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これからのお金と暮らしを立ち止まって考える

「かけたコストと幸福の大きさ、ちゃんと比例してますか?」 #お金と幸福のふしぎな関係 イベントレポ

by『浪費図鑑』劇団雌猫

劇団雌猫 2018年4月20日 19:20
「インターネットで言えない話」を深く掘り下げるオタク女子ユニット「劇団雌猫」。同人誌『悪友vol.1 浪費』は、何かに夢中になって浪費する人々の共感を呼び、書籍版の『浪費図鑑 ―悪友たちのないしょ話―』(小学館)は累計5万部のヒットに。そんな彼女たちがOwllyプレゼンツのイベント「お金と幸福のふしぎな関係」を開催! 2月7日に神楽坂かもめブックスでひらかれたイベントの模様をご紹介します。

ひらりさ:今日は初見の方が多いんでしょうか? 本日司会を務めます、ひらりさです。よろしくお願いします。浪費ジャンルとしては「BLと酒」担当ですね。

かん:かんです。今はK-POPの「SEVENTEEN」というアイドルが浪費ジャンルで、推しはジョシュアです!

もぐもぐ:もぐもぐです。私はの最近の浪費ジャンルは、アイドルと宝塚ですね。かなしいことに、大好きなの推しである月組娘役トップの愛希れいかさんがつい最近退団を発表してしまって。秋の退団に向けて貯金を始めました。

ひらりさ:今日はそんな3人で、「お金と幸福のふしぎな関係」をテーマに語っていきます。では会場のみなさんとの乾杯から始めましょうか。

一同:かんぱーい!



お金=幸せ? お金と幸せの相関グラフから読み解く

ひらりさ:まずは、我々が社会人になってからの「お金と幸せの相関関係」をグラフにしたものをつくってきました。「浪費はハッピー!」といつも語っている我々ですが、これまでの人生ではどうだったの? ということが明らかに……。トップバッターは、かん!

もぐもぐ:ここ3年間でめちゃくちゃ幸福度上がってる~!

かん:転職したからですね。ただ、実はそれは「お金=幸せ」だからということではなくて、「労働を給料に反映してくれる会社にいられる=幸せ」、ということです。

ひらりさ:わかる!

かん:お金がなくても幸せなときも、たくさんありますね。というか、オタク活動って、お金があっても解決しないことばかりじゃないですか。たくさん積んだとしても、セブチ(SEVENTEENの通称)の握手会に必ず入れるわけじゃないし!

もぐもぐ:念のため説明しておくと、「積む」というのは「大金をつぎこむ」という意味のオタク用語です。

ひらりさ:もはや徳を積むしかなくなってくる。

ひらりさ:お次はもぐもぐさんのグラフですね。新卒以降、順調なペースで上がっている。

もぐもぐ:私、大学時代、死ぬほどお金がなかったんですよ。1日1食クーリッシュをちょっとずつちびちび吸う……みたいな時代があった(笑)。

ひらりさ:それはたしかに死にそう。

もぐもぐ:クーリッシュは優秀なんですよ。カロリー高いし、袋状だからちょっとずつ食べられるし。

一同:(笑)

もぐもぐ:お金がなくて実感したのが、マジで全ての行動が制限されるということ。移動できないから、家でYouTube見るしかなくなるんですよ。社会人になって、毎月ある程度のお金が入るようになって、アイドルをはじめ「今までYoutubeでしか見たことがなかったもの」を見に行ってみよう! と思ったのが、浪費するようになったきっかけ。

ひらりさ:やっぱお金があると移動ができるから、健康な感じがあるね。

もぐもぐ:そうそう。さらに言うと、社会人になりたての頃は、うまく時間とお金が使えなくてひたすら酒を飲んでアル中になりかけてたんだよね

かん:これまたヘビーなエピソードが!

もぐもぐ:週8回くらい飲んでた気がする。でもアイドル現場に行くようになったら、「楽しいし、友達もできるし、ネットでしゃべる相手もできるし、酒を一人で飲むよりいい!!!」と開眼したわけです。そこからエンタメにお金を使うようになって、めきめき幸福度が上がりましたね。

ひらりさ:健康とお金も相関しているな……。

かん:最後にひらりささん。4年目と5年目にめきっと上がっている。

ひらりさ:社会人4年目に最初の転職をしたんですよね。で、5年目にもまた転職。

もぐもぐ:この2年は、幸福度が100%なの?

ひらりさ:そうですね。なんか、お金に対して不満はない。

もぐもぐ:えっ?!  ちょっと聞いた? 今の! わけてよ!(笑)

ひらりさ:この2年でやっと、ケチケチせずに好きなものを買えるようになったんですよね。子供のころの思い出で、すごく覚えていることがあって。アイスを食べる時はいつもあハーゲンダッツを買ってもらっていたんだけど、あるとき近所の集まりかなにかで、母がそのことについて周りから「子供にハーゲンダッツはぜいたく!」と言われたらしく。その日以来……スーパーカップしか買ってもらえなくなったんですよ。

一同:(笑)

ひらりさ:あれが本当に悔しくてね。だからこそ、「ケチケチしないで済む」ことが自分にとって大きなポイントです。



“ハッピーバイコスト”の高い浪費とは?

ひらりさ:それぞれの「相関」の話をしたところで、お次の話題は「“ハッピーバイコスト”の高い浪費」。これは今日のイベントを企画してくれたツドイの今井さんが考えた概念です!

もぐもぐ:つまり「幸せコスパがいい」っていうことだよね?

ひらりさ:そうそう。3人が2017年にした、「お値段以上に満足した浪費」について紹介していきます!


かん「20万円のソファー」

かん:私、ずっと貯金が0円だったんですが、去年の夏から貯金を始めて。貯まったお金でソファーを買いました。

ひらりさ:貯金して即浪費するとは、さすが劇団雌猫の浪費王。

かん:でも、うちのソファー、ずっとバネが出てたの。3000円くらいのめっちゃ安いソファーだし、バネがお尻に刺さってめっちゃ痛くて。そんなソファがリビングにあるから、土日に布団から出るのも億劫になっていたくらいです。

それで、貯金がたまってきたところで、思い切って買い換えたら……QOLが上がりまくった!!! 高いものを買ったぶん「使わないと!」って思うから、休みの日も早起きになりました。

もぐもぐ:貯金はもうないの?

かん:あわせてニンテンドースイッチも買っちゃったから、ないね。でも今回、人生で初めて貯金をしてみて、わかりました。「プロジェクトのゴール」を設定しておくと、貯金へのモチベーションが上がるということに。貯金をつづけるためにも、次の目標を考え中です!



もぐもぐ「6万円のBlu-rayレコーダー」

ひらりさ:これはオタクにありがちな浪費。

もぐもぐ:メモリを最大限積んだBlu-rayレコーダーを買いました。300時間くらい録れてめちゃめちゃ快適! これまでもレコーダーは持っていたんですけど、録画したデータをディスクにうつすと、全然見なくなっちゃうんですよ。

ひらりさ:わかる。ディスクをデッキに入れるの、超めんどいよね……。

もぐもぐ:知り合いの嵐ファンは、1年に1台、年ごとにデッキを買い替えて録画してるって言ってました。

かん:見たいデータがあるときはデッキを置き替えるってこと!?

もぐもぐ:そう、「あれは確か2015年の年末の番組だからこの中」って。富豪の所業だよね(笑)。私の好きなグループ、Sexy Zoneが、今年の24時間テレビのパーソナリティーに決まったので、レコーダーだよりの夏になりそうです。



ひらりさ・・・「月10万円の一人暮らし」

もぐもぐ:最後ひらりささん。2017年の夏に一人暮らしを始めたんだよね。

ひらりさ:そうそう。28年間実家にいたので、「すぐ挫折して戻るかも…」とも思ったんですが、めちゃくちゃ楽しい! 「どうぶつの森」みたいに、部屋を自分の好きなものでカスタマイズしていけるのがいいですね。実家暮らしだと、自分の物やインテリアを増やすと家族から怒られるんですよ。

もぐもぐ:なんで実家を出てなかったの?

ひらりさ:家事にお金を使う必要がないし、何でも出てくるし。あと、一人暮らしは怖いものだと思ってた。実際にやってみたら、自炊をしないで掃除・洗濯だけをやるなら、何とか回していけますね。

それと、実家だとテレビを自由に見られなかったのですが、一人暮らしを始めてからは、自分の好きな番組が選べる! 家でテレビを見ながら食事をすることも増えました。

かん:ひらりささんは、ひとり暮らしを始めてから元気になったと思う!

ひらりさ:自分でちゃんとお金を払って、プライベートな空間を得ているっていうことは、すごく幸せだなと思います。



劇団雌猫「数万円ではじめた同人誌」

もぐもぐ:これは個人的な浪費じゃなくて、劇団雌猫としての話だけど。同人誌を作るのは、ハッピーバイコストめっちゃ高かった! 自分たちがおもしろいと思って作ったものが、他の人にもおもしろいっと言ってもらえるのって、すごい原始的な喜びだよね。

ひらりさ:コミケやイベントで頒布をして、やっぱり対面で買ってもらえるのっていいな、って思った!

もぐもぐ:「つくる側」の楽しさって、コスパがいいなと思います。「悪友vol.1 浪費」は、「ぶっちゃけみんな貯金してんの?」っていう内輪話がスタートでしたが、それがシリーズ化して、書籍『浪費図鑑』としても発売されて、こんなイベントをやらせていただけるようになって……という流れ自体、すごいなと思います。楽しく投げたものが、いろんなものになって返ってきた。



「お金と幸せ」を考える補助線に…

ひらりさ:わいわいトークしていたら、あっという間に時間が……。最後に、お金と幸せについて考える上でおすすめの、本と漫画を紹介するコーナーです。


かん

『おしゃ修行』辛酸なめ子
『野心のすすめ』林真理子

かん:辛酸なめ子さんとは、以前座談会をさせてもらいました。『おしゃ修行』には彼女の浪費話がたくさん詰まってるんですが、数十万円するパワーストーンを買った話なんかが出てきておもしろいです。石に興味のない人からしたら「意味あるの?」って感じなんだけど、辛酸さん本人のすごく幸せそうな様子がいいんですよね。「浪費とその幸福度」は実際自分自身しか分からないものであって、自分が満足出来ていればどんだけ浪費したっていいよな〜と大きな気持ちになれます。

もう一冊は、林真理子さんのエッセイです。タイトルの通り、女性も野心をもってガンガン働いていこう! といった主旨で、お金を「使う」ではなく「稼ぐ」方面で勇気をもらえます。私の今の職場は若い人が多いので、周りにバリバリ働いている年上の女性がすごく少ないんです。そんな中で『野心のすすめ』は先輩からのありがたい喝! といった感じ。読む度に、これからも頑張って働き続けたいな、自分で稼いでしっかり立ちたいな、と思えます。



もぐもぐ

『あたらしいひふ』高野雀
『元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略』森下信雄

もぐもぐ:ひとつは漫画、もうひとつは新書です。『あたらしいひふ』は4人の余生それぞれのファッションへの姿勢の話。「わたしの『かわいい』はお前に通じないかもだけどわたしの気持ちを強くしてくれるんだよ」ってセリフがあって、それがすごく好きです。多分、私が何かに浪費している時と同じ感情なんですよね。「私は自分のために幸せを金で買ってるんだ、黙っとけ!」みたいな。そうだよな!! って元気が出ます。

もう一冊は、宝塚歌劇団の元プロデューサーがビジネスの側から論じる本。宝塚って、阪急電鉄のグループ会社なので、普通に駅員さんをやっていたおじさまが突然「劇場の人間」になるんですよね。だから、普通にファンビジネスを書いたものより視点がドライで、宝塚そのものに馴染みがなくても十分面白いと思います。ファンとしては自分たちがお客さんとして楽しんでいるものがこんな風に作られているのか! とわかってネタバレみたいな気持ち(笑)。



ひらりさ

『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』山内 マリコ
『いい会社を見極める 株式投資入門』藤野英人

ひらりさ:大人になってから「こんなに楽しいところだったのか!」とその存在のとうとさを噛み締めている場所が「伊勢丹」です。『お伊勢丹より~』では、著者の山内さんが、伊勢丹に限らずいろいろな場所でお買い物についてじっくり書いていて、読むととっても浪費欲が増します。

もう一冊は、アラサー女子とカリスマファンドマネジャーの対談形式で、投資のおもしろさ・やりかたを紹介している新書です。というか、私が構成してまして(笑)。よかったら読んでみてください!

かん:……と、各自紹介したところで、時間がきましたね。今回は、みなさんの肉声を聞けたような気がして嬉しかったです。ありがとうございました。

もぐもぐ:年始早々こんな話して「今年も絶対貯金できなそう」って頭によぎったけど、楽しく生きて生きたいと思います!

ひらりさ:一人暮らしを始めて、私にとっての「お金と幸せ」っていうのは、「ちょっとずつ我慢しなくていい」っていうことなんだろうな、って思いました。これからもちょっとのことでは我慢しないように浪費して生きたいなと思います。ありがとうございました。



劇団雌猫
アラサー女4人の同人サークル。「インターネットで言えない話」をテーマに、さまざまなジャンルのオタク女性の匿名エッセイを集めた同人誌「悪友」シリーズを刊行中。浪費、美意識、恋愛に続く新刊テーマは「東京」です。「悪友 vol.1 浪費」の増補改訂版として、書籍「浪費図鑑」(小学館)が2017年8月に発売。その他、イベントや執筆など楽しく活動中。

Twitter:@aku__you

ブログ:劇団雌猫


イラスト 中村一般