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これからのお金と暮らしを立ち止まって考える

オタク以外にこそ知ってほしいオルタナティブな生き方【劇団雌猫ひらりさ インタビュー後編】

人生は浪費だけじゃない。投資と消費も考える

羽佐田瑶子 2017年12月21日 08:00
人生を豊かにするための浪費は、新しい時代のお金の在り方かもしれない。オタク女子たちを見つめたことでわかった、幸せな浪費とは? 後半は「浪費と消費と投資」の関係性やこれからの浪費についてインタビュー。もともと、金融関係の連載を担当したこともあるという著者・劇団雌猫のひとり、ひらりささんに引き続きお話しを伺った。

精神を平常に保つためにお金を使うことは「消費」だと思うのですが、浪費と消費はどのように違うのでしょうか?

劇団雌猫 ひらりさ(以下、ひらりさ):以前、編集職時代に家計再生コンサルタントの方の連載を担当していて。「消費・浪費・投資を分けて考えよう。消費は減らせないから、浪費を見直しましょう」という非常にロジカルな提案をされたのですが、私や『浪費図鑑』に出てくる女子たちにとっては、浪費も愛に対する投資じゃないですか。消費や投資に劣るものではないし、見直せないんです。でも、人生は浪費だけではないですし、楽しく浪費するためには消費や投資のことも、考えていかないといけないなと思います。


ひらりささんは、消費や投資についてはどうお考えですか?

ひらりさ:消費は最低限に抑えたいんですけど、なかなか難しい……。ポイントカードためたり少し安いものを買ったりというのが本当に苦手で。資産運用周りは興味があって、いろいろな新しいサービスに手を出しているのですが、物によっては浪費になってしまっています。私にとっては、株は投資ではなく浪費かなと(笑)。ガチャみたいに気軽な気持ちで、売り買いしています。

対して、最近熱を上げているロボット投資※は、純粋に投資としてやっています。「ウェルスナビ」と「THEO」の2つのサービスで毎月一定額を積み立てているんですが、利回りもいいし、積立金の状況をアプリでこまめにチェックできておもしろいです。浪費も大事だけど、消費と投資も考えることは大事だと思いますね。

※ロボット投資:人間に投資家に代わってコンピュータのプログラムが、資産を最適な配分で運用してくれるサービス


今回は女性の執筆者だけでしたが、男性からの反響はいかがですか? 男女の浪費生活の違いはあるのでしょうか?

ひらりさ:よくインタビューで「男性の浪費は取り上げないんですか?」と聞かれますが、単純に知り合いが少ない(笑)。なので印象論ですけど、男性だと、車や時計など大きな物へ浪費される方や、とにかく全部集めたいというコレクターが多いような気はしています。むしろ話を聞きたいくらいです。

オタクではない男女こそ、ひとつの生き方として知れるおもしろさがこの本にはあると思うので、そちらのみなさんにもぜひ読んでほしいです。


お金を浪費するほど「ハマれるものがない」という人も多いと聞きます。

ひらりさ:ハマれることは一種の才能ですよね。といっても「在宅オタク」など、お金を使わずにハマれる人もいるので、浪費とハマることは別軸だと思います。劇団雌猫や『浪費図鑑』で寄稿してもらった方にとっては、「お金を使う」という行為と「幸せが増える」という考えが結びついている感じがあります。でも、貯金して幸せになる人もいますし、浪費額と幸せが比例しているわけではありません。無理にお金を使わなくても、それぞれの価値観で、お金を使うことが一番いいと思いますね。


金の価値観が変わってきていますよね。親世代までは、定年まで貯蓄して65歳過ぎたら浪費をしようという人が多いと思います。しかし、いまの若い世代は貯蓄への希望や思考が薄い気がしました。

ひらりさ:生まれ育った時代にも左右されますよね。うちの親はバブル世代なのですが、子育てのタイミングでは不景気だったので、むしろ堅実なんですよね。私たちの世代でも、すでに子育てしてる人だと別でしょうが、20代後半でも独身でバリバリ働いている女性が増え、夫婦になってからも別会計の人が増えていると聞きます。自分のためにお金や時間を使えるようになったことが、浪費やお金の価値観を変えていると思いますね。


実際にひらりささんは浪費をされて、よかったことはありますか?

ひらりさ:いまは特段ハマっているものがないので、広く薄く、服やコスメにもお金を使うようになりました。社会人になるまで二次元にかかわるコンテンツにしか目を向けずファッション誌を読んでいなかったので、メイクのコツも知らないまま大人になってしまって……。いろいろなコスメブランドやアイテムを知ることが、新しいアイドルを知るくらいの楽しみになってます。

対して周囲のオタクは、現場があるドルオタ出身だからか、女子力を履修して大人になっているので、社会に出た時の差がすごいんです(笑)。彼女たちを横目にいろいろ学習していたら、「自分」に時間やお金をかけることも、「推し」にお金をかけるのと同じくらい楽しいなと気づいて、自分を嫌いじゃなくなりました。


最後に、浪費家にとって幸せな人生とはなんだと思われますか?

ひらりさ:本の中で「浪費女アンケート」を行ったときに、「あと何年この生活を続けたい、あるいは続けられるでしょうか?」という問いを入れたのですが、44%が「一生このまま愛と金を注ぐつもり」と回答されていて、それにとっても感動しました。そんなふうに、いまの幸せをコツコツ追い求めることが、浪費家にとっての幸せな人生なんじゃないでしょうか。

逆に「正直もう無理」が4%いて、そういう人たちは一旦止めてもいい。浪費って、対象がなんであっても、結局は自分が満足できるかどうかだと思います。止めるのは逃げではない、身を滅ぼさない程度に、楽しく健全に浪費生活を過ごしてほしいです。

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ひらりさ
平成元年生まれ。酒とBLを主食とする腐女子OLにして、腐女子ライター。
最近は、同人サークル「劇団雌猫」メンバーとして「悪友」シリーズの刊行を行い、書籍『浪費図鑑』(小学館)も話題となっている。

聞き手:羽佐田瑶子
撮影:三浦咲恵