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「日本の政治を読む」~朱訪日で対中嫌悪感を払拭できるか

  【今週の主な政治日程】

  ▼10日(火)衆院東京21区補選告示(22日投開票)
  ▼12日(木)朱鎔基中国首相来日(17日まで)
  ▼15日(日)長野県知事選投開票

  【今週の焦点】
  ●日本の対中嫌悪感を払拭できるか
  中国の朱鎔基首相が12日来日し、13日に森喜朗首相と日中首脳会談を行う。今回の訪日の最大の目的は、98年秋の江沢民国家主席の来日で著しく増大した日本人の対中嫌悪感をいかに払拭できるかにある。

  中国の対日政策は、曽慶紅党中央組織部長ら「第4世代」の台頭により柔軟路線に転換しつつあるといわれるが、今回の朱首相の来日はこれが本物かどうかを実証する場となる。日本には江主席来日以来、対中ODA供与に厳しい意見が渦巻いているが、西部大開発を抱える経済担当の朱首相にとって日本の経済協力は不可欠。同首相の“微笑外交”が日本側をどれだけ納得させられるかどうか。

  【先週のポイント】
  ●国民の反発待ちの国会
  国会は、参院比例選に非拘束名簿式を導入するための公選法改正案をめぐって与野党の全面対決が続いており、正常化の見通しがついていない。6日に起きた鳥取県西部地震をきっかけに審議が再開されるかと期待されたが、被害が比較的小さかったため、これには至らなかった。

  現在の国会の混迷は、竹下元首相ら調整役の不在やこれまで積み重ねられてきた国会ルールに無頓着な新人議員の増大と無関係ではない。今後は11日の党首討論や議長斡旋、党首会談による打開などが模索されているものの、有効な決め手となる可能性は少ない。結局、「多くの重要法案を抱え、国会は一体何をやっているのか」という国民(マスコミ)世論の反発に待つ以外にないだろう。

  ●北朝鮮コメ支援強行は危険な賭け
  政府は6日、北朝鮮に対する50万トンのコメ支援を正式決定した。河野外相らは「コメ支援をしなければ国交正常化交渉は止まってしまう」としているが、本当にそうなのか。日本政府は95年以来、計5回約70万トンのコメを支援しているが、この間、懸案の日本人拉致疑惑や弾道ミサイル開発問題で何の進展もみられていない。

  北朝鮮へのコメ支援に当たって森首相をはじめ政府首脳は、「拉致疑惑に進展がなければ大規模支援はしない」と言ってきたが、今回の50万トンは世界食糧計画(WFP)の要求をはるかに上回る量であるうえ、わざわざ価格が高い国内産としたため、支援額も1,200億円と高額に上った。

  森首相はこれより先、外交ルートを通さず金正日総書記に親書を送ったが、このいずれの行為も通常の外交政策の枠を逸脱したスタンドプレーといわざるを得ない。これに伴う政治責任は森首相と河野外相の2人が取るほかはない。

  ●内閣府初代事務次官に河野氏
  1月6日にスタートする中央省庁再編で統合される新省庁の幹部人事が大詰めを迎えている。注目の内閣府事務次官には中央省庁等改革推進本部の河野昭事務局長(総務庁)、厚生労働省次官には厚生省の近藤純五郎保険局長、文部科学省次官には文部省の小野元之事務次官の昇格が確実。4省庁統合の巨大官庁となる国土交通省次官は、建設省の小川忠男官房長、運輸省の小幡政人官房長、国土庁の木下博夫事務次官の3人が争っている。

  このほか名称変更となる財務省の初代次官には武藤敏郎大蔵事務次官が続投。金融庁長官には順当には浜中秀一郎次長の昇格だが、日野正晴長官の続投の線も残っている。官僚トップの内閣官房副長官には厚生省出身の古川貞二郎氏が来年まで再任。

  [政治アナリスト] 北 光一


2000/10/10 09:16
3/30(金)
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