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【新コーナー】おすすめVRコンテンツレビュー

第1回は3つのコンテンツを一挙紹介!

時はまさにVR戦国時代。水面に浮かぶ泡のごとく顕れては消えてゆく数多のVRコンテンツたち。本コーナーでは、そんなVRコンテンツをピックアップしてレビューしていきます。

第1回となる今回は、スペシャル版として3つのおすすめVRコンテンツを紹介していきましょう。

目指せ年収○百万円!? 「ひよこ鑑別VR」

実際の手の動きをシミュレートできるVRコントローラー、そのポテンシャルをフルに発揮したゲームが、ひよこ鑑別というテーマをストイックに突き詰めた「ひよこ鑑別VR」だ。

※イメージ映像です

ひよこ鑑別師は、養成所での数ヶ月の講習、孵化場での1年以上の研修、そして試験への合格の末にようやく国家資格が得られる職業だが、本作ではこの道のりを忠実にシミュレート。プロのひよこ鑑別師の監修も受けており、徹底したリアリズムを貫いている。

鑑別の方法として用いられるのは肛門鑑別と呼ばれる非常に熟達した技量を求められる技法だが、チュートリアルを通じて懇切丁寧に(具体的には、実時間数ヶ月間の講習で)教えてくれる。ひよこ鑑別パートでは、ひよこのやわらかい身体や毛並の感触が味わえ、可能なら永久にモフモフしていたくなるほどの気持ちよさ。癒し系ゲームとしての可能性も感じるが、実際には背後で鬼教官にどやされながらの鑑別となるため、常に肉体的にも精神的にも追い立てられながらのプレイとなってしまうのはマイナスポイントだ。エンドレスモフモフモードの実装を強く要望したい。

VR内でひよこの肛門をまさぐっている様子

資格取得後は鑑別師としてのキャリアを積むに従い自身の鑑別師ランクも上昇していき、ランクA以上でグランドチャンピオン鑑別師に挑むことも可能。グランドチャンピオンに勝利するには100羽のひよこを3分以内に精度100%で鑑別する必要がある。そこまで来ると現実世界でもひよこ鑑別師として活躍できるだけのスキルが身についているだろうが、いうまでもなく別途国家資格を取得しなければひよこ鑑別師にはなれない。現実のひよこ鑑別師を育てるVR学習として活用できそうに思えるが、このゲームをクリアしたからといって国家資格がもらえるわけではない現実が徒労感を増幅する。

VR活用度 : ★★★☆☆
ひよこかわいい:★★★★★
徒労感:★★★★★

懐かしの競技(?)をVRで再現。「豆つまみ皿移しVR」

VRのキモは現実世界のプレイヤーとVR世界の間のインタラクション。その鍵となるのはいうまでもなくコントローラーだ。VR汎用のVRコントローラーでは再現不可能な人間のハンド・インターフェースを実現する、という技術者の野心が生み出した特化型VRコントローラーのひとつが、「VR箸」である。

VR箸

和の精神性をVR空間に持ち込むというコンセプトで開発された「VR箸」は、加速度センサー、ジャイロセンサー、ハプティックエンジン、正しいお箸の持ち方センサーなど100種類以上の技術を埋め込むことで、2本箸の挙動をVR内で忠実に再現。また、VR世界でお箸でつまんだものの感触を現実世界のプレイヤーに忠実にフィードバックする。

様々な活用が考えられそうでいて実はそんなに考えられなさそうなこのデバイスの普及のため、満を持して作られたデモンストレーションアプリが、この「豆つまみ皿移しVR」である。

本作はVRならではの要素として、豆の種類、大きさ、硬さ、調理法などを自由自在に豆メイク(略して豆育)することができる。しかも、皿に乗っている十数個の豆をひとつずつカスタマイズできるという、こだわりぬいた仕様となっている。というか、一括での編集機能はついていないので、プレイヤーはひとつずつ、それぞれの豆を丹念に豆メイクしていくことで、個々の豆に対する強い愛着を感じられるようになっている。

なお、豆メイキングデータはゲーム終了後にスタッフがおいしくいただくので保存は不可能となっている。

ゲーム内容自体はあえて説明しない。豆だけを運ぶ機械かよ!
VR活用度:★★★☆☆
無常度:★★★★☆
お腹減り度 : ★★★★☆

エゴを可視化すると人類が進化するかも、しないかも。「自意識MR」

現代を生きる我々にとって、「自意識」というのは避けて通れない問題だ。といっても哲学的な話ではなく、「自意識過剰」とか「意識高い系(笑)」などと揶揄される方面の話だ。

「意識が高い」とか「自意識過剰」というのは畢竟程度の問題だろうが、「どの程度だとマジヤバイのか」という閾値はいまいち不明瞭ではないだろうか。どうしたら意識高い系と言われてしまうのか、どの程度から自意識過剰なのか、そんなことを気にしすぎて夜も眠れない自意識ライジングな現代人におすすめなのが、この「自意識MR」アプリである。

自意識が肥大化しがちな現代人のためのアプリ「自意識MR」

このアプリでは、ARやMRに対応したデバイスを用いることで、自分の自意識の肥大化ぶりを可視化することができる。具体的には、自意識が自分の目の前に確固としたオブジェクトとして出現する。この自意識は、プレイヤーの行動や言動によって、サイズや位置などがリアルタイムに変化していく。つまり、自分がした行動がどれだけ自意識に満ち満ちているのか、目の前のオブジェクトに反映されることで一目でわかるようになる。脳波測定や視線トラッキングに対応したヘッドセットなら、心理状態までも反映するというから驚きだ。

今回、編集部にて試したところ、装着者が「昨日は2時間しか寝てないからマジ眠いわ〜」とミサワ的つぶやきをしたところ自意識は上昇。また、むやみやたらにカッコよさげな横文字を口にするたびミラーボールのように激しく明滅。鏡の前で髪を3分以上セットしていると幾何級数的な速度でサイズが肥大化していった。

ちなみに、うまく自意識をコントロールして手元に近いところに置いておけば、撫でたり磨いたりして手入れすることもできる。手入れを繰り返した自意識は徐々にいい感じの色艶が出てきて、愛着も湧いてくる。こうした育成ゲーム的な楽しみ方も可能な、懐の深いアプリといえるだろう。なお、肥大化しすぎた自意識は最終的に大爆発を起こし強制的にゲームオーバーとなる。

自分自身の、そして人類のエゴに向き合いたい人におすすめのアプリだ。

なお、今後のアップデートでは育成要素が強化され、育った自意識に応じてモンスターが誕生し、プレイヤー同士でモンスターを戦わせることも可能となるという。負けて粉々に砕け散った自意識は優しい言葉をかけるなどして再度育成する必要があるなど、シビアなゲーム性になるとのことだ。

VR活用度:★★★★★
エゴだよそれは度:★★★★☆
ナルシス度 : ★★★★☆