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これからのお金と暮らしを立ち止まって考える

割り勘からお年玉までキャッシュレス。LINEはメッセージだけでなくお金も運ぶ

【LINE Pay株式会社 長福久弘 取締役COO インタビュー前編】

崎谷実穂 2018年5月22日 12:00
LINEが提供する、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」。LINEを使っている人ならば、「お年玉キャンペーン」や今年3月に登場したアプリの「ウォレット」タブで、その存在に気づいていることでしょう。モバイル決済は今、中国を始めとした各国で普及が始まっています。日本でもその波が来る、と言われていますが、もしかしたら今もっとも身近なモバイル決済サービスは、LINE Payなのかもしれません。そんなLINE Pay株式会社 取締役COOの長福久弘さんに、LINE Payは今どんな風に使われているのか伺いました。

LINE社内は、すでにウォレットレス社会が実現している

LINE Payのユーザー数は現在どのくらいいるのでしょうか。

LINE Pay 株式会社 長福久弘(以下、長福):国内の登録ユーザーは約3,000万人です。LINE Payはオンライン決済から始まって、カード型の「LINE Payカード」が登場し、そしてスマートフォンでのコード決済ができるようになりました。スマホでコード画面を提示して、レジで読み取ってもらうと支払いができる、というサービスです。それぞれのタームでユーザーを獲得してきた積み重ねが、この3,000万という数字に表れています。


LINE Pay、社内ではどんな場面で使われているんですか?

長福:メインは個人間送金ですね。LINEで友だちになっていて、かつどちらもLINE Payに登録していれば、金額を入力するだけで簡単にお金を送り合うことができます※。具体的な場面でいうと、部署の誰かが誕生日で、お祝いのプレゼントを買うことになったとしましょう。

※受け取りは登録だけでできるが、自分の残高を相手に送金するには本人確認(銀行口座の登録)が必要。

ああ、ITベンチャーって、メンバーの誕生日をお祝いするイメージがあります。

長福:いや、企業や部署によると思いますけどね(笑)。そうしたら、プレゼントを買った人が割り勘機能で金額を割り、送金依頼をして集金すればいい。すべてLINEのやりとり上で完結できるので便利でしょう。歓送迎会とかも、事前に集金して回ったり、飲み会が終わったあとに現金を集めたりしなくてもいいんです。

細かいお金がないから1万円をお店に崩してもらって……なんて手間もいらない。LINE Payの割り勘・送金機能を使えば終わりです。払い忘れて帰ってしまった人には、「一人5,000円だったよ」などと幹事が連絡して、家から送金してもらえばいい。


具体的に使われている場面を想像すると、便利なのが伝わってきます。

長福:LINEグループの社員は、福利厚生としてLINE Payで給与とは別にいくらかチャージされるんです。その使いみちは自分で決めていい。会社の中は、カフェもランチのお弁当も自動販売機のジュースも、すべてLINE Payでの支払いが可能です。だから、うちの社員はわりとキャッシュレス生活に移行していると思います。

社内ではキャッシュレス社会が実現しているんですね。

長福:やはり、自社のサービスを自分たちでちゃんと使わないと、強みも弱みもわからないですからね。CEOは、子どものお小遣いをLINE Payで送金しているそうですよ。私も生活費は妻にLINE Payで送ってます。


そのうち、お年玉やご祝儀なども、LINE Payで支払えるようになるかもしれませんね。

長福:中国でWeChatやアリペイなどのモバイル決済が爆発的に普及した要因のひとつは、そのあたりのニーズが大きかったからなんですよね。中国では、もともとお祝い事などがあると「紅包(ホンパオ)」という赤い封筒に入ったお金を渡すという習わしがあるんです。お正月や結婚式といったイベントだけでなく、もっと一般的に、会社で予算達成をしたときなどにも配られる。それをデジタル化したら、爆発的に伸びたんです。


なるほど、もともとそういう文化があったんですね。

長福:日本では、今はまだお金を直接渡すという機会はそんなにありませんが、お金をやり取りするのはコミュニケーションのひとつです。そして、LINEはコミュニケーションアプリですので、みなさんのコミュニケーションが促進するサービスを提供していきたい。だから、LINE Payで誕生日のプレゼントをみんなで買う、遠くに住む孫にメッセージとともにお年玉を送るなど、そういう使い方をしてほしいなと思っています。


普及の鍵は、LINE@が持つ30万以上の店舗網

LINE Payは基本的に、銀行口座登録をして、そこからチャージをして使うんですよね? キャッシュレスというと、クレジットカードでも同じようなことができるのでは、と思ってしまうのですが……。

長福:そうですね。でもクレジットカードだと利用できる人が限定されるんですよ。LINE上でのサービスなので、幅広い方々に使っていただけることを目指しています。


LINE Pay株式会社は、昨年12月に店舗・企業向けアカウント「LINE@」を販売・運営する会社と合併しました。これはどういう目的があったんでしょうか。

長福:モバイル決済の会社は、2017年から2018年にかけてプレイヤーが揃ってきたのですが、勝敗を分けるのはやはり、そのサービスがどのお店で使えるか、だと考えているんです。よく行っているお店でモバイル決済を使えるようになった、というのがモバイル決済を使い始める大きなきっかけになるからです。


たしかにサービスに登録していても、コンビニや行きつけのお店など、日常生活のなかで使うお店で使えなければ、使わずじまいになっちゃいますよね。

長福:そこで、LINE@なんです。LINE@はサービス開始から丸5年経ち、今では30万以上の店舗と取引をしています。そこには、大手チェーンから、中堅、小規模店舗までさまざまなお店があります。その店舗にLINE Payを導入してもらう、というのが普及の最短ルートだと考えているんです。

なるほど、LINE@を利用している店舗にLINE Payを導入する、というのは自然ですね。しかし、やはり決済方法を増やすというのは、面倒くさいし現金が入ってこなくなってしまうので、あまり積極的に導入したがらないんじゃないでしょうか。日本の小さいお店は、クレジットカードすら使えないところが多いですし……。

長福:たしかに、日本にクレジットカードのサービスが入ってきてもう50年以上経ちますが、クレジットカードの決済比率は、20%未満と言われています。やはり導入コストがハードルになっていたんですよね。


台湾ではLINE Payで公共料金を払える

店舗にとっては、決済手段が増えてお客さんに選ばれるメリットよりも、毎回の手数料というデメリットのほうが大きく感じられた、と。

長福:あまり直接的なメリットがない、と思われていたんです。でも、LINE Payは違います。我々は、LINE Payで決済すると企業や店舗のLINE公式アカウント各種の友だち追加ができるAPIを開発しました。そうすると、決済するたびに「友だち」という資産が増えていくことになる。友だち追加されれば、そのお客さんにメッセージを送ったり、クーポンを送ったりして、継続的に販促することができるようになります。決済から販促までパッケージで提供できるのは、LINE Payだけの強みです。


お店と客とのコミュニケーションが発生する、というところがLINE Payらしさなんですね。LINE Payは海外でも展開しているんですか?

長福:はい。台湾、タイ、インドネシアでLINE Payのサービスを提供しています。なかでも、一番ユーザー数や決済高が伸びているのは台湾です。台湾では、人口に対してかなり高い比率でユーザーがいるんですよ。


どういった理由があるとお考えですか?

長福:まず、LINEをすごく使ってもらえていたというのが、伸びている理由の一つです。もう一つは、昨年、LINE Payで支払うとポイントがつくというキャンペーンを実施しました。税金支払でもポイントがつくのはLINE Payだけだったので、新規ユーザーがすごく増えた。期間限定のキャンペーンだったので、キャンペーン後はどうなるかなと思っていたのですが、そのままユーザー数は伸び続けています。便利なサービスだと認識してもらえたのではないでしょうか。


一度使ってみると、もうやめられないくらい便利なのかもしれませんね。

2018/5/22 16:10 一部注釈を追加、誤記を修正しました

LINE Pay株式会社
2014年5月にモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」を運営するLINE Pay株式会社として設立。2017年12月に店舗・企業向けLINEアカウント「LINE@」を販売・運営するLINE Business Partners株式会社と合併し、30万件以上の法人・店舗様との接点や集客につながるユーザーとのコミュニケーションノウハウを両サービスで共有。加盟店およびユーザーの利便性向上、サービス/商品の競争力強化を目指し、新しい決済手段の導入を含めた総合的ビジネスソリューションを提供する。

https://linepaycorp.com/


聞き手:崎谷実穂
Twitter→@yaiask
HP→http://sakiyamiho.com/

撮影:Owlly編集部