すべてが新しくなった新世代ReadyNASの魅力
より簡単に、より安心して使えるビジネス向けNAS
「NETGEAR ReadyNAS 300シリーズ」

2013.5.13 清水理史

外見も中身も、すべてが新しくなった

筐体のデザインからユーザーインターフェイスまで、すべてが刷新された新「ReadyNAS」シリーズ。中でも、ビジネスユーザー向けのミドルレンジNAS「ReadyNAS 300シリーズ」は、中小企業ユーザーにとって注目の製品だ。

型番 容量
RN31600 6ベイ ベアボーン
RN31443E 4ベイ 3TB×4
RN31442E 4ベイ 2TB×4
RN31441E 4ベイ 1TB×4
RN31222E 2ベイ 2TB x 2
ReadyNAS 300シリーズは、大きく分けて2ベイモデルの「RN312」、4ベイモデルの「RN314」、6ベイモデルの「RN316」の3つに分かれ、さらに搭載HDD容量によって全5モデルがラインアップされる

ReadyNASシリーズをクラウドベースの管理コンソールから一括管理できる「ReadyCLOUD」のサービスが新たに利用可能になり、管理者はインターネットに接続可能なPCを1台用意するだけで、NASの初期設定から、設定画面へのアクセスを含めた複数台のNASの管理、各NASの共有フォルダへのアクセスがカンタンにできるようになった。

小規模なオフィスでの初期セットアップの負担が軽減されたのはもちろんのこと、社内の部門単位にNASが設置されているようなケースでの管理が非常に楽になったのは、NASとしては大きな進歩だ。

ReadyNASシリーズならではの特徴とも言える筐体の完成度にもさらに磨きがかけられた。タッチ式のボタン類の採用などに加え、HDD装着用のカートリッジにもツールフリーでHDDを固定できる素晴らしい仕組みが採用されている。

詳しくは後述するが、実用性の点でも、無制限スナップショットによる共有フォルダのデータ保護機能やリアルタイムアンチウイルス機能の無償サポートなど、さらなる充実が図られており、その信頼性はさらに高まっている。

今回は、6ベイのベアボーンモデル「RN316」をピックアップし、どのような点が改善され、どんな機能が新たに利用可能になったのか、新ReadyNASシリーズの魅力に迫っていこう。

作り込みの良さはそのままにデザインを一新

新しく登場したReadyNAS 316のデザインは、とてもシンプルだ。電源オン直後こそ、本体前面にはさまざまなステータスを表示するための小型のディスプレイと円形にデザインされたタッチ式のボタン、そしてNETGEARのロゴがバックライトで点灯するが、しばらくすると、これらも消灯し、全面黒で埋め尽くされたまっさらな「ハコ」になる。

背面の大型ファンの排気音もほとんど聞こえないため、HDDのアクセス音が聞こえてこなければ、電源が落ちているんじゃないかと疑ってしまうほどだ。

もちろん、ReadyNASシリーズならではの作り込みの良さは健在で、ゆがみやガタツキとは無縁の高い精度で組み立てられている上、振動を押さえ込む底面の大型インシュレーターによって接地面にしっかりと固定されるようになっている。

それでいて冷却性も十分に考慮されており、フロントパネルを開くと、HDD装着用カートリッジまですき間無く穴が開けられた全面メッシュ状の内部パネルが姿を表し、豊富な空気を内部へと送り込むことができるように工夫されている。

組み付け精度の低いNASは、まるで荒れた路面を走ったときの高年式車のようにガタピシとノイズを響かせることがあるが、ReadyNASは、そういったノイズとは無縁だ。

HDDを装着するためのカートリッジも、今回のモデルからツールフリーの新形態へと進化した。

フロント面のロックを押しながら、上部中央の取り外しマークの部分をカートリッジの後端へと押し下げるようにスライドさせると、樹脂製レールが後端からはみ出すように出てくる。レールにとりつけられた突起をHDDのネジ穴に合わせるようにして側面に沿わせ、そのままカートリッジにスライドさせて戻し、カチッと押し込めばHDDが固定されるというわけだ。

ツールフリーのHDDカートリッジは、これまでにもいくつか見てきたが、その中でも、もっとも凝った方式であるだけでなく、確実かつしっかりと固定できる方式と言っていいだろう。こういった細かなコダワリこそ、ReadyNASシリーズの真骨頂と言えそうだ。

一方、背面はeSATA×2、USB3.0×2と外付けHDD用のポートが用意されているほか、1000BASE-T対応のLANポート×2、ディスプレイ出力用のHDMIポート(メンテナンス用)が搭載されている。機能的には十分だ。

基本スペックの向上も抜かりはない。CPUは2.1GHz動作のAtom(Dual Core)となり、メモリも2GB搭載へと向上したおかげで、アクセススピードも快適そのものだ。実際、有線LANで接続されたクライアントPC(Let's note AX)からCrystalDiskMark3.0.2fを実行した結果は以下のように、非常に高い値をマークした。このクラスのNASの中ではトップクラスと言って良い値だ。

NETGEARならではの5年保証も利用可能となっており、もともと信頼性の高いハードウェアを長期に渡って安心して利用することができるようになっている。まさに企業が待ち望んでいたNASと言えそうだ。

ReadyCLOUDでカンタンセットアップ

実際に使ってみて驚いたのは、冒頭でも触れた「ReadyCLOUD」の完成度の高さだ。詳細な機能については、次回以降、あらためて解説する予定だが、とにかく初期セットアップがカンタンにできる。

従来のReadyNASシリーズは、PC用のユーティリティである「RAIDar」を利用してネットワーク上に設置した機器を検出し、設定画面経由で詳細な設定を行なうという流れだったが、今回の新ReadyNASシリーズでは、ネットワーク上に設置後、インターネットに接続可能なPCから「http://readycloud.netgear.com」にアクセスして初期設定アップを実行する。

初回のみユーザーアカウントの登録が必要だが、登録後、「Discover」ページにアクセスするとネットワーク上に設置したRaadyNASが自動的に検出されるので、ウィザードに従って本体の「OK」ボタンを押して機器を登録すると、ReadyCLOUDから初期設定やReadyNAS上のデータへのアクセスが可能となる。

もちろん、これまで同様、RAIDarを利用したり、直接、機器のIPアドレスなどを指定して設定ページにアクセスすることもできるが、ユーティリティのインストールが不要なうえ、自動的にネットワーク上の機器を検出できるReadyCLOUDの方が断然設定は楽だ。

LAN上の複数の機器を一覧表示して管理することもできるため、企業ユーザーにとっては、非常にありがたい新機能と言えるだろう。

無制限スナップショット&リアルタイムアンチウイルスを無償提供

同様に企業ユーザーにとっては、新たに無償で提供されるようになった無制限スナップショットやリアルタイムアンチウイルスも心強い存在だ。

スナップショットは、ある一定時点のデータを履歴として保存することができる機能だ。ReadyNAS 316では、共有フォルダごとに有効/無効を設定できるようになっており、有効にすると1日ごとにスナップショットが自動的に取得されるようになる。

これにより、たとえば共有フォルダ内の重要なデータを間違って削除してしまったり、他のユーザーによって意図せずファイルの内容が書き換えられてしまったとしても、過去に取得されたスナップショットの時点にロールバックしたり、コピーとして複製を書き戻すことができる。

設定の変更によって1時間おきに自動的にスナップショットを取得することもできるうえ、スナップショットが保存されているフォルダに対してユーザーのアクセスを許可することもできるため、重要なファイルを確実に保護したり、過去のデータを管理者の手を煩わせずにユーザー自身で戻すことも可能だ。

このスナップショットは、「無制限」という通り、HDDの容量が許す限り、保存しておくことが可能だ。クラウドストレージサービスなどでも履歴を保存することが可能だが、無償サービスでは期間が限られている場合もある。このような機能上の制約がないことは、まさにローカルにNASを持つメリットと言えるだろう。

一方、リアルタイムアンチウイルスは、文字通り、NAS上のファイルからウイルスを検出するための機能だ。同様の機能を搭載したNASやファイルサーバーも存在するが、有料の契約が必要だったり、指定した時間に検査を実行するだけの機能が多かった。

これに対して、ReadyNASのアンチウイルス機能は、完全に無料で利用できるうえ、データが書き込まれたタイミングでリアルタイムに検査を実行することが可能となっている。定期検査のソリューションの場合、1日に1回、1週間に1回など、その検査が実行されるタイミングのすき間にウイルスに感染する恐れがあったが、これにより、その危険を避けることができるようになったわけだ。

シグネチャベースの検査に加え、ヒューリスティックエンジンによって疑わしいファイルも検査できるため、企業などでも安心して業務に活用できるだろう。

一括導入や既存のNASのリプレイスに最適

以上、新しくなったNETGEARのReadyNASを実際に使ってみたが、ハードウェア、ソフトウェアともに新世代のNASらしく、かなり強化された製品となっている。

使いやすさが向上したという点では、ReadyCLOUDによる複数機器の管理が手軽にできる恩恵は非常に大きい。現状、部署単位に散在しているNASをまとめて管理する目的で一括導入したり、リプレイスするのに最適と言えるだろう。

また無償で無制限スナップショットやリアルタイムアンチウイルス機能が使えるため、コンプライアンス対策としての費用対効果も大きい。社内のファイル共有環境に対して、現状、どのような対策をしていて、どれくらいコストがかかっているのかを見直してみることをおすすめしたいところだ。

(Reported by 清水理史)

関連リンク

ネットギア ReadyNAS 300シリーズ 製品情報
http://www.netgear.jp/products/business/nas/ReadyNAS-300