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HoloLensの体験デモやAR的FinTechも、VR/AR/MRから見たInterop Tokyo 2017

幕張メッセで6月7日から9日まで開催された「Interop Tokyo 2017」は最先端のネットワーク技術と製品のイベントだが、VR/ARのソリューションに加え、今年はMicrosoft HoloLensのMRソリューションが各所で見られたのが印象的だった。ここではその中でも特徴的だった展示をダイジェストでレポートしたい。

HoloLensで遠隔地とのコミュニケーションを実現する「バーチャルテレポート」

Interop Tokyo 2017と併催のアプリジャパン2017で、インフォコムがHoloLensとIntel RealSenseカメラを組み合わせた、遠隔地の相手と立体的かつ双方向のコミュニケーションを実現する「バーチャルテレポート」のデモを行なっていた。

同様の遠隔地との立体的コミュニケーションは、すでにMicrosoft ResearchがKinectで実現しているが、インフォコムはRealSenseカメラ4台と8コア16スレッドのRyzen 7のPCにUbuntuとGitHubに公開されているlibrealsenseなどオープンソースのライブラリを活用することで、コストを抑えているのが特徴。通信には、遅延が少なくリアルタイムコミュニケーションに適したWebRTCのメディアストリームとデータチャネルを用いている(HoloLensへはWebSocketを使用)。インフォコムのブログで詳細な技術解説をしているので、興味があれば記事末の関連リンクから参照されたい。

拠点A(自宅など)は4方向に設置したRealSenseカメラと、そのデータを処理して別拠点に伝送するPC(画面左)、遠隔地の拠点から送られてくる映像を表示するモニタで構成
拠点Aで人物をスキャンするために設置されたRealSense
1対1でコミュニケーションするシーンを想定する拠点Bは、HoloLensへ拠点Aから送られてきた人物の3Dデータを表示する
会議室など多人数とコミュニケーションするシーンを想定する拠点Cは、拠点Aから送られてきた3Dデータを設置型ホログラフィックディスプレイに表示しつつ、THETAで捉えた360度の映像を拠点Aに送り返す

建設現場へ図面を投影する「GyroEye Holo」

同じくアプリジャパン2017でインフォマティクスが展示していたのは、図面を実際の建築現場で投影するためにHoloLensを利用したソリューション「GyroEye Holo」。

同社は建築CADデータをスマホでVR表示する「GyroEye」も提供しており、CADデータの現場へのポータビリティを高める1つの方法としてHoloLensを利用したのが今回のソリューションである。先日開催されたMicrosoftの開発者向けイベントde:code 2017でも小柳建設の「Holostruction」の発表などがあったが、もともと建築物の3Dデータを扱ってきた建設業界とMRの相性がいいのは確かなようだ。

GyroEyeでは建築CADデータをスマホVRで表示するソリューションを提供
GyroEye Holoはマーカーが設置された建築現場に図面のデータを重ね合わせて表示する、HoloLensを通して図面を確認しながら現場作業を行えるのがメリット
会場ではHoloLensを通して実際に小間の図面が表示される様を体験できる、ちなみにマーカーはこのパンフレット
HoloLensから見える図面のイメージ

360度VR動画のワンストップソリューションを提供する「GuruVR」

Interop Tokyo 2017と併催のConnected Media Tokyo 2017でジョリーグッドが展示していたのは、VR動画コンテンツソリューション「GuruVR」である。

360度VR動画制作のトレーニングやコンサルティングから、コンテンツ管理のシステム、配信サーバーの提供と再生アプリまでをワンストップで提供できるのが強みだという。毎日放送や東海テレビなど、テレビの制作現場でも採用されている。

専用アプリをインストールしたスマホを用いて、一般的なスマホ用ゴーグルに装着して視聴するほか、ゴーグルに装着せず単眼式でも視聴できる
スマホアプリはメニューやアイコンに視点を合わせて選択をするタイプで、動画の選択のほか再生コントロールもできる
GuruVRで制作した毎日放送の360度VR動画

フィンテックサービスをARで「Economy in Life」

Interop Tokyo 2017のIoT×AI×5GWORLDエリアでは、リコノミカルが金融とARとAIを組み合わせたフィンテックサービスのプロトタイプ「Economy in Life」を展示。

スマホやHoloLensで企業ロゴ読み込むことで、企業に紐づく金融情報をAR的に表示するほか、新聞の株式情報をAR的に視覚化する。今後の構想としては、画像認識とAIを活用して企業ロゴのみならず商品そのものから企業を特定して情報を表示できるようにしていきたいという。

「東証第一部」のバナーをマーカーに、日付情報を読み取ってネットワークから株式情報を取得しグラフ化している
企業ロゴをマーカーとして読み取って、関連する企業情報を仮想空間上に表示する

裸眼立体視ディスプレイによるVRパフォーマンスの共有

Interop Tokyo 2017と併催のデジタルサイネージジャパン2017のE3ブースでは、VRアーティストのせきぐちあいみ氏のパフォーマンスを同社の裸眼立体視ディスプレイでリアルタイムに鑑賞する、というデモが行なわれた。

これまで、VRのパフォーマンスを観客に見せる手法としては、クロマキーによってVR空間と演者を合成するのが一般的ではあったが、立体感までは伝えきれていなかった。その課題に対して、大型の裸眼立体視ディスプレイは一つの解ともいえるだろう。このほか同社は、360度の3DCG映像と立体音響でVR空間を演出する「4D王」を用いて、今回のイベント限定のスペシャルコンテンツ「頭文字D project VR -疾駆-」も展示していた。

VRアーティストのせきぐちあいみ氏が、仮想空間に作品を作り上げる課程をリアルタイムに裸眼立体視ディスプレイで観覧するというデモ
現時点ではまだVRの情報を直接表示することはできず、今回のデモはイベント用の特別なシステムとのこと、今後の標準対応を期待したい