第３１回：『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』
新山千春、例え父が強面の軍人でも！

　冒頭から残念なニュースがひとつ。先週紹介した『マネーざんす』の東京での公開が、わずか１週で終了した。しかも、「ぴあ」などで確認すると、客席が328席ある東映パラス２での上映となっていたが、筆者の鑑賞した11月25日（公開２日目）の段階で、客席48席の東映パラス３に移しての上映だった。客は10人……。
　おー、マネー！　マネー・イズ・マネーざんす！（ハマショー風に熱唱！）

　お金をテーマにしておきながら、お金の回収に苦しむ映画もあれば、お金をふんだんに使って、お正月に全国ロードショー公開される映画もある。『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』……特撮ファンにとっては、“平成『ガメラ』シリーズ”の金子修介が監督するということで、大きな期待を集めているが、彼は“この娘”ファンにとっても重要。少年たちを水原里絵（現・深津絵里）ら少女に演じさせた『1999年の夏休み』（88）や、佐伯日菜子のみずみずしさがナイスな『毎日が夏休み』（94）、ブレイク間近な長澤まさみのデビュー作となった『クロスファイア』（00）など、枚挙にいとまがないのである。

　そんな“この娘”界のエキスパート・金子修介の送り出す『ゴジラ』のヒロインとは、ズバリ新山千春！　女優としてもバラエティーでもいい味を出してきた彼女が、若いうちにゴジラ女優として名を残すのは有意義ではなかろうか。「若いうちに」というのは、以前、レギュラー番組を共にしていた関根勤が、「２時間ドラマの主役が張れる、同じホリプロで言えば、片平なぎさのような存在になれる」と、彼女を評価していたことに起因する。つまり、例え爆発的な人気を得なくとも、長いスパンで活躍できる女優になれる逸材ということだ。

　そして、関根と同番組で競演していたタモさんもまた、「千春」と呼び捨てにするくらい、新山に対して親しみを持って接している。タモさんが名字でも愛称でもなく、下の名前で呼び捨てにする人は、新山千春と山田花子くらいしか思いつかない。あとは、hitomiや優香、乙葉などの名字がない人たちだけだ。これだけで、新山の人柄のよさがうかがえるだろう。

　そんな新山が『ゴジラ』で演じているは、「BSデジタルＱ」というマイナーなオカルト番組のレポーター。地方の山奥に出向いては、でっちあげの怪奇現象をレポートする日々だが、本当の怪獣騒ぎによって状況は一変。終盤ではゴジラの出現現場に単独で乗り込み、デジカムとノートパソコンを駆使して、実況生中継するという勇敢な姿を見せてくれる。

　ジャーナリズムを追求するたくましさとプライベートでのあっけらかんさ、その両面が魅力なわけだが、父は宇崎竜童扮する防衛軍准将だ。ヒゲでグラサンでリーゼントな軍人を父を持つ女性に、ホイホイと近づける男はそういない。劇中では、『踊る！さんま御殿!!』でお馴染みの小林正寛が、酔いつぶれた新山を自宅まで送った際、父と鉢合わせるシーンがあった。恐ろしすぎる。仮に筆者が同じ状況だったら、即座に敬礼をし「じ、自分は何もしてないでありますナリ！」などとシドロモドロになることは必至。その場から無事帰っても、「竜童組の手で消されちゃう……」と怯え続けることだろう。

　その他の“この娘”にも触れたいところではあるが、これがいわゆるネタバレになる恐れがあるので、控えたい。ただ、金子作品ゆかりの女優（男優も）が、贅沢な形で出演するとだけ伝えておこう。「あの姉妹が、こんな出方していいわけ？」……なんてシーンもあって、これだけでもゴージャス感を味わえる（ゴージャスといっても、叶姉妹じゃないよ、念のため）。

　また、冒頭で触れた東映パラス３では、『マネーざんす』と入れ替わって、新山主演の『６週間・プライヴェートモーメント』が始まった。上映期間が重なるなら、新山千春デーとして、ハシゴするのも一興だ。

　それでは塾生諸君、来るべき映画ハシゴに備えて、今日はぐっすりと眠るように。「全員、就寝！」（花王『ロリエ』のCMから、新山のセリフ）

（佐藤ろまん）

click!!↑ 【佐藤ろまん先生　Profile】 誕生： 1968年、うつくしま未来博、あるいは千葉麗子の出身地でお馴染みの福島県生まれ。 最終学歴： 秋元康作詞塾（通信教育／中退）。 　 薄氷を踏むがごとく、どうにかこうにか文筆業で生計をたてる。書いてる媒体＆ジャンルは、本当に雑多で、近いところでは『笑うシネマ～FUNNY CINEMA～』（エンター ブレイン）にて、笑えるアイドル映画について寄稿してます。ほかに、隔月誌『アックス』（青林工藝舎）にて「ろまん子・ザ・ムービー危機イッパツ！」を連載中。好きな映画はもちろん、『おニャン子・ザ・ムービー危機イッパツ！』（DVD化＆モー娘。でリメイク希望）。近影のモニターに映し出されているのは、その中で怪演する関根勤の雄姿です。好きなクレージーキャッツのメンバーは、石橋エータロー。好きなドラえもんの道具は、どくさいスイッチ。好きなＶリーグのチームは、東レアロー ズ。将来の夢は、バンテリンのＣＭに出演すること。映画館から出てきて、「映画にはバンテリンだねぇ」なんてセリフを言ってみたい！ □OFFICIAL SITE「デジタルベストガイ」 佐藤ろまん先生を 応援する為に佐藤ろまん先生自ら制作しているHP http://romang.hoops.livedoor.com/