我らWi-Fi環境改善隊!【Vol.1】
「WiFi Analytics」でルーター変更の恩恵を確認してみる、の巻

2016/04/28 日沼諭史

我が家のWi-Fi環境を見直して、快適インターネット生活を実現したい

ほんの数年前まで「光回線の100Mbpsってすごい」とか思っていたはずなのに、今やモバイル通信でさえ理論値は下り200Mbpsを超え、固定回線に至っては1Gbpsや2Gbpsも当たり前になり、地域によっては10Gbpsを実現するプロバイダーも登場してきている。クルマにピーク馬力や最高速という性能を求める人がいるのと同様、通信についても高速さに対する欲望というのは尽きないもの、なのかもしれない。

昨年11月、小ぢんまりとした質素な家を建てた筆者も、予算は少ないながらもせめてネットワーク環境にはこだわれるようにと、設計段階からいろいろな部分で熟考を重ねてきた。住み始めてすぐに導入した固定回線は、その地域で利用できるなかでは最も高速な最大2Gbpsの光回線。無線LANルーターなどの機材は既存のものを使い続けることにしたけれども、とりあえずこれで少なからず満足のいくネットワーク環境になった、はずだった。

建てたばかりのマイホーム

ところが、やはり想像だけでは思い至らない、実際に住み始めてから徐々に気付くことがいろいろとあるものだ。リビングのある2階の中央付近に棚をつくり付け、そこに光回線を引き込めるようにし、無線LANルーターも同じ場所に置いたのだが、これなら屋内にWi-Fi電波がまんべんなく届くだろうと思いきや、いかんせん1階に電波が届きにくく、ストレス溜まりまくりなのだ。トップギアに入れたはいいものの、まだ回転数が足りなくて全然ちっとも加速しない、そんな感じである。

特に自宅でひとりきりになれる数少ない心のオアシスということで、1階にある「トイレ」と「風呂」にはスマートフォンを持ち込むことが多いのだが、とりわけこれらの場所はWi-Fi電波が安定しないことが分かってきた。Netflixのような動画ストリーミングを見る際に、問題なくスムーズに再生して長トイレしたり長風呂したりすることもあれば、ときにはシンプルなWebサイトの読み込みすら始まらないこともある。スマートフォン画面のWi-Fi電波強度の表示上は十分なように見えても、全然通信しないのだ。

リビングはまあまあ快適に通信できるが

1階のトイレでは通信できないこともままある

そんなときは諦めて一時的にWi-Fiをオフにし、LTE通信に切り替えてしまうのだが、Wi-Fiをオフにしたことをコロッと忘れてしまい、Wi-Fiが問題なく使えるリビングや会社でもLTEのまま使い続け、上限のある通信量を無駄に消費して、後で憂鬱な気分になってしまうこともある。せっかくの2Gbps固定回線が全く活かされていない……。こんな悲しい出来事は自分の世代で終わりにしなければならない。

果たしてどこに原因があるのか。必ずしも既存の無線LANルーターだけに問題があるわけではないと思うけれど、ひとまず、5GHz帯で1733Mbps、2.4GHz帯で600Mbpsの、合計2333Mbpsものキャパシティをもつネットギアの高性能無線LANルーター「Nighthawk R7500」に置き換えてみて、状況が変わるかどうか調べてみることにした。調査に利用するのは、同じくネットギアが公開しているWi-Fi解析アプリ「NETGEAR WiFi Analytics」である。

ネットギアの無線LANルーター「Nighthawk R7500」

設置状況。左に見えるのは光回線のONU。Wi-Fi機能を備えているが元からオフにしている。既存の無線LANルーターはこれとは別の機材だ

風呂、トイレなどで電波状況をチェック!

NETGEAR WiFi Analyticsは、Wi-Fiの電波状況をさまざまな観点からチェックできるアプリ。対象はネットギア製品に限られるわけではなく、他社製品のある環境でも利用できる汎用的なツールとなっている。チェックできる内容は、現在接続していアクセスポイント、もしくは周辺にあるアクセスポイントの電波強度と使用チャネル、SSIDなどの各種情報で、電波強度やその推移はグラフ表示することも可能だ。

「NETGEAR WiFi Analytics」。現在接続しているアクセスポイントの電波強度をメーター表示する画面

電波強度やリンク速度を簡単に記録していける機能

周辺にあるアクセスポイントの情報を表示する機能

現在接続しているアクセスポイントの詳細

選択したアクセスポイントの電波強度をグラフ表示

それらのうち電波強度の推移をグラフ表示する機能を使って、まずは無線LANルーター変更前の我が家のリビング、トイレ、風呂の電波強度を計測してみた。2.4GHz帯と5GHz帯の両方を記録した結果は以下のとおり。グラフのラインが上の方にあるほど電波強度が強いことを表しており、それぞれおよそ1分間程度その場所に止まっている。

既存ルーター使用時の電波強度

2階リビング。2.4GHzは-35〜-50dBm、5GHzは-40〜-50dBmを行ったり来たり

1階トイレ。2.4GHzは-55〜-65dBm、5GHzは-60〜-65dBあたり

1階風呂。5GHzでは-70dBmになることもあったが、どちらも-60〜-65dBm付近でだいたい安定している

そして、無線LANルーターをR7500に入れ替え、再度同じ場所で計測してみた結果が以下である。

R7500使用時の電波強度

2階リビング。2.4GHzは-35dBm前後、5GHzは-40dBm前後で安定

1階トイレ。2.4GHzは-55dBmあたり、5GHzは-50〜-60dBmでやや振れ幅がある

1階風呂。2.4GHz帯は-65〜-70dBm、5GHzは-70dBmで安定

数値上の差はわずかだが、R7500に変更した後の方がリビング、トイレで電波強度が高く、変化の振れ幅も少ないので、安定的に利用できるであろうことが分かる。風呂ではややR7500の方が低下気味ではあるが、実際にスマートフォンで通信したところ、体感上はトイレ、風呂ともに明らかに速度が増していて、念のため時間帯を変えて試してみても、朝から夜までサクサクだ(リビングはいずれにしても高速なので体感の差は少ない)。ますます長風呂&長トイレがはかどる。

参考までに通信速度をテストしてみると以下のようになり、体感だけでなく、実速度もアップしていることを確認できた。

機材別・場所別の通信速度(単位:Mbps)
場所 R7500 既存ルーター
下り 上り 下り 上り
2階リビング 77.19 88.35 53.62 68.23
1階トイレ 54.79 83.99 43.70 73.99
1階風呂 54.77 67.19 26.53 57.95

※通信速度のテストには「Speedtest.net」を使用。5GHz帯のアクセスポイントを利用した

ツールで現状確認し、改善にチャレンジしてみよう

ただし、当然ながら、使用するチャネルや無線LANルーター(アンテナ)の向きも電波の届きやすさ、実通信速度に影響する。「どの家庭でもR7500に変えれば必ず電波が改善する」とは言い切れないことをご理解いただきたい。少なくとも我が家が、R7500との相性が良いことは確かなようだ。

みなさんもぜひ一度NETGEAR WiFi Analyticsを使って、自宅のWi-Fi電波の状況を調べてみてほしい。今回のように機材の置き換えというネットワーク環境の“大手術”はある意味最終手段ではあるが、ツールを使えば自宅の無線LAN環境を客観的な数値で把握でき、想像より速度が出ていないことが分かったとしても、無線LANルーターの設置場所変更などちょっとした工夫で電波状況が改善される可能性がある。最速・最強の無線LAN環境に向け、筆者も次回以降さまざまに試行錯誤を繰り返していく計画だ。

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