務用スマホを活用したい」といった声も寄せられ、Safe Assistの開発につながった。
なお、Safe Assistは2025年8月にプロトタイプを発表し、同年10月から実証実験を実施していた。
10月から全事業主にカスハラ対策を義務化
10月1日に施行される改正労働施策総合推進法では、業種や規模を問わず、すべての事業主にカスハラ防止のための措置が義務付けられる。これまでも厚生労働省の指針で、相談体制の整備や被害者への配慮などが「望ましい取組」とされていたが、今回の法改正で対策が法律上の義務となる。
カスハラとは、顧客や取引先、施設利用者などによる言動のうち、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、それによって労働者の就業環境が害されるもの。暴行や脅迫、暴言、土下座の強要、威圧的・執拗な言動、長時間の居座りなどが例として挙げられる。顧客からの苦情や要求のすべてがカスハラに該当するわけではない。
事業主には、カスハラに対する方針の明確化や従業員への周知、相談窓口などの体制整備が求められる。問題が発生した際には、事実関係を迅速かつ正確に確認したうえで、対応者の交代や複数人での対応など被害を受けた従業員を保護する措置を講じるほか、再発防止にも取り組む必要がある。
特に悪質なケースについては、警察への通報や警告、法令上可能な範囲でのサービス提供拒否など、あらかじめ対応方針を定め、実行できる体制を整えることも求められる。また、カスハラについて相談したことなどを理由に、従業員を解雇するなど不利益な取り扱いをすることは禁止される。






















