「ペーパーレス」を目指して多くの企業が導入を進めつつある文書管理システム。しかし、大きな投資のわりに今ひとつ効果が期待できなかったり、部署単位での細かな業務に対応しきれずに、未だに「紙」が残ってしまっているケースも多いことだろう。
もちろん、全社的な業務プロセスは文書管理システムや複合機の導入、ワークフローによって効率化されつつあるが、その一方で、たとえば広報部やマーケティング部などで利用する販促のための製品貸し出し依頼書、部門の費用で参加したセミナーやイベントの資料、部内でのみ使う独自の申請書など、全社的なシステムから取り残された紙ベースのデータというのは、まだまだ存在するはずだ。
また、中小規模の企業や個人事務所といった比較的小規模のオフィスでは、そのコストの高さや導入期間の長さ、さらに導入後の運用の問題などから、文書管理システムのメリットは理解していてもなかなか導入に踏み切れないというケースも多いはずだ。
つまり、すでに文書管理システムを導入しているオフィスでは、現状のシステムから取り残された業務を「もっと」効率化したいというニーズが、一方、これから文書管理システムを導入したいと考えているオフィスには「もっと」低コストかつ手軽にシステムを導入したいというニーズが存在するわけだ。
このような、業務の効率化を「低コスト」かつ「手軽な」文書管理ソリューションというのは、実は、これまでありそうでなかなか存在しなかった。しかし、エプソンから登場したシートフィードタイプのビジネススキャナー「ES-D400」、および手軽な文書管理ソリューションである「Offirio SynergyWare Document Browser」を組み合わせれば、このようなこれまでのオフィスに足りなかった「もっと」を補完し、理想的な文書環境を構築することも可能だ。
文書管理ソリューションを実現するために、まず欠かすことができないのがスキャナーの存在だ。
前述したように、最近では複合機によってプリンターやコピー、スキャナーを統合化しようという試みが進みつつあるが、その一方で、利用者が集中してなかなか使えなかったり、スキャナーを利用できる業務や読み取れる文書が限られているなど、運用上の柔軟性に欠ける場合も少なくない。つまり、既存の業務を補完するという意味では、より手軽に使えるスキャナーが必要になるというわけだ。
そこで利用したいのが、部門単位での導入に最適なコンパクトなスキャナー「ES-D400」だ。書類を上部のフィーダーにセットすることで、順番に紙を送ってスキャンするこができるシートフィードタイプのスキャナーとなっており、デスクの上はもちろんのこと、棚などにもスッキリと収るコンパクトな設計になっている。
これなら、部門単位で設置しているカラーインクジェットプリンターの隣に置いておいたり、設置場所が限られる小規模な事務所、商店のカウンター下やレジの脇などに置いても邪魔にならない。
もちろんコンパクトなだけでなく、その実力も非常に高い。両面同時スキャン対応によって効率的なスキャンが可能となっており、スピードも片面40枚/分、両面80枚/分(200dpi)と非常に速い。両面印刷された数十枚単位の資料などの場合、通常は用紙をセットして開始したら終わるまでちょっと休憩……などいうことも珍しくないが、ES-D400の場合、用紙が瞬く間に送られていくため、休憩するヒマもなくスキャンが終了する。
業務の効率化という点で考えると、スピードというのは業務を中断させないための重要な条件の一つだが、それがしっかりと実現されているというわけだ。
また、対応する用紙が幅広いというのもES-D400の特長だ。A4対応のスキャナーだが、名刺やカードサイズの小さな用紙にも対応しており、しかもクレジットカードや会員証のように厚みのあるプラスチックカード、しかもエンボス加工によって会員番号が浮き出すように刻み込まれたカードのスキャンも可能となっている。これなら、レンタルショップなどの店頭で利用にも問題ないだろう。
さらに、付属のキャリアシートを利用し、A3サイズの用紙を折りたたんでスキャンすれば、両面から読み取ったデータをドライバ側で自動的に合成し、A3サイズのデータとして保存することもできる。A3サイズの図面やチラシなど、たまにA4以外の用紙をスキャンしたい場合があるが、こういった例外的なサイズでも問題なくスキャンできるのは大きなメリットだ。
もちろん、いくら高性能でも、使いにくくては意味がない。その点、ES-D400は、初心者、それもスキャナーをはじめて使うという人でも、すぐに使えるような工夫がなされている。
付属のEpson Event Managerを利用することで、スキャン設定やスキャン後の動作なども細かく設定し、ES-D400の液晶画面に表示することができるので、自社の用途に合わせて自由にカスタマイズできるのも魅力だ。あらかじめセットした設定を画面で確認しながら選択もできる。一般的な製品の場合、JPEGで片面なら1番、両面でPDFなら2番、スキャン後PCに転送するなら3番、サーバなら4番、OCRで文字認識なら5番……、などと番号で指定することが多かったが、これなら画面で確認できるのでミスなく、誰でも手軽に利用できる。
スキャン品質も高く、文字や画像をクッキリとスキャンすることができる。また、添付のスキャナドライバ「Epson Scan」には、資料に赤字で書き込んだメモを自動的に消すドロップアウト機能(赤・青・緑で指定可能)、ファイリング資料をスキャンした際にパンチ穴を自動的に除去するパンチ穴除去機能なども搭載しており、紙データをスキャンした後の手間もかからない。非常に使いやすい製品に仕上がっている。
このように、ES-D400は非常に高性能なスキャナーだが、文書管理システムというトータルなソリューションとして利用するためには、これにプラスしてソフトウェアが必要になる。
具体的には、前述したES-D400に、Offirio SynergyWareシリーズの「Document Browser」を組み合わせて利用する。
このDocument Browserは、Web上に情報&ナレッジポータルを手軽に構築することができるソフトウェアで、Windows Server上にインストールすることで(IISを利用)、スキャンした紙ベースのデータ、社内に分散する文書をブラウザベースで管理・共有することが可能となっている。
その特長は、価格と手軽さだ。まずは、価格だが文書を保存するためのキャビネット数ごとの価格体系となっており、利用ユーザー数に関係なく、1年間の価格が98,000円(20キャビネット版)からとなっている。
これなら、企業の部署単位での導入も可能なうえ、これまで文書管理システムを敬遠してきた中小企業、個人事務所などでも気軽に導入できる。前述したスキャナーのES-D400の標準価格が128,000円となっているため、ハードウェアとソフトウェアを合計した最低限のコストで考えても、20万円台からの導入も可能というわけだ。
一般的な文書管理システムの場合、ソフトウェアの開発コスト、および導入後の運用の手間やコストが問題になりがちで、大規模なシステムであれば億単位のコストがかかることも珍しくない。その一方で、小規模な環境ながら、20万円台という非常に低価格な予算で導入できるのは現在の景気動向などを考慮しても非常にうれしい限りだ。
一方、手軽さという点では、豊富なテンプレートによって、業務に合わせた運用を手間なく、すぐに開始できるようになっている。営業提案書、案件の進捗、申請・決済ワークフロー、セミナーやイベント資料の電子保管、商品機材の貸し出し管理など、20以上のテンプレートを付属しているほか、追加されたテンプレートはエプソンのホームページから無償でダウンロードすることも可能だ。
画面を見ながらパーツを選ぶだけという手軽なフォームの設計機能も搭載されているので、SIerやシステム管理者の手を借りずに現場で運用することが可能だ。テンプレートを元に、自社の業務プロセスや利用者からの声などを参考に、手軽にカスタマイズすることもできるようになっている。
「パッケージ版ソフトも、結局、カスタマイズすると高くつく……」。そんな心配をする必要がなく、導入、設計、運用まで、すべて部門の担当者単位で済ませることもできてしまうというわけだ。これなら中小規模の企業でも、コスト的、マンパワー的な負担なく、文書管理、文書共有、さらにワークフローなどを導入でき、業務改善を実現することができるだろう。
はじめから20以上のテンプレートが用意されており、手間無くはじめられる
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ユーザーがパーツを選んで好みにフォームを設計できるようにもなっており、手軽にカスタマイズもできる
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パーツのカスタマイズも画面上でわかりやすく編集ができる
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現在、企業システムは、サーバにしろプリンターにしろ、「統合」という大きな潮流の中にある。もちろん、ブレードや仮想化によるサーバ統合、複合機によるプリンター統合は業務の効率化、コスト削減、エコ対策には欠かせないものであるのは確かだ。
しかし、急速な「統合」によって、その流れから取り残されてしまう部分も次第に目立つようになってきた。部門単位での独自の業務、中小企業、SOHOなどの環境は、言わば統合によって見逃された「隙間」だろう。
このような隙間を放置せず、全体の流れの中で、しっかりと個別のニーズもフォローしていこうというのが、これまでに紹介したエプソンのソリューションというわけだ。プリンターや複合機とOffirio SynergyWareによる全体最適の中で、ビジネスインクジェットの利用や、今回のスキャナー+Document Browserによる文書管理など、トータルでソリューションを実現することができるようになっている。
単なるハードウェアの購入やリプレースに留まることなく、業務改善などを含めた新たな価値を創出するソリューションの導入が、これからの時代には求められるだろう。
清水理史製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ。
「プリンター&プロジェクター徹底活用」
小室淑恵さんインタビュー&オフィリオによる課題解決策を提案。
Offirio SynergyWare ドキュメント|エプソン
オフィリオ|エプソン
ビジネス力UPプロジェクト ~エプソンと各メディアが考えるオフィスの業務力向上|エプソン
今ならおトク お得祭り開催中|エプソン
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