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これからのお金と暮らしを立ち止まって考える

ファッションとテクノロジー 編集部だより vol.8

岡本尚之 2018年2月16日 12:49

実はWWD(ファッション業界の専門誌)の読者なので、最新のvol.2013を読んでいると、どうみても煌びやかなイメージしか伝わってこず、ファッションの持つパワーをザブザブと浴びる(毎号)。編集長、村上要は冒頭のメッセージで「ブルネロ クチネリ」の例から、「本当のラグジュアリーとは、プライベートが存在する生活を送ること」という、クチネリ会長の言葉を紹介している。

ECサイトの無機質なプロモーションや通知について、「お客様は『商品はキャンセルされました』って雑に言われたら失礼じゃない? ブランドのショップでは絶対にありえない(意訳)」という話から、インタヴューでの「あらゆる技術は”人間として”使うことが大事」という会長の言葉を添えていた。

そうだ、ファッションも、今やテクノロジーを人間的に扱おうとしている。 ECでの販売を行なっていないシャネルはSNS(インスタグラム)に力をいれていて、「イメージ部門」にいる20人の若いスタッフが、ファッションショーをそれぞれの感性で切り取ってコンテンツ化しているという。注力しているのは1分間のムービーで、これも若者に向けての最適化された手法だ。唸る。

ファッションにおいてのコミュニケーションは、もはや広告ではなくなる、と勝手に思っていたが、SNSという(ファッション業界にとっては)新しいコミュニケーションツールの介入が、代替となり始めている。もちろん日本でも同じだろう。先日大手アパレルに勤務する友人からPRについて相談された際に聞いた話によると、その会社に限ってかもしれないが SNSの取捨選択をし始めた。最適なコミュニケーション手段を、どうやら見つけたらしいのだ。ストラテジーがインフルエンサーに立ち戻ると、あまり意味はないのだが。

ファッションに限らず、デジタルとの関わり方を考える上で「人間同士」という視点を忘れてはいけない。最後に、プライベートブランド「ゾゾ」に向けられた業界キーパーソンの声から「サルバム」のデザイナーである藤田哲平の言葉を引用する。「数値ではなく”ヒト”を介して見つけていくのがファッションの醍醐味だし、人間味」。やはりテクノロジーとヒトは、もっとうまく、共に歩む道を見つけた方が良いのかもしれないね。

※「編集部だより」では不定期的に、編集部が考えていることや感じたことなどをお伝えしていきます

岡本尚之(おかもと・たかゆき)
1989年生まれ。広島県出身。出版社でライフスタイル誌・書籍の編集を行いながら、ライターとして『Quick Japan』などの雑誌やWebメディアで執筆。2016年、株式会社インプレスに入社。