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「日本の政治を読む」~政局は一触即発の様相

  【今週の主な政治日程】

  ▼ 9日(木)自民党江藤・亀井派 パーティー
  ▼10日(金)補正予算案閣議決定

  【今週の焦点・先週のポイント】
  ●政局は一色触発の様相
  政局は、自民党の加藤紘一元幹事長が「もう評論家みたいなことを言うタイミングは過ぎた」と述べた2日後、テレビ番組で、年末の内閣改造で例え入閣を要請されても「やる気は全くない」と森内閣への協力を拒絶したことで、新たな段階を迎えた。同氏の周辺は「ファイティングポーズをとっただけ」としており、このまま一直線に倒閣運動に向かう可能性は少ない。しかし、真っ向から挑戦を受けたと受け取った森喜朗首相は周辺に「加藤だけは許せない」と、憎悪をむき出しにしているといわれ、予想される「12月政変」に向け、一触即発の状況が当分続きそうだ。

  ●そう簡単に辞められない首相
  今後予想される展開はなかなか読みにくいが、ひとつだけはっきりしているのは、「総理大臣はそう簡単に辞めさせられない」ということ。一般的には、自民党内で「もう森では次の参院選は戦えない」などの意見が充満すれば、明日にも簡単に首相を辞任に追い込めると勘違いしている人が多い。しかし衆参両院での指名選挙で選ばれた首相は、「国政選挙での敗北」や「病気による引退」以外には「自らの意思」による辞職以外にほとんど辞めさせる方法がない。

  現状では、森首相は、中川秀直官房長官のスキャンダルや自らの失言にもかかわらず辞める意思は全くない。2日にも東京株式市場で首相辞任の噂が流れたが、政府首脳がすぐに「辞めたくとも辞められない。それが総理大臣という最高権力者のきついところ」と反論したばかり。

  ●首相のスキャンダルなら即アウト
  今後、森首相が辞意を固めざるを得なくなるケースとしては(1)補正予算など重要法案の不成立 (2)新たなスキャンダルの発生 (3)内閣支持率の急落 (4)株価の急落―などが考えられる。今国会には補正予算案以外にも多くの重要法案が国会に提出されているが、自公保連立政権の「数」で、よほどのハプニングがない限り、与党が予定したほとんどの法案が成立する見込み。

  問題は、閣僚、特に首相自身に新たなスキャンダルが発生した場合。今から予測するのは不可能だが、中川長官と同種類のスキャンダルならまず助からないし、カネ絡みもアウト。このほかKSDの政治献金事件はまだ解明が済んでおらず、政界に今後どの程度波及するのかも焦点。

  ●カギ握る支持率と株価
  首相がもし退陣に追い込まれるとしたら、恐らく、内閣の不祥事、不手際が続いた結果、内閣支持率が10%を割り込み、さらに東証平均株価が1万2,000~3,000円台に低迷した時が最も危ないだろう。

  支持率は先月30日の毎日新聞が15%と危険水域と言われる20%を初めて割り、1日の東京新聞(共同通信)が18%、さらに4日のフジテレビでは13%まで下がった。いずれも不支持率が異常に高いのが特徴で、フジ調査では84%に上った。これらは電話による調査のため、支持、不支持が極端に出た可能性があるが、今後、面接調査の結果も各メディアで続々と発表されるため、要注目だ。

  ●新キングメーカーは青木氏か
  今回の政局で最も目立っているのが、青木幹雄参院幹事長の存在。30日夜に“犬猿の仲”とみられていた加藤氏と会談したかと思えば、3日には森首相が青木氏と接触、森内閣を一致結束して支えてくれるよう改めて要請するなど、あたかも“時の氏神”的扱い。森首相より大学で2年先輩のため、ずけずけモノが言えるという部分もあるだろうが、やはり、参院をまとめていることが大きい。野中広務幹事長も「経世会(橋本派)最大の実力者」と認めているほど。年末人事が予定通り行われれば、青木氏の参院から初の党幹事長就任の可能性が出てくるかもしれない。

  ●「明日を創る会」は分裂気味
  自民党若手議員でつくる「自民党の明日を創る会」から31日、有力メンバーのひとり、田中真紀子氏が脱会し、同会に亀裂が入り始めた。田中氏は「同会は加藤別働隊であり、会の運営も一部の幹部だけで行われている」と、退会の理由を説明しているが、一部には田中氏が亀井静香政調会長から次に入閣させるからとの誘いで脱会したとの噂も流れている。

  ●民主党も四分五裂
  民主党は、鳩山由紀夫代表の安保問題に関する発言などをめぐって賛成、反対両派の“派閥”が次々と出現、鳩山代表の求心力をさらに下げる一因ともなっている。もともと呉越同舟の同党だが、自民党がスキャンダルなどでごたごたし、政権を倒す絶好のチャンスというのに、みすみす敵失を許すようなもの。他の野党との共闘もうまくいっておらず、これでは野党第一党の名が泣く。

  [政治アナリスト 北 光一]


2000/11/06 11:38
3/30(金)
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