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Google提唱の「VR180」とは。VR動画撮影・視聴・シェアがより手軽に。専用カメラが2018年春登場

米国ラスベガスで開催のイベント「CES 2018」にて、Googleが提唱するVR動画フォーマット「VR180」に対応するカメラが2機種、発表されました。この記事では、VR180と対応カメラについてまとめてみました。

VR180とは?

「VR180」とは、ざっくり言うと「前方180度の視界のみを撮影・再生するVR動画」フォーマットです。

「VRといえば360度、全周囲を見回せるもの」という認識が一般的な昨今ですが、一方で「VR動画に360度の視界は本当に必要なのか?」という疑問も絶えず提起されてきました。

例えば撮影時でいうと、360度カメラは既存のカメラとは全く異なったアプローチが必要となり、初心者には扱いづらいことがあります。撮影者が写り込むという独特の問題もありますし、編集にも専用のアプリケーションが必要となります。

そもそも、そうして360度の動画を製作しても、視聴者側からすれば、わざわざ背面に振り向くという面倒なことを本当にしたいのか?という問題もあります。

そうした疑問への「別に360度いらないのでは?」というGoogleなりの答えが「VR180」です。

VR180のメリット

では、VR180の具体的なメリットはどのような部分にあるのでしょうか。

初心者でも使いやすい

VR180対応カメラでは、撮影時にカメラを持っている撮影者は映り込まないため、より気軽に撮影できます。また、「レンズを被写体に向けて撮る」という既存のカメラ撮影手法の延長線上にあるので、初心者にもとっつきやすくなっています。

画質が良い

一般的に、360度動画では、撮影したデータを360度全方位に引き延ばすため、解像感の低下が目立ちがちです。一方VR180はその半分の視界で済みますから、データが360度動画と同容量、同解像度であれば、より解像感の低下が抑えられる見込みです。

編集環境を整えやすい?

360度動画の編集には専用のアプリケーションが必要となりますが、GoogleによればVR180フォーマットは通常の動画編集ソフトでも編集可能になる見込みです。ただ、アプリケーション側での対応は必要になりそうなので、現時点では未知数といえます。

3D立体視で撮影できる

今回発表されたVR180専用カメラは前面にレンズを2個搭載しており、視差を利用した3D立体視での撮影が可能です。これにより、視聴時には臨場感のある体験が可能になります。

クラウドとの連携

VR180専用カメラはWi-Fiを内蔵し、YouTubeやGoogle Photosなどに撮影データを手軽にアップロードできるようです。また、YouTubeでのライブストリームにも対応します。

Googleが公式ブログなどで「思い出を残す」というパーソナルな用途を強調する通り、個人が手軽に使えるというのがVR180の一番のウリということになるでしょう。

対応ハードウェアが2018年に登場

今回、CES 2018で発表されたVR180対応カメラは、レノボの「Mirage Camera」と、YIの「Horizon VR180 Camera」の2機種。ともに2018年春以降に発売の見込みです。

Lenovo Mirage Camera

Lenovo Mirage CameraはVR180に対応する4K対応の静止画/動画カメラ。デュアルレンズにより3D立体視での撮影が可能。発売時期は2018年第2四半期を予定しており、ターゲットとする価格は300ドル以下を目指すとのことです。日本での発売については検討中。

ディスプレイを搭載しないという割り切った仕様が特徴。スマートフォンと連携することで、スマートフォンのディスプレイでライブビューやモード切り替えなどが可能となります。

Wi-Fiモデルのほか、LTE内蔵モデルも用意されるようです。

記録メディアはmicroSDカード。充電はUSB Type-C経由で行います。

YI Horizon VR180 Camera

YI Horizon VR180 CameraはYI Technologyから発売予定のVR180対応カメラ。デュアルレンズ対応で3D立体視での撮影が可能なほか、5.7Kでの静止画/動画撮影に対応します。発売時期は2018年春で、日本での発売は未定。

2.2インチのタッチスクリーンを搭載し、ライブビューや撮影操作が可能。スクリーンはフリップ可能で、自撮りにも利用できます。スマートフォンと連携しての操作も可能。

記録メディアは内蔵のメモリとなる見込みで、Wi-FiやUSB Type-C経由でデータを転送するようです。

桑野雄