FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~永田町もタイタニック

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●森総理再び危険水域へ
  「複雑9人だけの “帰港”、まるでタイタニック」(産経)、「実習生無念の帰国」(毎日)。ハワイ・オアフ島沖で米原子力潜水艦と衝突、沈没した「えひめ丸」から救出された宇和島水産高校の生徒9人が、13日夜、地元の松山空港に到着した。だが、「行方不明者の安否を思う素直に喜べない」と語っているように、生徒、家族の表情は複雑だ。

  きょうの各紙は、社会面など見開きで帰国した生徒の表情を詳細に報道。朝日は1面トップで「マストに抱きつき生還、衝突後5分で船尾から沈没」、東京も「潜水艦が救助いかだに近づきながら言葉の壁で有力な救助策が行われなかった」など、事故当時の状況を伝えている。

  産経、毎日は、連絡を受けながらゴルフプレーを続行していた「対応遅れ批判」に対して、森首相は「危機管理でなく事故」と、居直り発言したことを取り上げている。

  しかし、きのうはブッシュ大統領も初めて公式に謝罪、今後、船体引き上げなどをめぐっては日米友好関係を揺るがしかねない恐れもある。総理も人間、大好きなゴルフをやるなと言うつもりはないが、今は国会も会期中。「右往左往したり、車だと携帯電話もつながりにくい」など苦しい釈明ばかりを並べても国民も納得できない。森サン新しい携帯電話の性能はそんなに悪くないハズですよ。

  懸案だったロシアのプーチン大統領との「日露首脳会談」を来月25日に開くことを決めたというが、 “森タイタニック内閣”がそれまで続けられるかどうか?

  ◇「森おろし」のもう1つの爆弾、「外務省機密費横領事件」では、外務省幹部が気になる証言。読売によると「松尾元室長が流用した機密費は私的飲食代を含めた上層部のための裏金として省ぐるみで不正に扱っていた」実態が浮かび上がった。

  ◇日経は、グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長が景気先行きを警戒「従来よりも積極的な対応が必要になっている」と、追加的な金融緩和を示唆したと上院銀行委員会での発言を取り上げている。

  【経済・IT】
  ●「力不足」の公定歩合引き下げ
  日銀が公定歩合を年0.5%から史上最低の年0.35%に引き下げた13日の東京金融市場は、株式市場が反落し、長期金利が下落したほか、円安・ドル高も進み、改めて日本経済の先行きに暗い影が差していることを印象付けた(毎日)。市場の反応は冷やかで公定歩合引き下げでは「力不足」を指摘する声が支配的だ。

  ところで、日銀の金融政策に関してちょっぴり手前味噌を。今回、大手メディアも全くの意表を衝かれたのが「ロンバート型貸し出し」の創設だったが、FINANCE Watchは発表のちょうど1週間前の2月2日の記事(公定歩合の“意味”が変わる?)で、その可能性を示唆している。ご関心の向きはご一読を(http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/02/02/doc1877.htm)。

  ◇産経が「ネットバブル “崩壊”1年」を検証。あの光通信(9435)やソフトバンク(9984)の株価がピークをつけてから1年がたって、投資家もネット企業も「夢から現実」に引き戻された。今では投資家は業績を基準に「勝ち組」への投資チャンスをうかがっており、ネット企業は厳しい淘汰の時代を迎えたと警告している。「東京・渋谷のビットバレーでは静かに廃業している企業も多い」とも。

  ◇IT関連の新技術が目白押し。富士通(6702)の子会社が有権者の票をネットワーク上で管理できる次世代選挙を想定した投開票システムの試作機を開発(毎日)。従来よりも時間や人件費を大幅削減できる開票即 “当”が可能という。先の米大統領選に使われたらよかったのに・・・。

  ◇オムロンは(6645)は、DDI(9433)ポケットの PHS端末用にケーブルなしにパソコンなどとデータがやりとりできるモデムを開発、今春から売り出す。「ブルートゥース」と呼ばれる短距離無線通信技術を使ってパソコンと移動電話をつなぐのは世界で初めてという(朝日)。

  ◇一方、日経によると、総務省は次世代のインターネット通信手順「IPv6」を米国に先駆け実用化するため、NTTコミュニケーションなどと共同実験に着手するという。2005年までにネット先進国になることを目指している日本だが、今のところは米国に比べ、大幅に出遅れていることは否めない。

  【トピック】
  ● 笑うに笑えない
  毎年恒例になった「サラリーマン川柳コンクール」。第一生命保険が入選作品を発表。きょうの産経ほか各紙はその作品を取り上げている。そのいくつかを披露すると、「ドットコム どこが混むのと 聞く上司」「オフィスから 転職サイトを 漁る部下」「『いま電車』 だったらすぐ切れ そのケータイ」「忘年会 携帯切って 妻切れる」「宝くじ 馬鹿にしながら 根は本気」「プロポーズ あの日にかえって ことわりたい」「コストダウン さけぶあんたが コスト高」「肩たたき 昔、孝行 今、不幸」「とうさんと呼ぶな明日からパパと呼べ」「人が減り、給料減って、仕事増え」・・・、などなど世相を反映している作品が多く、なかなかおもしろい。が、なかには笑うに笑えない身につまされる川柳も。

  ◇東京・渋谷のハチ公前のビル壁面にある大型ビジョンで、1件30秒間、個人用メッセージを無料サービス中(朝日)。義理チョコばかりの筆者は淋しい1日だが、きょう14日はバレンタインデー。ここで「愛の告白」をする女性も多いとか・・・。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー 2月
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/02.htm

2001/02/14 10:08