■もう一人の主役、I.L.M.の最新技術

 本作のようなSFX大作では、当然のごとく特殊効果がふんだんに盛りこまれている。撮影の際、演じる側としては苦労も多いのではないだろうか。

 「一番苦労した点は、やはり戦う相手が現場にいないというところ。一番気に入っているのは、ロンドンを走るバスのシーンですね。実際にバスの中にミイラはいませんが、私はいると信じて、そしてとても危険なものだと信じて演じました。最終的にはCGのクリエーターたちを信じるしかないと思うんです。

 昔は指示に従い厳しい制約の中で演じていましたが、特殊効果の技術はどんどん進歩し高度になっているので、今では俳優は自由に演技させてもらい、それに技術がついてきてくれるようになりました。我々にとっては非常にやり易いんです。でも役者がいらなくなってしまうという危険性をはらんでいるところは心配ですが」

 最新テクノロジーを駆使した特殊視覚効果は主役並に貢献度が高いというわけだ。この分野には個人的にも興味を持っているというフレイザー。CGによって彼のアドリブが生かされた場面もあったという。

 「バスのシーンで、脚本にリックがミイラと戦う際、彼らを遠ざけるために目に指を突っ込むというシーンがありました。その時つい指を払い、何かが指に付いてしまったという動きをしてしまったんです」

 もう一度やり直すと申し出たフレイザーに対し、スタッフは面白いのでそのまま動きを生かそうと提案。後にI.L.M.は気味の悪いベタベタを作り上げ、リックの指に付着させた。

 「あの場面のぐにゃぐにゃしたものが、私のこの映画に対する最大の貢献です」とフレイザーは笑う。

 最新テクノロジーと生身の俳優の即興が見事に生かされた、現代の映画撮影事情が垣間見えるようなエピソードである。



MOVIE Watchホームページ


Copyright (c) 2001 impress communications corporation All rights reserved.