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これからのお金と暮らしを立ち止まって考える

宿題の答え合わせ 「かせぐ」「ぬすむ」「もらう」そして……?

おカネの教室~僕らがおかしなクラブで学んだ秘密【2時間目 前編】

高井浩章 2018年3月14日 06:00
「この世には、おカネを手に入れる方法が6つあります」中学2年生になった僕は突然、奇妙なクラブに放り込まれた――謎の大男、大富豪の美少女、平凡な「僕」が、「お金と経済」を通して、世の中の仕組みを知る! 昨年Kindleで個人出版され、、累計1万DLを突破したお金の青春小説が最新のトピックも加えてパワーアップして書籍化!3月16日の発売を前に、特別連載をスタートします!

2時間目 お金を手に入れる6つの方法(前編)

 毎週月曜日のクラブの時間。中学2年生の僕こと、木戸隼人(サッチョウさん)は人気のクラブにくじで落選。怪しいエモリ先生(カイシュウさん)が顧問を務める「そろばん勘定クラブ」に入ることに。学校でも色んな意味で有名な福島さん(ビャッコさん)の3人で始まった授業。最初の宿題はお金を手に入れる方法を「かせぐ」「ぬすむ」「もらう」以外に、3つ考えてくることーー

サッチョウさん(木戸隼人)
どこにでもいるフツーの中学2年生。小学校からバスケ部で、部活がない週末は公園でサッカーに燃える。消防士である父親がヒーロー。ひょんな巡り合わせで「そろばん勘定クラブ」に入ってしまう。
ビャッコさん(福島乙女)
町一番の大富豪の娘。成績は常にトップクラスで、母譲りのスマートな容姿も相まって、誰からも一目置かれる存在。物事をとことん突き詰める頑固な一面を持つ。家族の手掛けるビジネスについて悩んでいる。
カイシュウさん(江守先生)
「そろばん勘定クラブ」の顧問にして2メートルを超す大男。バイリンガルのハーフっぽいという以外、経歴等は不明。巨体が楽に収まるベンツが愛車。紅茶とスコーンをこよなく愛する。見た目は40代。

 1週間が経った。月曜日の授業は、やたら長く感じる。5時間目の数学が終わってクラブの教室に行こうとしたら、担任のオギソ先生に呼び止められた。
 「おい、サッチョウさん」
 「何ですか、それ」
 「とぼけるなよ。いいニックネームじゃないか。ちょっと時代がかってて」
 この先生、もう大きな子どももいるいい年なのに、人をからかうのが生きがいみたいなおじさんなのだ。
 「エモリ先生って何者ですか?やたらデカいし、クラブ以外何もやってないし」
 オギソ先生はニタニタ笑って、僕の耳元で「まあ、あまり詮索するな。とにかくあのヒトはタダものじゃない。お前、あのクラブに入ったのラッキーだぞ」とささやいた。そして僕の肩をポンと叩いて向こうに行ってしまった。これはこの人の癖で、陰で「ニタポン」と呼ばれている。
 「ビャッコさんによろしくな」
 ニタポンの笑い混じりの声を背に、僕は2年6組の教室に急いだ。

 福島さんはもう席に着いていた。先週と同じ、廊下寄りの席。僕も先週と同じように、一つあけた校庭寄りの席に座った。
 「福島さん、宿題、やってきた?」
 「ビャッコさんでいいよ。一応、考えたけど、自信ない。サッチョウさんは?」
 「一応考えた。でも、自信ない」

 カイシュウ先生が「こんにちは!」と元気よく入ってきて、最前列の席の椅子に背もたれを抱くような格好で座った。座ってもデカいので、かなり圧迫感がある。
 「さっそく始めましょう。お題は『かせぐ』『ぬすむ』『もらう』以外のお金を手に入れる方法でした。サッチョウさん、どうぞ」
 「一つは『かりる』だと思います」
 「はい、まずは正解。ところでサッチョウさん、誰かにお金借りたこと、ありますか」
 そうきたか。
 「あります。姉に。2,000円」
 「ちゃんと返しましたか」
 「はい。2,200円返しました」

 「え。利子払わなきゃ、なの?家族で?
 「いやいや、やりますね、サッチョウさんのお姉さん。面白いからちょっと脱線して詳しく聞きましょう。そんな大金、どうやって返したんですか」
 「借りたのがたしか11月ぐらいで、お年玉で返しました。はじめからそういう約束で、借りるときに両親に証人になってくれ、とか言ってました」
 「お姉さん、最高です。返済計画を立てさせ、保証人もみつくろうなんて」
 「でも、たった2カ月で1割も多く取るなんて、やりすぎな気がする」
 ビャッコさんもそう思うよね?だよね?鬼だよね?
 「ふむ。1割、ですか」カイシュウ先生は立ち上がると、黒板に数字を書きだした。

「2,000円に利子が10%つくと、2カ月で2,200円。2行目までがサッチョウさんのケースです。3行目はさらに2カ月借りっぱなしにした場合。ここから利子が2階建てになります。最初に借りた2,000円に、2回分で400円の利子。そこに『前回の利子につく利子』が加わる。前回の利子は200円なので、その10%は20円ですね。ということで、利子は全部で420円です」
細かいというか、ずいぶんセコイ話だな。
「4行目降はずっと借りっぱなしにした場合の返済額です。1年後で元利(がんり)合計3,543円なり、ですね。さらに3年間、借りっぱなしにすると、返済額は1万円を超えます

あれ。おかしいな。もとのお金にかかる利子は1年で1,200円、3年で3,600円のはずだ。借りたお金2,000円と合わせても5,600円なのに、その2倍近い。
利子が利子を生む、複利(ふくり)の魔力です。かのアインシュタインが人類史上最大の発見と言っています。高利の借金があっという間に雪だるま式に膨らむカラクリです。ちなみに、その先はこうなりますね」

 ビャッコさんが「すごい……。暗算、速い」とつぶやいた。たしかにすごい。けど、ほんとに計算合ってるのかな。目が合うとカイシュウ先生がにやりと笑い、シャツの胸ポケットから電卓を取り出した。一応、もとはそろばんクラブなのに……。
 「1.1に、掛けるを2回。で2,000、と。さあ、イコールを押していってください。四捨五入の誤差はお目こぼしを」
 電卓のキーを押すと、次々に黒板に書かれた数字が出てきた。カイシュウ先生が満面の笑みで胸を張った。僕らもつられてニヤニヤしてしまった。

 「寄り道しすぎましたね。4つ目の方法は『かりる』でした。次は?」
 「もう一つは、銀行にお金を預けて利息をもらう、だと思います」
 「グッド!お金持ちらしい答えがさらっと出ました。銀行預金のほかに、会社の株式や土地を買って値上がりしたら売る、という手もある」
 「あの、株式って、何ですか」
 「庶民代表らしい素朴な質問です。お金持ち代表、わかりますか?」

 「……会社を持っている、とかそういう感じ」
 「さすが。株式は会社の所有権を小口に分けたものです。それを売り買いするのが株式市場。この辺りはいつかまとめて話します。預金とか株式とかお金を誰かに預けて増やしてもらうことを『運用』と言います。お金がお金を生む不思議な仕組みです。
 和語を当てると、『ふやす』。漢字で書けば『繁殖』の下の字で殖やす。さて、最後の一つは?」

かせぐ
ぬすむ
もらう
かりる
ふやす
???


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お金を手に入れる6つの方法、はたして最後の1つとは?

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