ぼくらの自由研究室

犬とヒトの熱中症を防ぐ熱中症チェッカー

連日のうだるような暑さにウンザリしているのは、人間だけじゃない。ペットの顔をよく見てやれば、人間と同じように「ウンザリ顔」をしていることだろう。

暑ち~っ!(遠い目)の定吉くん。表情はヒトのそれと同じだ

いつもは部屋のなかを駆け回るワンちゃんも、口を開けて扇風機やエアコンの前で「ハァハァ……」。いつもはご主人のそばにくっついているのに、玄関の涼しい場所にペッタリお腹をくっつけて昼寝。夏のあるあるワンちゃんエピソードだ。

あまりの暑さにアルミ板の上でぐったりする定吉
PETLINEの「愛犬の熱中症チェッカー」
ご主人! 散歩いこうぜ! 散歩!
ここはエアコンの室外機があるから暑いぞ! ご主人!

そんなワンちゃんもヒトもウンザリする夏にスマートライフを提供してくれるのが、PETLINEの「愛犬の熱中症チェッカー」だ。

わかっているようで忘れがちなワンちゃんの気持ち

たとえ小型の室内犬だろうと、お散歩は欠かせないだろう。ウチの定吉くんも部屋を駆けずり回っているが、「散歩」という言葉を耳にするだけで「散歩行く~!」と飛びついてくる。たとえそれが「散歩中に不審者が出たんだって~。怖いよね~」という電話でも(笑)。

リードを見たらもう大変!「えっ!行くの? 散歩行くの? マジ行くの? 散歩!?」ってな感じで大はしゃぎ

夏は暑いので、夕方の散歩は涼しくなってからというご主人も多いと思うが、その「涼しい」はワンちゃんに当てはまるだろうか? 身長がある人間は、夕方になればだいぶ涼しいと感じるだろう。しかし4本足で背の低いワンちゃんにとっては、まだまだ暑い。なぜならアスファルトには昼の日光の熱が蓄積され、夕方になってもまだまだ暑いのだ。

2015年8月1日(横浜)の気温(青)と、筆者測定の地上30cmの気温(茶色)の変化。昼過ぎは12℃も違いがある。日の入りはおよそ19時で、その時間帯が狙い時だ。ただワンちゃんが一斉にお散歩に出てくる時間にもなるので、シャイなワンちゃんはちょっと吠えるかも!?
こんな感じで日の当たるところで地上高30cmの10分間ごとの気温の変化を調べた。ペン型をしているのが温度計
首輪じゃなくリードに取りつけるので、ワンちゃんもそんなに嫌がらない
日の入り前(18時)の日陰のアスファルトでも39℃ある
日が当たるところだとお風呂並みの42℃もあり、まだまだ散歩は控えたほうがよさそう
気温が高く熱中症の恐れがある場合は、右の赤いランプが点灯

紹介する「愛犬の熱中症チェッカー」は、お散歩に出るときのリードに取り付ける。これならワンちゃん視線から熱中症の危険性を調べられる。まだまだアスファルトが暑く気温も湿度も高い日の入り前は、危険や警戒のランプが点灯し、ブザーでもお知らせ。と同時に液晶画面には、気温と湿度が表示されるので、次回以降の参考になるだろう。ブザー音量は、「OFF」と「小」と「大」に切り替えられるので、うちの定吉のようにビビリ君は音を消しておいたほうがいいかもしれない。

ブザー音は、OFF、小、大の3段階で切り替えOK
左側のランプで危険度がわかるほか、気温と湿度が表示される

警戒度は3段階表示だが、危険度の低い場合が「注意」(緑色ランプ)、少し危険な「警戒」(オレンジ)、ワンちゃんの様子を見ながら早めに散歩は切り上げたほうがいい「危険」(赤)で表示される。音のアラームのパターンも3段階に連動しているので、お散歩コースで危険なところもスグにわかる。

今日はどの草むらに顔突っ込んでやろうかな?と物色中の定吉くん

さて熱中症にならないよう散歩するには、気温何℃で湿度何%のときがいいのか?という具体的数値は、マニュアルにもインターネットにもなかった。なぜなら犬種などに大きく左右されるかららしい。ただ多く見かけた熱中症になりやすいワンちゃんをまとめてみると、こんな感じになる。

・お年寄りのワンちゃん
体力的にも衰えるので、ヒトと同じで暑い最中に散歩するのは控えたほうがいい

・鼻の短いワンちゃん
口を開け舌を出し体温調節する犬なので、鼻の短いパグやシーズー、ブルドックなどは熱中症になりやすい

・寒い地方出身
シベリアン・ハスキーのように寒い地方出身のワンちゃんは、体毛も寒い地方向けで、熱さにも適応しにくいらしい

・黒い毛のワンちゃん
毛色が黒い種類のワンちゃんは多いが、太陽光を吸収しやすいので熱中症になりやすいらしい

こういったワンちゃんとお散歩するときは、十分に熱中症に注意したほうがよさそうだ。

本体に付属のゴムバンドをボタンのようにはめる
バンドの間にリードを通す。中型犬ぐらいのリードなら余裕で通りそう
ゴムバンドの反対側をボタンのようにはめて取り付けOK

リードへの取りつけは簡単で、2カ所のボタンを留めるだけ。お散歩のタイミングを見極めるには、リードを外に出して愛犬熱中症チェッカーをワンちゃんと同じ高さぐらいになるようにしておけばいい。

電池は1日6時間使った場合、半年間持つとしている。

なお参考になればと思い、地上30cmの1日の気温の変化を測定してみたのが次のグラフだ。

8月2日の地上高30cmの気温(筆者測定;地面アスファルト)と、気象庁発表の気温(横浜)

当日の日の出は4時50分なので、朝の散歩は5時~8時までがよさそうだ。ただこの時期は8時でもすでに30℃近くあるので、熱中症になりやすいワンちゃんはお散歩を早朝にしたり、時間を短くするといいだろう。

一方で夕方の日の入りは18時50分。このころには、アスファルトの熱もだいぶ冷めて、気温との差は2℃程度になる。ただ気温は夜中まで下がらないので、夕方のお散歩は早めに切り上げたほうがいいだろう。散歩好きなワンちゃんなら、朝のお散歩時間を長めに取って、夕方は短くすることをオススメしたい。

お散歩の時間以外はヒト用の熱中症チェッカーとして

この製品の特徴とも言えるのが、スイッチひとつでヒト用の熱中症チェッカーになるところだ。これは医者から聞いた話だが、ヒトも歳をとってくると暑さや寒さを感じるセンサーが鈍ってきて、ついつい暑い中でもエアコンをつけずに過ごしてしまいがちだという。そんなときにこの熱中症チェッカーを使えば、光と音で知らせてくれるので便利だ。

ヒトとワンちゃんの切り替えはスイッチひとつ
ヒトモードになると危険度が4段階表示(注意からスタート、ワンちゃんは警戒からスタート)となる。液晶の左側にはヒトのアイコンが表示される

ペットの場合は3段階だった基準も、ヒトの場合は4段階になっている。熱中症予防の国際的な基準WBGTに基づいていて、日本の環境省でもこの基準を元に熱中症予防の注意を訴えている。

ヒトが持ち歩く場合は、付属のキーストラップを使うといいだろう。このストラップは、ワンちゃんのリードにも使えるのだが、ウチの定吉くんはブラブラするのが気になるらしく嫌がっていた。なのでウチでは、ヒト用に使っている(笑)。

キーストラップも付属。大型犬などでリードが太くてバンドでとめられない場合などにコレを使うといいだろう。ウチではもっぱらヒト用としてストラップを利用している

ペット目線を教えてくれる熱中症チェッカーでより仲よく!

ペットが感じている気温とヒトが感じている気温は、かなり違うということを認識させてくれる熱中症チェッカー。よりペットの気持ちを知ることができるだろう。

お散歩に行く前、「待て」や「お座り」をさせて定吉くんを待機させていたが、スグにやめてしまう原因がようやくわかった。お散歩が嬉しくてソワソワしている以上に、長く待てやお座りをしていると、アスファルトが暑いのだ。日の入りの時刻と言えど、アスファルトの温度はお風呂並み。ヒトでもうだる暑さの中、お風呂と同じくらいの温度の床に座ったり、寝転がったら汗が吹き出してくる。

「そろそろウチに帰りたいんだけど……」と目で訴える定吉
お散歩あとのおやつくれないの? お前いっつも、おやつくれるボスじゃん! ねぇねぇ!

ということで、ウチの定吉くんのお散歩は、待機は家の中でさせて、外に出たらそのままお散歩に行くようにした。定吉もなんだかうれしそうだ。

※この記事はペトハピの記事(2015年8月6日掲載)を転載したものです。

ペトハピ

2015年4月にImpress Watch ペット特集としてスタート。同年10月に「ペトハピ」創刊。2017年5月にインプレスから独立し、ペトハピ株式会社として運営中。ペットとオーナーが、どのように共生し、お互いに幸せになっていくかを提案するWebメディア。

https://pet-happy.jp/

藤山 哲人