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| VAIO type Z全景。ボディは強靱さと軽さを併せ持つカーボンが主体。 |
いま、PC業界は、「UMPC」や「ネットブック」と呼ばれる5万円前後の低価格ノートPCが、話題の中心となっている。調査会社のBCNのレポートによれば、10万円未満ノートPCのシェアは7月が40.3%、年内には5割を越えると観測されている。
もちろん、低価格を実現するためには、機能を削ったり、多少重くても我慢するなど、なんらかの理由があるわけだが、これらの低価格PCを実際に使ってみても、一般的な用途はほとんどこなせてしまう。つまり、言葉は悪いが、多少の妥協はあっても、多くの人を満足させる製品を作ることは可能だと言うことだ。
しかし、今回紹介するソニー 「VAIO type Z VGN-Z90US」(以下type Z)は、これらのネットブックとは、正反対の立場にある製品だ。一言で言えば「妥協しない」「あきらめない」製品の典型と言えるだろう。それだけに、直販サイトで購入する「VAIO・OWNER・MADE」モデルで、最上位の構成を作れば45万円を越える。ソフトウェアの構成によっては50万円すら越えてしまうのだ。しかし、type Zに共鳴するユーザーであれば、そんなことは何の障害にもならないだろう。
今回は、type Zの品質とこだわりの一端を紹介しよう。

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| 正面全景。液晶は16対9。最上位構成では1,600×900ピクセルの高解像度が選べる |
国内外にPCメーカーはたくさんあるが、ソニーは、というか“VAIO”はちょっと特別な製品だ。
VAIOが登場した1997年の時点で、ソニーの参入はIntelにもMicrosoftにも大歓迎されていた。それは、Intelが主催した発表会で、直接関係のないVAIOの新機種の説明に時間が割かれたり、家庭用PCにはWindows Meを搭載させるというMicrosoftの方針にもかかわらず、VAIOのみがWindows 2000を搭載しているなど、間接的な形ではあったが、傍目から見ていても間違いようのない状態だった。それは、「ようこそPC市場へ。よくおいでくださいました」と言わんばかりに見えた。
もちろん、VAIOは、それだけの価値のある製品だった。
初期のVAIOの代名詞であり、銀パソブームを巻き起こした「初代VAIO 505」を始めとして、VAIOはPCという製品の世界を拡大し続けてきた冒険者であった。
PC世界の盟主的存在であるIntelやMicrosoftも、その後を必死に追いかけていた、と言っても過言ではない。ましてや、他のPCメーカーにとって、VAIOはライバルであるとともに、目標であり、追い続けなければならない存在だった。
そばで見ている我々には、ソニーという会社がPCという新しいフィールドをみつけて、「あっ、こんなこともできるじゃん」、「えっ、なんでこんなことを誰もやってないの」と、喜んではしゃぎ回っているような印象だった。
とはいえ、人間も企業も走り続けることは難しい。いつの間にかVAIOにも疲れが見えはじめた。もちろん、毎回新しい技術が搭載されており、新しいこだわりも見えるのだが、なんとなく小粒になってしまった印象だったのだ。
そう、初期のVAIOが、PC業界、いや世の中にとって新しい物をもたらす存在だったとすれば、一時のVAIOは「ソニーファンのための」とか「VAIO内では」という限定をつけたくなるような、印象だったのだ。
もちろん、パーソナルコンピュータに対する世間の関心が薄れていったという環境の変化はあったが、「やりたいことをやっている」という姿勢から「やらなければならないことをやっている」という姿勢へと変わって行ったように感じていた。
そう、VAIOも5年経ち、10年経ち、お金のこととか、市場のこととか、社内での立場とかいろいろ考えなければいけない大人になってしまったのだ、と最近の私は思っていた。

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| 電源ボタンを一体化したシリンダー型ヒンジがデザインのポイント |
しかし、今度のtype Zは凄い。あんた何を考えてるんですとしか言えない。なんというか、まっとうに生活している人間が考える範囲をちょっと越えている。Intelの元CEOであるAndrew Grove氏が、「勝ち残り、生き残るのはパラノイアだけだ」と書いていたが、今回のtype Zに対しては「やっぱりアンタたちは立派なパラノイアだったよ。ありがとう。そしておめでとう」と称えたい。それぐらい突き詰めたマシンなのだ。
まず、パフォーマンスが凄い。標準でもパフォーマンスを重視した標準電圧版のCore 2 Duoを搭載しているが、最上位ではCore 2 Duo T9600(2.8GHz)が選択できる。T9600はハイパフォーマンスと引き替えに、TDP35Wというモバイルノートに搭載できるとは思えないほど“熱い”CPUであり、これを載せてしまうという決断は、「絶対にメインマシンとして使う」という思い入れがなければできない。メモリも最新のDDR3をあえて搭載している。
次に液晶が凄い。ソニーでは「クリアソリッド液晶」と呼んでいる新しいタイプの製品だ。とてもきれいな発色で、写真や動画を見ているとモバイルノートの液晶とは思えない。とくに赤系統がきれいで、人肌や果実などの美しさは一見の価値がある。しかも、見かけの鮮やかさを増すために、よくあるツルツルとした反射の多い表面ではなく、写り込みはノングレアタイプと同等なほど少ないのだ。
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| キーボードはキートップの間隔が空いているタイプ。ストロークは深め |
次に凄いのはストレージだ。いまノートPCのストレージで注目されているのはSSDだが、大容量の(ここでは32GB以上としよう)SSDを自社のノートに採用しているのは、自前でフラッシュメモリが調達できる東芝と、なんでも新しいことはやってみるApple、そしてソニーの3社だけだ。
VAIOのSSDはtype Uのゼロスピンドルモデル以来の長い伝統があるのだが、こんどのZは凄い。なんと、SSDを2台搭載してRAID 0構成が組めるのだ。RAID 0構成にすることによって、単体で使用した場合よりも、更に高速なアクセスが可能となる。
SSDには、軽く、速く、衝撃に強いなど大きなメリットがある。しかし、使用上のリスクや調達の手間などを考えれば、まだ気軽に採用できないストレージだ。それを、1台に2個搭載してしまおうというのは、やっぱりどうしても高みを目指したいという心の表われだろう。私が今回、type Zを紹介したいと決意した理由も、この構成を見たからだ。
このほかにも紹介したい点は多数ある。たとえば、リブートなしでGPUが切り換えられる「ハイブリッドグラフィックス」もそうだ。しかし、これぐらいにしておこう。

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| キーボードパネルはアルミの1枚板。曲げ加工が美しい |
このところのVAIOには、外観の洗練や、表面加工への過度のこだわりに走る例がかいま見られた。もちろん、それも重要だが、機構部品での冒険は、ユーザーに決意を感じさせ、心を奮わせる。些末ではなく、骨太な設計思想が透けて見える。ようし、わかった、その心を受け止めて、最高の構成で買ってやろうじゃないかいう気になる。作る側の本気は、買う側の心にきちんと届き、こちらの決意も促すのだ。
ソニーは、今回のVAIOから、ブランドの意味を再定義するとも発表している。一見すると言葉遊びのように見える再定義も、背景にtype Zに端的に表われている「最高を目指す」という心意気があることを知れば、素直に受け止め、見守ることができる。
ぜひ、一度、type Zを手にして欲しい。そして、ここで述べたような重厚な仕様が、見た目よりもずっと軽い、バランスのよい筐体に納まっていることを知って驚いてほしい。すべてのモバイルノートは設計者の身を削る努力によって、0.1g単位で重量が削られており、type Zはその成功例なのだ。
type Zが素晴らしいのは、ただ高額だからではない。高い志を持って、手間を惜しまず、妥協せず、製品を作り上げた人の顔が想像できるから素晴らしいのだ。こういう思い切った製品に関与できたスタッフは、きっと幸せだと思うし、それを商品として購入できる私たちも幸せだと思う。
type Zが、何台売れるのか、本当に成功するのか、と言われれば、私にはわからない。しかし、これを作った人が本気であることは保証できるし、これを必要とする人がいることも保証できる。ある人たちにとっては、この製品にさわることが仕事のやすらぎとなり、また、そこに込められた情熱に思いをはせることが自分の仕事への叱咤となるだろう。それぐらい“熱い”マシンなのだ。
■ VAIOのホームページ http://www.vaio.sony.co.jp/
■ type Z製品情報 http://www.vaio.sony.co.jp/Products/Z1/
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伊達浩二
1994年インプレス入社。月刊誌編集部を経て、1996年の「PC Watch」創刊に参加。
以後、取材・記事執筆に従事。2000年8月から同誌三代目編集長。 |
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