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ネット証券、淘汰の時代に~HISが“協立”の出資引き揚げ

  インターネット証券界は乱立から、淘汰の時代に突入した。旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(9603,HIS)傘下の「エイチ・アイ・エス協立証券」の違法行為が発覚。証券取引等監視委員会は6日、ネット取引では初めて行政処分を行うよう金融当局に勧告した。売買手数料のダンピング競争に伴い、コストをぎりぎりまで切り詰めようとした結果、HIS協立の内部管理体制はお粗末なものになったようだ。

  ●大和総研を提訴へ
  監視委の調査によると、今年2月22日、顧客との契約期限が切れていたのに、システムの不具合から誤って株式の売買を発注。この取引を自己勘定に付け替えたが、正規の注文で売買した87件までも付け替えてしまった。このうち、クレームを受けた30件については、市場に再発注の後、当初約定価格との差額を弁償した。しかし、残りの57件についてはシステム委託先との調整が進まず放置状態だったという。

  HISの澤田秀雄社長は「コンピューターシステムのトラブルに責任のある大和総研を提訴する」と表明。損害賠償請求額はシステム障害によるものに、逸失利益を加えて100数10億円に上るという。

  関係者によると、同社の失態はこれに済まないという。当局は発表していないが、信用取引ではネット関連株などの暴落から、顧客が追加の委託保証金(追い証)を払えなくなり、億円単位の穴が空いているもようだ。しかも、同社は信用取引の安全性を高めるために、9月22日に委託保証金率を40%から50%に引き上げると発表していたのに、数日後にはこれを撤回するという不可解な行動も取っている。

  ●管理コストと格安手数料の狭間で
  システム障害も2月の誤発注にとどまらず、9月28日には午前6時から3時間40分にわたり、東京証券取引所への注文執行が停止している。また、HISは保有するHIS協立株式(53.5%)は第3者に売却すると発表した。行政処分が確実の証券会社を引き取るようなお人好しがいない限り、「第3者」を見付けるのは困難だ。結局、澤田社長が個人で引き取る可能性が強い。HIS協立が子会社のままでは、HIS本体の足元も揺らぎかねないため、監視委の勧告と同時に非子会社化を発表したとみられる。

  今回の事件で、日本のオンライン取引の基盤が極めて脆弱なことが明らかになった。昨年10月の手数料自由化以降、ネット口座は20万からすでに130万に急増したが、HIS協立の杜撰(ずさん)な運営をみてオンライン取引に躊躇する顧客は決して少なくないはずだ。監視委は「ネット取引には非対面性、非書面性などの特性があり、これに十分配慮した内部管理体制を構築し、機能させる必要がある」と指摘する。管理体制の強化はコスト増につながり、ネット証券各社の収益を圧迫する。最大の武器である格安手数料が維持できなければ、淘汰・再編は一気に加速するだろう。

■URL
・エイチ・アイ・エス協立証券
http://www.his-kyoritsu.co.jp/
・証券取引等監視委員会の勧告文
http://www.fsa.go.jp/sesc/reco/recoj/rj_029.html

(兜太郎)
2000/10/10 13:20
3/30(金)
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