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第4回:規模や環境を考慮して最適なNASを選ぼう
「ReadyNASシリーズ」のラインアップをチェックする

 

ホーム向けとビジネス向けの違い

高い品質や信頼性、柔軟な冗長性を確保するX-RAID2、豊富なアドオン、ReadyNAS Replicateなどの実用性の高いサービスなど、他のNAS製品にはない魅力を備えたネットギアの「ReadyNAS」。このようなReadyNASを実際に購入する場合、豊富なラインナップからどのモデルを選べばいいのだろうか?

ReadyNASには、大きく分けてホーム向けの製品とビジネス向け製品の2種類が存在する。ホーム向けは、以前に紹介した「ReadyNAS Ultra 4 Plus」や「Stora」などがラインアップし、一方のビジネス向けとなるのが「ReadyNAS Proシリーズ」やラックマウントタイプの「ReadyNAS 1500/2100/3100/3200/4200」などとなる。

ホーム向け
エントリーモデル
スタンダードモデル
ハイパフォーマンスモデル
Stora(ストラ)
ReadyNAS Ultraシリーズ ReadyNAS Ultra Plusシリーズ

ビジネス向け
ラックマウントタイプ
デスクトップタイプ
ReadyNAS 4200シリーズ
ReadyNAS 3200シリーズ
ReadyNAS 3100シリーズ
ReadyNAS 2100シリーズ
ReadyNAS 1500シリーズ(※)保証期間とサポートはホーム向け製品に準ずる
ReadyNAS Proシリーズ

誰にでも使えるように簡易的な設定などが採用された「Stora」を除き、実は、ReadyNASシリーズは、ある程度共通化されたソフトウェアが採用されているため、ラインアップによる機能差があまり存在しない。アドオンを使って機能拡張することもできるので、細かな機能の違いはあまり気にする必要がない。

では、ホーム向けとビジネス向けのどちらを選んでも良いのかというと、そうではない。この2つのラインアップでは、受けられるサポートに違いがある。

ホーム向けとビジネス向けの大きな違いはサポート

ホーム向けの「ReadyNAS Ultra 4 Plus」などは本体3年保証となっているが、ビジネス向けの「ReadyNAS Proシリーズ」や「ReadyNAS 2100/3100/3200/4200」は、保証期間が5年と長く設定されている。

HDD搭載モデルの場合、この期間にはHDDの保証も含まれており、データの信頼性も含めた長期に渡る安心を得られるのが特徴だ。

このほか、オンサイトサポートやクイックデリバリーなど、有償のサポートサービスパックも提供されており、ビジネス向け製品なら、万が一の故障の際などでも安心して利用できる体制が整えられている。

なお、「ReadyNAS 1500」は、ビジネス向けの位置づけだが、エントリー向け製品ということで保証期間は3年となっているほか、他のビジネス向けラインアップと違い有償オンサイトサポートは提供されない。

まずは、このようなサポートの違いを理解して、製品を選ぶといいだろう。

大規模環境ではラックマウント型が最適

続いて、設置方法や利用者数からモデルを選択する。ビジネス向けのReadyNASの場合、ラインアップされるモデルは、デスクトップ型とラックマウント型の2種類が存在する。

サーバー室が用意されていたり、ハブなどのネットワーク機器と一緒に収めるラックが用意できる場合は、「ReadyNAS 1500/2100/3100/3200/4200」のラックマウントタイプを選ぶといいだろう。冷却性能重視のため動作音は大きいが、ラックでまとめることで集中管理ができる。

ラックマウントタイプ最上位モデル「ReadyNAS 4200」

搭載可能なHDDの数も4~12台と大容量の環境にも対応できるうえ、クアッドコアCPU搭載や10ギガビット対応のモデルもあるなど、性能的にも高いのが特徴だ。150ユーザー以上の大規模な環境での利用や複数のサーバーの仮想化などで利用する場合は、ラックマウント型で、さらに高性能な「ReadyNAS 3100/3200/4200」あたりのモデルがおすすめだ。

ビジネス向けNASラインアップと、目安となる利用ユーザー数
■NETGEAR ラックマウントタイプNASラインアップ
ReadyNAS 4200シリーズ
ReadyNAS 3200シリーズ
ReadyNAS 3100シリーズ
ReadyNAS 2100シリーズ
ReadyNAS 1500シリーズ

さまざまな用途に使えるデスクトップ型

一方、ファイルサーバーやバックアップ用として100ユーザー以下の環境での利用を想定している場合は、デスクトップ型の製品を選ぶといいだろう。デスクトップ型のモデルは、インターネット上のオンラインショップなどでの取り扱いも多く、入手しやすいという特徴もある。

ビジネス向けのデスクトップ型NASとなる「ReadyNAS Proシリーズ」には、搭載可能なHDD数の違いによって、「ReadyNAS Pro2」、「ReadyNAS Pro4」、「ReadyNAS Pro6」の3種類のモデルがラインアップする。

SOHOや小規模オフィスなど50名以下の環境であれば、2台のHDDを搭載可能なReadyNAS Pro2が最適だ。非常にコンパクトで置き場所に困らないうえ、静音性も高く、オフィスに設置するのに適している。価格も4TBモデルで実売8万円前後と手ごろなため、SOHOなどの環境でも導入しやすいだろう。

しかしながら、「ReadyNAS Pro2」は、RAIDの構成としてRAID0/1の2種類しか選択できない。前述したようにReadyNAS Proシリーズは基本的にソフトウェアは共通化されているうえ、デスクトップ型の中では唯一USB3.0を搭載していたり、電源がACアダプタになっているなど、「ReadyNAS Pro2」ならではの特徴もあるのだが、搭載されるベイの違いによって、どうしてもRAIDの構成に違いが出てしまうわけだ。

このため、さらなる容量と柔軟性の高いRAID構成を利用したい場合は、ワンランク上の「ReadyNAS Pro4」を利用するのがおすすめだ。4つのベイを搭載し、RAID0/1/5に対応できるため、大容量と高度なRAIDによる冗長性の確保を同時に実現できる。

また、本体に表示用の液晶ディスプレイも搭載されるようになり、NASの状態も手軽に判別できるという特徴もある。

「ReadyNAS Pro4」は、言わば万能選手で、ファイルサーバーから、iSCSIによる仮想環境での利用、メディアサーバー、リモートアクセスなど、さまざまな用途に活用できる。よって、50~75ユーザーの中規模の環境での利用に適しているうえ、ファイルサーバー以外の用途も兼用させたいという場合に最適だ。

最後の「ReadyNAS Pro6」は、100ユーザー規模の環境でも使える高性能モデルだ。「ReadyNAS Pro2/4」よりも高性能なCPUが搭載されているうえ、HDDベイも6基となっている。この構成によって、RAIDも0/1/5/6とRAID6まで対応可能で、同時に2台のHDDの故障にも耐えうる高い信頼性を確保することが可能だ。

ファイルサーバーとしてはもちろんのこと、企業の基幹業務向けのストレージとしての利用も可能なモデルだ。

■NETGEAR ビジネス向けデスクトップタイプNASラインアップ
ReadyNAS Pro 6(3TB×6モデル)
ReadyNAS Pro 6(2TB×6モデル)
ReadyNAS Pro 6(1TB×6モデル)
ReadyNAS Pro 4(2TB×4モデル)
ReadyNAS Pro 4(3TB×4モデル)
ReadyNAS Pro 4(1TB×4モデル)
ReadyNAS Pro 2(2TB×2モデル)
ReadyNAS Pro 2(1TB×2モデル)

有償のサービスも活用しよう

このように、ホームかビジネスか、ラックマウントかデスクトップか、といった観点で見ていくと、豊富なラインアップの中から、自社の環境に合ったモデルを選ぶこともそう難しくない。

中小規模のビジネスシーンであれば、「ReadyNAS Pro6」を単独で利用するか、「ReadyNAS Pro4」を2台購入し、レプリケートして利用するというのが、障害対策などを考えるとおすすめだ。また、小規模な拠点が各地に点在するような場合は、本社で「ReadyNAS Pro6」、拠点で「ReadyNAS Pro2」を使うという組み合わせもよさそうだ。

なお、このような複数台のReadyNASを利用したレプリケートやクラウド上にデータをバックアップを行なうためには、有償のツールの利用が必要になる。以前に紹介した「ReadyNAS Replicate」などのサービスを活用したり、有償オプションの「ReadyNAS Vault」の利用を検討するといいだろう。

このほか、Symantecの「Backup Exec」ソリューションへの対応(リモートエージェントのサポート)、Acronisの「Backup and Recovery」への対応によって、クライアントのバックアップなどにも利用できるようになっている。バックアップソリューションとして「ReadyNAS Proシリーズ」の導入を検討している場合は、これらサードパーティ製の製品の購入も同時に検討するといいだろう。

■ReadyNAS Vault
http://www.netgear.jp/products/business/nas
■ReadyNAS Replicate
http://www.netgear.jp/solutions/businesssolutions/replicate/
■【レビュー】災害時に備えた拠点間バックアップを実現する 「ReadyNAS Replicate」を試す
http://www.watch.impress.co.jp/netgear/review05/
(Reported by 清水理史)

製品情報

■NETGEAR ビジネス向けNAS
http://www.netgear.jp/products/business/nas