とにかく機能が豊富なネットギア製品。使いこなせば便利だろうけど、やり方がよくわからない……。この連載では、そんな機能を、毎回わかりやすく解説します。

NASの容量限界を超えてストレージを増設!
ReadyNAS用外付け拡張ユニット「EDA500」を利用してみる

2014.3.5 清水理史

ReadyNAS RN300/RN500シリーズ用の外付け拡張ユニット「EDA500」

導入時は十分だと思ったのに、使っているうちに、いつの間にか空き容量が残りわずかとなってしまった・・・・・・。NASの運用において容量不足の問題は、結構ありがちな事例かもしれませんね。

数年前に導入したNASともなれば、1TB×4台の構成で、RAID5で実質容量3TBほどといったケースが多いかと思います。しかし、デジタル化が進む文書、ビックデータの潮流で膨れあがった解析用データ、高画質化が進むデジタルカメラの写真、動画や3Dデータなど、今や中小の現場や企業の部門単位でも、膨大なデータを扱う機会が増えてきたことを考えると、3TB程度なら、あっという間に容量を使い果たしてしまうケースも珍しくはありません。

もちろん、NASによっては、このようなデータの増加に柔軟に対応できる機種もあります。たとえば、ネットギアのReadyNASシリーズでは、自動的にRAID構成を変更できる柔軟なX-RAIDを採用しているため、後からディスクを追加したり、より大容量のディスクに交換したりすることで、容量を拡張していくことができます。

しかし、これも、NAS本体に、増設用のベイが残っていたり、より大容量のハードディスクに交換できる余地がある場合です。すでにベイが埋まっていたり、現在市販されている最大容量のハードディスクを使っている、といったケースでは、NAS本体のみで容量を増やすのには限界があるわけです。

そこで、紹介したいのが、この「EDA500」です。見た目は既存のReadyNASシリーズにそっくりですが、NAS本体ではなく、拡張用の外付けユニットとなっており、eSATAでReadyNAS RN300/RN500シリーズに接続することで、ストレージ容量を拡張することができます

ハードディスクの最大搭載数は5基で、スペック上は最大20TBまでのストレージをReadyNASの容量拡張に利用することが可能です。

前面パネルをひらくと6基のHDDベイがあらわれる。1基はスペアドライブ収納用のダミーとなっている
背面に電源コネクタとeSATAポート
ディスクはネジ不要のカートリッジで装着できる
ReadyNAS RN316(左)とEDA500(右)を並べたところ。サイズはほぼ同じ

では、どうやって容量を拡張すればいいののでしょうか?

実際に試してみましたが、とても簡単です。ReadyNASにEDA500を接続すると、以下のように、X-RAIDであれば自動的に新しいボリュームとして追加されます。ここに新しい共有フォルダーを作成したり、既存のデータを移動すればいいわけです。

EDA500に同梱のeSATAケーブルでReadyNASに接続する
ブラウザで設定画面を表示し、「システム」の「ボリューム」を開くとEDA500が表示される
EDA500に装着されたディスクで自動的にボリュームが構成される。今回は3TBのHDDを3台装着したので、RAID5で約5TBの領域が作成された

なお、EDA500を接続した状態でReadyNASを初期化した場合も、同様にX-RAIDで2ボリュームが自動的に構成されます。

もしも、自分で構成を選択したり、既存のボリュームを拡張したい場合は、リスクはありますが、以下のようにX-RAIDを使わずに構成することもできます。

  • X-RAIDを無効化
    「システム」の「ボリューム」で現在の構成を確認。まずはX-RAIDを無効化するために、右上の「X-RAID」ボタンをクリック
  • Flex-RAIDに切替
    警告メッセージが表示されるので、内容を確認して「はい」をクリック。これでX-RAIDからFlex-RAIDに切り替わる
  • ボリュームを削除
    EDA500にボリュームが自動的に作成されたボリュームを削除。ボリュームをクリックして「破棄」をクリック
  • 破棄の確認
    ボリュームを破棄するときは、確認操作が必要。「DESTROY」と文字を入力して「破棄」をクリック
  • ディスクを選択
    ボリュームが削除されたら、EDA500のディスクをクリックして選択。別ボリュームとして構成したい場合は右上の「新しいボリューム」、既存のボリュームを拡張したい場合は左側の「ボリューム拡張」ボタンをクリック。ここでは既存のボリュームを拡張してみる
  • RAID構成を選択
    既存のボリュームに拡張されるRAIDグループの構成を選択。ここではディスクが3台装着されているのでRAID5を選択し、「拡張」ボタンをクリック
  • ボリュームが拡張される
    ボリュームの拡張が実行される。もともと4.52TBだった領域が9.97TBまで拡張された

このように、EDA500では、複数の方法でReadyNASのストレージを拡張することができます。まとめると、以下の表のようになります。

別ボリュームとして追加別ボリュームとして追加既存ボリュームを拡張
RAID方式X-RAIDFlex-RAIDFlex-RAID
メリット設定不要で手軽追加ディスクのRAIDを手動で構成できる既存領域を拡張できる
デメリット別ボリュームとして追加されるため、既存ボリュームからのデータ移行や使い分けが必要別ボリュームなのでデータ移行や使い分けが必要なうえ、X-RAIDを利用した自動拡張などが使えなくなるEDA500が接続されていないとボリュームを使えないためデータロストの可能性が高くなる

くれぐれも注意が必要なのはFlex-RAIDを利用した既存ボリュームの拡張です。1つのボリュームが2つの物理的なハードウェアにまたがって構成されるため、たとえばメンテナンスや停電からの復旧時にEDA500の電源だけ入れ忘れたりすると、RAIDが崩壊し、データをロストする可能性が高くなります。

基本的には、X-RAIDを利用してボリュームを拡張し、どうしてもという場合のみ、自己責任でFlex-RAIDを使うようにしましょう。

(Reported by 清水理史)

関連リンク

ReadyNAS® 5ベイ 外付け拡張ユニット EDA500 製品情報
http://www.netgear.jp/products/details/EDA500.html