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これからのお金と暮らしを立ち止まって考える

社会には「雑然さ」が必要なのかもしれない 編集部だより vol.3

岡本尚之 2018年1月12日 16:00

長年趣味がないことに悩まされている。そういう人、たぶん多いですよね?  10年ほど前に放送されていた深夜ドラマ『時効警察』では、オダギリジョーが演じる主人公・霧山修一郎も「趣味がないこと」を追求され、自分の仕事に引きつけた「時効事件の解決」を趣味にしていた。ということで自分の仕事に引きつけた趣味を見つけた。読書だ。参考文献、献本(出版社や著者さんから頂くもの)、趣味で買ったものを含めると部屋に2000冊ほどある。

2000冊。ワンルームに住んでいるので居住空間を尋常ではなく圧迫し、もう本棚も足りない。バンカーズのおしゃれなボックスを大量に注文して(要は段ボールなのだが)そこに詰め込み続けていたら、いつしか部屋はボックスまみれ。ベッドの周辺は白い段ボールによって全方位を囲まれて、就寝時はさながら棺に眠るドラキュラである。クローゼットに収納するとカビがくるし、ボックスに入れれば虫がわくので定期的に虫干しをしなくてはならない。なんとコストパフォーマンスの悪い趣味であろうか。Kindleで購入した冊数もいつのまにか1000を超えた。しかし学びのためにはしかたあるまい。すべては知識を得るため……。他にも段ボール箱や読みかけの本は部屋中に、無数に散らばっている。

端からは、たぶん片付けられていない部屋に見えるだろう。別にゴミ屋敷の人に共感するわけではないが、この本まみれで散らかった部屋が、結構心地良くて好きだ。ミニマリスト的な風潮とは逆の方向性だけれど、部屋をシンプルに保つためには片付ける必要があり、そのためには当然何かを捨てて(あるいはメルカリで売って)しまわなければならない。 けれど、そうする必要性をあまり感じられない。

これからも本まみれの雑然とした部屋で過ごすと、そう決めた。片付けないことの良さも、実はある。シンプルさを保つことは、神経と労働コストを多く使う。この本まみれで雑然とした部屋では神経質になる必要もないし、肩の力を抜いてリラックスすることができる。「ストレス社会」に大切なのはこの雑然さではないか。この仮説が正しいかどうかはもう少し様子を見てから決めよう。

※「編集部だより」では不定期的に、編集部が考えていることや感じたことなどをお伝えしていきます

岡本尚之(おかもと・たかゆき)
1989年生まれ。広島県出身。出版社でライフスタイル誌・書籍の編集を行いながら、ライターとして『Quick Japan』などの雑誌やWebメディアで執筆。2016年、株式会社インプレスに入社。