【主な政治日程】

　 ▼5日（木）参院滋賀選挙区補選告示（22日投票）
　 ▼7日（土）与党3党幹事長訪中（9日まで）

　 【今週の焦点】
　 ●参院議長の委員強行指名で国会全面空転か
　 国会は今週から重要法案が次々と審議入りする予定だが、参院比例代表に非拘束名簿式を導入するための公選法改正案をめぐり、斎藤参院議長が選挙制度特別委員会の野党委員を職権で強行指名したことに野党側が強く反発、各法案が予定通り審議に入れるかどうか微妙な情勢。参院の衝突が衆院に飛び火すれば、国会全体が空転する可能性もある。

　 【先週のポイント】
　 ●参院選敗北の原因になりかねない新制度導入
　 来年夏の参院選を控え、各党が死活をかけた激しい戦いを展開しているのが参院定数10削減と非拘束名簿式導入のための公選法改正案。もし同改正案が与党案通り成立すれば、大量得票が可能なタレント候補を抱えた党が有利になるとあって、各党とも早くも候補者探しに躍起になっている。プロ野球巨人軍の長島監督や明石家さんまら吉本興業のタレントが取りざたされているのもそのため。

　 しかし、自党に有利と導入に消極姿勢から一転して積極姿勢に転じた自民党だが、集票能力が落ちている自民党にはそれほど有利でもないとの見方が同党内にある。意外と参院選での敗北の原因は実は新制度、という落とし穴が待っている危険性は十分にある。

　 ●政府首脳2人のスキャンダルは当面不発
　 月刊誌などで報じられた森喜朗首相と中川秀直官房長官の政府首脳2人の女性をめぐるスキャンダルが代表質問や予算委員会などでも取り上げられた。学生時代の「買春」疑惑を追及された首相は、警視庁に自らの犯暦データについて問い合わせする考えのないことを改めて強調するとともに、執拗に真相解明を迫る民主党の江田五月氏に「そんなに重要な問題か」と居直った。これまでのところ事実関係は不明だが、仮にこの後、首相が過去にこの問題で検挙されたことが明るみになれば、即時退陣に追い込まれることは必至。

　 また中川長官については覚醒剤に関係したとか、週刊誌に長官との関係を暴露した女性が実は広域暴力団とつながりがあったなどのアングラ情報が民主党などから流されたが、これまでのところ確認されていない。

　 ●やはり「HY3K」が結集へ
　 以前この欄で加藤紘一元幹事長ら「YKKトリオ」と橋本龍太郎元首相とが結びつく可能性を指摘したことがあるが、9月28日の自民党橋本、山崎両派の会合でこの問題が取り上げられ、近く、橋本、加藤両氏と小泉純一郎元厚相、山崎拓元政調会長、高村正彦元経企庁長官が集まることになった。この5人が「ポスト森」選定に向け、大きな影響力を発揮するのは確実だ。

　 ●政局のカギ握る3つの「KK」
　 「ポスト森」をめぐって加藤元幹事長と亀井静香政調会長の2人の「KK」が激しく争っているのは周知の事実だが、最近では森派会長の小泉純一郎氏が「自民党の方がむしろ無責任な野党的なバラマキ政策をしてきた」と与党の経済政策を批判したことから、今度は亀井氏と小泉氏との第2の「KK論争」へと発展しつつある。

　 これに弱った森首相は「少しは丸くして」と派閥の留守を預かる小泉氏に懇願しているが、もともと一匹狼の同氏が簡単に聞くはずもない。急接近中の加藤紘一氏と神崎武法代表と合わせた3つの「KK」が今後の政局のカギを握ることになりそうだ。

　 ●中央省庁再編の最大の目的は「大蔵省解体」
　 9月30日付朝日新聞が、来年1月6日からの中央省庁再編で新設される内閣府の事務次官や官房長などの中枢ポストが大蔵省出身者以外で占められることになったと大きく報じているが、今回の「橋本行革」の最大の目的が「役所の中の役所」といわれる大蔵省の解体にあったことを考えれば、至極当然のこと。同省の金融と財政部門を切り離し、予算編成権を取り上げ、名前まで財務省としたのもそのため。ただし、この記事が出たことで大蔵省は人事の猛烈な巻き返しを図るだろう。

　 [政治アナリスト　北　光一]