VR Watch
「WebのVR化」に向けて邁進するGoogle
週間VR Watcher 6月27日〜7月3日
2016年7月4日 20:16
1週間のVRに関する話題を独断と偏見に基づきピックアップし振り返る「週間VR Watcher」。今週はVRの世界をWebの世界に持ち込もうとするGoogleの動きを追う。
Web + VRがいよいよ加速
様々なVRヘッドセットやアプリが登場し、ゲームや動画など多くのコンテンツを楽しめるようになってきた。しかし、その多くはダウンロード/インストールが必要なアプリの形をとっている。Webの巨人は、こうした「VRの世界」を標準的なWebブラウザーの中に持ってこようとしている……。
モバイル向けVRプラットフォーム「Daydream」のローンチを控えるGoogleは、Android版ChromeにVR技術の実装を着々と進めている。
まず、Android版のChrome BetaはWebVRにネイティブ対応した。WebVRはWebブラウザー上でVR環境を動かすためのJavaScript APIで、W3Cで標準化の作業も進んでおり、「WebをVR化」する手段の本命と目される。これまではFirefoxやChromeなど一部ブラウザーの実験ビルド上や、Gear VRの標準ブラウザーである「Samsung Internet for Gear VR」など一部ブラウザーのみで実装されていたが、今回、Android版Chromeの正式版一歩手前といえるChrome Betaにも実装された。これにより、「WebVR Polyfill」などの追加プラグインなしにネイティブでWebVRを実行できるようになる。
もうひとつ、Android版Chrome Betaのさらに正式版一歩手前といえる「Chrome Dev」に、「VRシェル」モードの設定を加えた。これは、一言でいえばVRヘッドセット用のWebブラウジングUIを提供するものでもあり、VR対応サイトも、非対応サイトも、いちいちヘッドセットを外すことなく一貫してVRでブラウジングするための機能だという。同様の機能はすでにGear VR向けの「Samsung Internet for Gear VR」で提供されているが、これと同様の機能がGoogle Cardboardや将来登場するだろうDaydream対応ヘッドセットでも利用できるようになるはずだ。現在はDevのみでのリリースだが、今年10月には正式バージョンに実装される見込み。
Googleはこのほかにも、VRコンテンツをWebページに手軽に埋め込める「VR View」のリリースや、MozillaでWebVRに関わっていたJosh Carpenter氏の雇用など、着々とWeb+VRに歩を進めている。
その一方で先日、VR/ARに向けた動きを見せたのがTwitterだ。
Twitterは6月28日、Appleの元デザイナーであるAlessandro Sabatelli氏を「ARおよびVR担当ディレクター」として雇用したことを認めた。Sabatelli氏はApple時代にOSのUIデザインを担当したほか、直近の職場はAR/VR関連企業だったという。
ソーシャル分野におけるTwitterのライバルであるFacebookも最近、Gear VRで360度動画視聴中に「いいね」を残せるようにするなど、傘下にあるOculus VR社、および協力関係にあるSamsungのGear VRを軸に着々とサービス拡充に取り組んでいる。Web+VR、そしてSocial+VRの覇権を争う戦いは、まだ始まったばかりだ。
Radeon RX 480発売、PCでのVR体験がより身近になる
6月30日、AMDの最新GPU「Radeon RX 480」を搭載するグラフィックカード、およびPCが全世界で発売開始した。
- 【レビュー】期待のアッパーミドル「Radeon RX 480」をテスト - PC Watch
- http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/1007668.html
- 【佐藤カフジのVR GAMING TODAY!】PC用VRの普及促進へ! AMD新GPU「Radeon RX 480」 - GAME Watch
- http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/vrgaming/1007590.html
- 【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】FinFET時代のAMDのGPU「Polaris」アーキテクチャ - PC Watch
- http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1007858.html
RX 480は、同社の最新GPUアーキテクチャ「Polaris」を採用。その最大の特徴はコストパフォーマンスで、希望小売価格はメモリ4GB搭載の下位モデルで199ドルと低価格ながら従来のよりハイクラスなGPUを上回るVR性能を持つ(日本では現状8GBモデルのみ発売で実売3万円前半〜後半くらい)。
VRパフォーマンスをウリにしたGPUとしては先日発売したNVIDIAの「GeForce GTX 1080」や同「1070」もあり、いよいよユーザーの選択肢も多くなってきた。いずれも実売価格はこれからこなれていくことが予想されるので、VR向けのPCを新調したい、という向きには絶好のタイミングが訪れそうだ。

