FINANCE Watch
2001年証券市場を読み解くキーワード

  21世紀の幕開け―。しかし、株式市場は米国の電撃的な利下げにもかかわらず、下落のスタートとなった。この先、曙光は見えてくるのか、2001年の証券界を占いながら春までのキーワードを拾い上げてみた。

  ●1月
  ▽年明け4日、大発会と同時に日銀のRTGS(即時グロス決済)がスタートした。既に一部の中小証券はシステム対応をあきらめるなど、国債取引が変貌を遂げるのは必至。取引ロットの大口化が進み、大手や外資が一層牛耳る寡占化が進むだろう。

  ▽月内に東証が子会社業績連動株式「日本版トラッキング・ストック(TS)」市場を開設する予定。米国では、1984年にゼネラル・モーターズ(GM)がTSを初めて発行したが、その後発行件数は40件程度に過ぎないという。ソニー(6758)が第1号となる予定だが、日本で定着するのかは全くの未知数。

  ▽22日にゴールドマン・サックス(GS)が国内初の私設夜間市場を開設する。取引時間は当初、午後5時~午後7時だが、2月には午後11時半まで延長する。野村証券(8604)などの反対に遭い、東証の夜間取引構想は暗礁に乗り上げたから、GSはひと山当てるかもしれない。それにしても、アフター5に酒も飲まず、パソコンと睨めっことは・・・。兜太郎は遠慮しておく。

  ●2月
  ▽自民党の加藤紘一・元幹事長による内閣不信任騒動の際、指摘していた「2月金融危機」は発生するのか。日米の株価、長短期金利の動向、政局など、多数のパラメーターが複雑に絡み合うが、3月期末を控えて何が起きても不思議ではない。

  ▽日証協が店頭株式市場を株式会社化する予定だが、東証マザーズや大証ナスダック・ジャパンなどとの市場間競争が激化する中、株式会社化しても舵取りは容易ではない。

  ●3月
  ▽3月期末の株価が最大の焦点になるが、相場を予想する自信はない。破局的なことが起きないよう、ひたすら祈るばかりだ。

  ▽イー・ウイング証券と日本オンライン証券が合併する予定。このほか、マネックス証券(8626)は6月にセゾン証券を事実上吸収し、日興証券(8603)は傘下の日興ビーンズ証券とIT証券を合併させる。インターネット証券業界は「薄利多売」「利益なき繁忙」に疲弊し、再編・淘汰は不可避になった。外資も絡みながら、さらに色々な組み合わせが取り沙汰されている。

  ●4月
  ▽東証が不動産投資信託(日本版REIT)の市場を開設する。米国では刑務所までREITの対象になり、地価復活の立役者といわれる。日本でも不動産市況低迷の切り札として期待がかかるが、優良物件を生命保険会社などが手放すだろうか、タマ不足が懸念される。不良物件ばかりなら、「第2の住専になりかねない」との指摘もある。

  ▽さくら証券の営業譲渡に伴い、大和証券SBキャピタル・マーケッツが大和SMBCに社名変更する。大和証券グループ(8601)は住友銀行(8318)の証券戦略の橋頭堡になるしかないか。

  ▽あさひ銀行(8322)系列の千代田証券と山文証券が合併、あさひリテール証券が誕生する。IT革命後は「スーパーリージョナル・バンク」が死語になりつつあるが、あさひ銀はどこに向かっていくのか。

■URL
・株式夜間取引がついに幕開け~GS証券が「Moon Trade」を1月開始
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/12/13/doc1391.htm
・夜間市場開設を断念~東証、“守旧派”に敗れる
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/20/doc1086.htm
・ソニー、日本初の子会社連動株を発行へ~第1号はSo-netのSCN
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/20/doc1096.htm
・イー・ウイングと日本オンラインが合併~ネット専業証券で初
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/15/doc1050.htm

(兜太郎)
2001/01/05 10:41