■女性クリエイターたちが語り描く性

 今、女性が描く性が赤裸々だ。最近、ポルノ的でありながら既存の枠にはまりきらない作品が続々と女性監督の手により生み出されている。ヴィルジニー・デパントとコラリー・トラン・ティは『ベーゼ・モア』で激しいセックスと暴力で自らを解放する2人の女性を描き、サマンサ・ラングは『ポエトリー・セックス』で相手によって七変化する性愛を映し出す。日本の新藤風監督は人間の根源に迫る方法として性を用い、『LOVE/JUICE』で見事、今年のベルリン国際映画祭のフォーラム部門で、新人監督賞に当たるウォルフガング・シュタウテ賞を獲得した。

  男性の手によっていくつも作られてきたポルノ的な作品の中で、これまで女性たちは単なる性の対象として受身の立場にとどまってきたと言える。そこに疑問を持ち始めた女性クリエーターたちが自らの言葉で女性の性を語り、表現するという流れがようやくここにきて誕生したのである。

  そんな流れをここまで引っ張ってきた“母”なる存在が、フランスのカトリーヌ ・ブレイヤ監督だ。彼女は1968年、17歳で小説「L'Homme facile(簡単な男)」を発表。過激な性描写から作品が18歳未満購買禁止とされた経験を持つ。以来、作家、脚本家、映画監督として常にタブーに挑戦。そして今、ブレイヤ監督が1998年に発表した作品『ロマンスX』がいよいよ日本に登場する。大胆な性描写、画面一杯に女性器を映し出す出産シーンなどを織りこみながら、純粋な愛の世界を描写する話題の作品である。タブーを恐れず突き進み、世界を挑発するブレイヤ独特の表現手法が生きる『ロマンスX』を通して、現在の女性映画の流れを探る。

2001年5月24日(キャロリーヌインタビュー@ウラク青山)
2001年5月25日(監督インタビュー@青山スパイラル)
2001年5月25日(トークセッション@青山スパイラル)
(取材:牧口じゅん/撮影:歌頭孝之)


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