FINANCE Watch
ナスダックJとAIUが保険販売で協力~株主代表訴訟などに対処

(左から)
リッチ・バートロッタ
ナスダック・ジャパン上席副社長管理本部担当
佐伯達之 ナスダック・ジャパン社長
吉村文吾 AIU保険日本代表
福江吉郎 AIU保険取締役

  ナスダック・ジャパンと損害保険のAIU保険は28日、同市場の上場企業に対して企業のリスク管理に関する総合的な保険商品・サービスを提供する専用プログラム・パッケージ「マネジメント・リスク・プロテクション(MRP)」の販売について協力することで合意したと発表した。今回の提携は、米国NASDAQとAIUの親会社AIGとの間で約4年前から結ばれているパートナーシップを反映したもので、AIGは米国でこの保険の40%のシェアを持っているという。

  MRPは、ナスダック・ジャパン上場企業に対して会社役員賠償責任保険(Directer&Officer=D&O保険)を主力にその他の特約やサービスをパッケージングしたプログラムとなっている。D&O保険は、株主代表訴訟が提起された場合やスキャンダル発覚、食中毒など衛生管理面で第3者に損害を与えた場合など、企業が危機に直面したときにおいてその対処方法のアドバイスや対処費用を支払うといった保険で、保険契約者のリスク対処費用を支払う「危機管理費用担保特約(CrisisFund)」が自動的に付帯されている。企業とその役員をさまざまな経営上の賠償責任や犯罪による損害のリスクから守るために開発され、こういったリスクをマネージメントすることで、経営者は本業に専念することができ、株主に対しても責任を果たすことができるという。

  このほか同プログラムに含まれる保険商品は、雇用上の差別や不当解雇、セクハラによる損害賠償リスクをカバーする「雇用慣行賠償責任保険(EPL保険)」や、従業員の横領や背任、第3者による偽造やコンピュータ犯罪などの損害から守る「企業包括補償保険(コーポレートガード)」、Webサイトの内容に関する損害賠償請求リスクをカバーする「ホームページプラス」がある。

  保険の販売開始時期は未定だが、3月中には開始したい意向で、現在専用の保険パンフレットを制作中だという。保険料は当該企業の資本金や業態、従業員数などを考慮した自由料率制をとっている。

  吉村文吾・AIU保険日本代表は「株主代表訴訟は1999年に286件、昨年には300件を超え、言いがかり的なものも含めて増加傾向にある。企業を取り巻くあらゆる危険や危機、それに伴う損失を回避もしくは未然に防ぐことがますます重要で、欧米で培ったこの分野のノウハウを日本で提供することでコーポレートガバナンスの促進やナスダック・ジャパン市場の成長に寄与していきたい」と豊富を述べた。

  一方、ナスダック・ジャパンはAIUに対してナスダックのロゴをライセンス供与する。また、保険販売に伴いナスダック・ジャパン側に手数料等など何らかのマージンが入ることも現在詳細を詰めているという。佐伯達之・ナスダック・ジャパン社長は「今回の協力は11カ月前から話し合ってきたが、これで米国同様に上場企業向けサービスを日本でも本格的に提供することができる。企業リスクやコーポレートガバナンスに対して意識がある市場としてアピールすることが差別化につながり、1社でも多い企業の上場を狙うことができるだろう。上場予備軍(ナスダック・ジャパンクラブ)に対してもこの保険を積極的にアピールしていく」と、上場企業向けサービスとしての重要性を強調した。

■URL
・ナスダック・ジャパン
http://www.nasdaq-japan.com/
・AIU
http://www.aiu.co.jp/
・大証、ナスダックJ外国部の決済をシティバンクに委任~6月には数社が上場へ
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/02/20/doc2058.htm

(別井貴志)
2001/02/28 18:36