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ネットギアの品質を5,000円台で!
IEEE802.11acデュアルバンドWiFiルーター「R6120」

2017/12/13 清水理史

ネットギアの「R6120」は、アマゾンジャパン限定で販売されているエントリー向けのIEEE802.11ac対応無線LANルーターだ。ネットギアならではの「Nighthawk」ブランドではないものの、その流れを受け継いだ素性の良さが感じられる製品だ。その実力を検証してみた。

手の届くネットギアの無線LAN製品

高品質な「Nighthawk」シリーズで有名なネットギアから、少し方向性の異なる無線LANルーターが登場した。

「R6120」と名付けられた「Nighthawk」シリーズ“ではない”この無線LANルーターは、IEEE802.11ac準拠で最大867Mbpsの通信を可能にするエントリーモデルとなる製品だ。

安くても2万円オーバーとなるプレミアムな「Nighthawk」シリーズから比べると、実売で5,980円という価格は、かなりお買い得な印象があるが、同シリーズから引き継いでいる部分も多く、単に価格メリットだけを訴求した製品というわけではない。

言わば、必要な機能を絞り込むことで、リーズナブルな価格を実現した製品で、大きく、ゴツくなる一方のハイエンド製品とは一線を画す、コンパクトさも兼ね備えている。

まさに、誰にでも手を伸ばしやすい身近な存在となったネットギア製品と言ったところだろう

ネットギアのエントリー向け無線LANルーター「R6120」

思った以上にコンパクト

それでは、実機を見ていこう。本体は、2本の長いアンテナが目立つものの、思った以上にコンパクトで、サイズは185×136.5×46mmと設置場所をさほど占有しない大きさになっている。

デザインは、多角形をイメージさせるネットギアらしいものとなっている。一見、男性的な印象があるが、実物は、コンパクトさが醸し出すミニチュア感もあって、さほどゴツゴツした印象はない。

本体サイズに比べて長いアンテナがアンバランスさを感じさせるが、このあたりは、通信品質を重視するネットギアらしいと言ったところだろう。

正面

側面

背面

手に持ったところ。意外にコンパクト

スペック的には、以下の表のとおりとなる。参考として、Nighthawkシリーズの中ではエントリーモデルに位置付けられるNighthawk X4S R7800のスペックも掲載した。

無線LANが2ストリームの最大867Mbpsとなる点や(R7800は4ストリーム対応)、ビームフォーミングやMU-MIMOといった無線性能の向上に役立つ機能が省かれているほか、有線LANも全ポートが100Mbps対応となることが大きな違いとなる。

有線LANが100Mbpsとなることから、あまりパフォーマンスを追求した製品ではないことは明らかで、スマートフォンや流行のAIスピーカーなど、無線LANに対応する機器をなるべく簡単、かつ快適に使えるようにしたモデルということになる。

■R6120スペック
R6120 Nighthawk X4S R7800
実売価格 5,980円 21,777円
CPU 580MHz 1.7GHzデュアルコア
メモリ 64MB 128MB
対応規格 IEEE802.11ac/n/a/g/b IEEE802.11ac(Wave2)/n/a/g/b
2.4GHz速度 300Mbps 800Mbps
5GHz速度 867Mbps 1733Mbps
5GHzチャネル W52/W53/W56 W52/W53/W56
ビームフォーミング
MU-MIMO
SmartConnect
アンテナ 外付け×2 外付け×4
WAN 100Mbps×1 1000Mbps×1
LAN 100Mbps×4 1000Mbps×4
LAG
USB 2.0×1 3.0×2
eSATA 1
サイズ 185×136.5×46mm 285×185×50mm

※実売価格は2017年10月9日時点のAmazon.co.jpでの価格

また、ソフトウェアによって実装される機能面でも違いがあり、以下のようにNighthawkシリーズで利用可能になっている機能のうち、高度な機能がR6120では省かれている。

こうしてNighthawkシリーズと比べてしまうと見劣りしてしまうが、USBポートを利用したファイル・プリンタ共有、無料で使えるペアレンタルコントロール機能なども備えており、同じ価格レンジの他社製品に比べても、付加的な機能はまったく見劣りしない。

通販サイトなどで比較すれば、さらに安いIEEE802.11ac対応の無線LANルーターは存在するが、Nighthawkシリーズから受け継いだ品質と豊富な機能が、本製品を選ぶポイントとなりそうだ。

■機能の違い
R6120 Nighthawk X4S R7800
帯域制御 Dynamic QoS ×
メディア共有 DLNA ×
ファイル共有 ReadySHARE
  FTPサーバー ×
プリンタ共有 ReadySHAREプリント
バックアップ TimeMachine対応 ×
ReadySHARE Vault ×
セキュリティ ペアレンタルコントロール(無料)
ゲストアクセス
VPNサーバー ×

海外メーカー製品が「難しい」なんてのは昔の話

エントリーモデルということで、使い勝手を心配する人も少なくないことだろう。特に、海外製の無線LANルーターは、これまでハイエンドユーザー向けというイメージが強かったことで、設定などが難しいという先入観を持っている人も少なくない。

しかしながら、そんなことはもはや昔の話で、現代の海外製無線LANルーターは、国内メーカー製品と比べても、遜色ないどころか、むしろ勝っていると思えるほど使いやすくなっている。

たとえば、本製品に限らず、現状の無線LANルーターでは、WPSによるボタン設定に対応しないiPhoneをいかに簡単に接続できるかがメーカーの腕の見せ所となっているのだが、本製品の場合、QRコードを使って簡単にiPhoneを接続できる。

本体保護のために被せられたフィルムに、QRコードが書かれた設定用シールが貼り付けられているのだが、iOS11以降を搭載したiPhoneであれば、このQRコードをカメラアプリで読み取るだけで、無線LANへの接続設定が完了する。

同様にQRコードを使った設定が可能な製品もあるが、本製品は標準のカメラアプリで設定できるため、事前に設定用アプリをダウンロードするなどの手間が必要ない。

もちろん、PCやAndroidなら、本体背面のWPSボタン(Reset兼用なので押し方に注意は必要)を使ったワンタッチ設定ができるので、手間なく無線LANへの接続が可能だ。

iOS11ならカメラアプリでQRコードを読み取るだけで接続可能

WindowsやAndroidなら背面のWPSボタンで接続可能

インターネット接続などの初期設定に関しては、Nighthawkシリーズで利用可能なNETGEAR upには対応していないため、基本的にはPCを使ってセットアップする必要がある。しかしながら、無線LANで接続後、ブラウザを使ったウィザードで簡単に設定できるうえ、初期設定で管理者パスワードの変更やファームウェアのアップデートが自動的に実行されるようになっており、意識することなくセキュリティレベルを高めることができる。

正直、無線LANのつなぎ方にしろ、初期設定にしろ、「よくできているなぁ」というのが率直な印象で、これならはじめて設定する人でも迷わずに済む。海外製品独特の敷居の高さをまったく感じさせないので、安心して利用できるだろう。

初期設定はPCからが手軽。ウィザードで必要な設定が案内される

初期設定後はスマートフォン向けのアプリで設定できる

無料で使えるペアレンタルコントロールやファイル共有

前述したように、本製品にはNighthawkシリーズほどではないにしろ、豊富な付加機能が搭載されており、自宅を訪問してきた友人向けにゲストネットワークを解放したり、子どもが悪質なサイトにアクセスするのを防止できるペアレンタルコントロール機能も利用可能となっている。

これらの設定は、初期設定と比べると、まだ敷居が高く、その世界感というか併用する外部サービスとの関連性を理解する必要があるうえ、一部、英語UIも残っているので、初心者には若干難しいが、それでも無料で使える機能となるため、ぜひ活用したいところだ。

ペアレンタルコントロールを利用することで、悪質なサイトへのアクセスを遮断できる

また、家庭内での簡単なデータ共有にも活用できる。R6120背面に用意されているUSB2.0ポートにUSBメモリーなどを装着することで、ネットワーク上のPCからファイルを読み書きできるようになる。

USB2.0接続となるため、速度的には限界があるが、数枚の写真や文書ファイルなどのやり取りであれば十分だ。設定次第で、外出先からのアクセスも可能になる。

USB接続のSSDに対して、有線LAN接続のPCからCrystarlDiskMark 6.0.0を実行したところ。速度はさほど高くないが、家庭内のファイル共有などは問題ない

実用で困らないほどほどの性能

気になるパフォーマンスだが、低価格モデルとは言え、実用性は十分といった印象だ。

以下の表は、木造3階建ての筆者宅の1階にR6120を設置し、各階での速度を計測したものだ。有線LANで接続したPCに対してiPerfを実行しているため、1階では上限となる100Mbps近くの速度が発揮できている。

リビングなどに本製品を設置し、同一フロアのPCやスマートフォンなどから使うというケースでは一切ストレスを感じることはないだろう。

2階での計測でも80Mbpsを越えているため、こちらも実用上はまったく問題ない。マンションなど電波を透過しにくい環境では、もう少し速度が低下する可能性があるが、壁を1枚隔てた環境でも問題なく利用できるはずだ。

ただし、筆者宅の場合、3階の階段近くは問題なかったものの、もっとも遠い場所では10Mbps以下まで速度が低下してしまった。大きめのアンテナが搭載されてはいるが、やはり長距離での伝送は、さほど得意というわけではなさそうだ。

長距離や壁を複数枚隔てた環境で利用するのであれば、やはり、より高性能なNighthawkシリーズを利用したり、別途、中継機などを併用する必要があるだろう。

ベンチマークテスト
※サーバー:Intel NUC(DC3217IYE),Windows Server 2012R2
※クライアント:Macbook Air Mid-2013 11インチ(866Mbps)

手軽だが活躍の場が広い無線LANルーター

以上、ネットギアのR6120を実際に使ってみたが、低価格なエントリーモデルとしての素性はなかなかいい。上位モデルほどの性能は期待できないが、はじめてでも簡単に設定できるうえ、ペアレタンルコントロールやUSBファイル共有などの機能を手軽に利用できる。手軽に購入できるエントリー向け製品ではあるが、活躍の場は広そうだ。

特に接続設定の手軽さは、海外メーカー製品とは思えない完成度で、難しいという先入観を完全に打ち砕くものとなっている。はじめてでも安心して使えるし、さほど無線LANに詳しくなくても迷うことはないだろう。

これまでネットギアのプレミアムルーターに手を出しにくかった人でも手軽に使えるオススメの製品と言っていいだろう。