VR Watch

幻の「Sega VR」が発売できなかった理由、当時の関係者が明かす

1993年に発表された幻のセガ製VRヘッドセット「Sega VR」こと「Virtua VR」。その発売中止の理由を、当時Virtua VRに関わった人物であるMark Pesce氏が明かした

仮想現実モデリング言語「VRML」の発明者のひとりであるMark Pesce氏は、VRブームの最中の1991年、コンシューマー向けVRの開発を目指す「オノ・センダイ」社(ニューロマンサー!)を設立。VR用のデバイスがまだまだ高価な頃にあって、安価な3軸ヘッドトラッキングセンサーの特許を保有していた。

その特許に目を付けたのが、当時コンシューマー向けのVRヘッドセットを開発中だったセガ。オノ・センダイはセガに特許をライセンスし、両社の協力のもと作られたVRヘッドセット「Virtua VR」は、1993年のCES(コンシューマー・エレクトロニック・ショー)にてお披露目された。

Virtua VRは大きな反響を呼び、「Popular Science」誌で賞を受け、その表紙を飾るほどだった。が、実際の製造に進むという段階で、その「快適性と安全性に疑問が投げかけられた」という。

Virtua VRが雑誌の表紙を飾ったその数ヶ月後、セガはそのプロジェクトを葬った。Pesce氏は「VRの安全性への疑念、Virtua VRが子どもの健康を損なうのではないかという疑念」がその理由だったと語っている。

その後、オノ・センダイ社は「Virtua VR」のキャンセルが響き1994年に倒産してしまったとのことだ。

余談だが、オノ・センダイ社が倒産した1994年は、セガのアミューズメント施設「ジョイポリス」にてVRヘッドセット「メガ・バイザー」を用いたVRアトラクション「VR-1」が開始した年。「Virtua VR」と「メガ・バイザー」の技術的な繋がりなどは不明だが、運命の皮肉を感じてしまうところだ。