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最大1733Mbpsの通信に対応した無線LAN中継器
「Nighthawk X4 ワイヤレスエクステンダー EX7300」新登場

2017/06/09 清水理史

ネットギアから1733Mbps+450Mbpsの高速通信に対応した無線LAN中継器「Nighthawk X4」が発売された。コンセント直結型の無線LAN中継器ながら、最大1733Mbpsを実現可能なIEEE802.11ac wave2準拠4ストリームMIMOに対応し、同社の高性能製品に冠される「Nighthawk」ブランドの製品だ。ハイエンド無線LANルーターでも電波が届きにくい場所へのエリア拡張やギガクラスの通信速度が求められる有線LAN機器の無線化に役立つ製品だ。

ハイエンド無線LANルーターの性能をコンセント直結で

コンセント直結で、しかもアンテナ内蔵。このサイズ感で、よくぞここまで高性能な無線LAN中継器を実現できたものだと、つくづく感心する――。

ネットギアから新たに登場した「Nighthawk X4 EX7300(以下Nighthawk X4)」は、最大1733Mbpsの通信に対応した無線LAN中継器だ。

ネットギア「Nighthawk X4 EX7300」。4ストリームMIMO対応で最大1733Mbpsの通信が可能な無線LAN中継器

手軽な通信エリア拡大や通信速度向上の手段として、ここ数年で無線LAN中継器への注目が高まりつつあるが、無線LANルーターの進化に比べて、これまでの中継器のスペックは中途半端だった。

海外メーカー製の中には高速な無線LAN中継器も存在するが、それでも最大速度は1300Mbpsが上限で、国内メーカーの製品のほとんどは最大866Mbpsが限界だった。価格面も含めた「手軽さ」が求められる中継器に、さほどコストをかける意味がないというのが今までの考え方だったのだろう。

しかし、今回、ネットギアから登場したNighthawk X4は、そんなこれまでの常識を覆す製品となっており、2ストリームMIMOで866Mbpsという従来の一般的な中継器の2倍となる4ストリーム1733Mbpsとなっている。

この速度を実現しようと思ったら、従来は無線LANルーターとして販売されているハイエンド製品を中継器モードに切り替えて使うしかなかったが、それが無線LANルーターよりも低価格、かつコンパクトなサイズで実現されているのだから驚きだ。

同社のルーターラインナップの中では、「Nighthawk」というブランドは高いパフォーマンスを持つ製品にのみ許される特別な存在だが、さすが、中継器として初の「Nighthawk」ブランドを冠された製品と言ったところだ。

この製品の登場により、1733Mbps対応のハイエンド無線LANルーターでも電波が届きにくい環境でも高い通信速度を維持しつつエリアを拡大したり、1000MbpsのLANを活かして有線LANにしか対応しない機器を1733Mbpsの無線LANでリンクさせるような環境を容易に実現できるようになったことになる。

EX7300 EX6120(参考)
実売価格 14,979円 4,182円
5GHz 1733Mbps 867Mbps
2.4GHz 450Mbps 300Mbps
LAN 1000Mbps×1 100Mbps×1
Fastlane
MU-MIMO ×
サイズ(高さ×幅×奥行mm) 161×81.4×44.5 55.17×67.17×39

※実売価格は2017年5月31日現在Amazon.co.jp調べ
※比較用に同社製の従来機種(EX6120)のスペックを掲載

「邪魔」と感じさせない勘所がわかっている

それでは、実際の製品をチェックしていこう。前述したように本体はコンセント直結タイプで、デザインは台形を組み合わせた同社ならではのものとなっている。

サイズは高さ161×幅81.4×奥行44.5mmなので、同社製の従来型の無線LAN中継器「EX6120」などと比べてもかなり大きい。

正面

側面

背面

底面

しかしながら、実際にコンセントにつないでみると、これが意外なほど家庭内にフィットし、「邪魔」と感じさせるようなことが一切ない。

多くの壁紙になじむホワイトカラーや、前述した台形を組み合わせたデザインも功を奏しているが、なによりアンテナがないことが大きく影響している。

最大1733Mbpsを実現する4ストリームMIMOの場合、4系統の電波を同時に受信するために4本のアンテナが必要となる。このため、本来であれば本体から4本のアンテナが突き出ていてもおかしくないのだが、本製品ではすべてのアンテナが内蔵されている。このスッキリとした印象が、本体の大きさを意識させない要因となっているのだろう。

また、背面の電源コネクタの位置が考慮されており、上下に2口並ぶ一般的な家庭のコンセントの上側に接続したときに、下側のコンセントを“潰さない”よう配慮されている点も「邪魔」に感じさせない要因のひとつとなっている。

さすがに、大きめのACアダプタなどはNighthawk X4と干渉するため接続できないうえ、底面の有線LANポートにケーブルを接続する場合も工夫が必要だが、掃除するときに掃除機の電源をつなぐなど、ふだんの生活でもうひとつのコンセントを使う場合でも困ることはない。

こういった日常的な使い勝手をよくする勘所がわかっている印象だ。

実際にコンセントにつないでみると、思ったほどサイズを感じさせない。アンテナ内蔵である点とデザインが効いている印象

2口ある片方をつぶさなくて済むように配慮されている。大きなACアダプタなどは干渉する可能性があるが、通常のコンセントなら問題なく接続可能

WPS接続が簡単だが、手動セットアップもわかりやすい

セットアップも簡単だ。特に凝った設定をする必要がないのであれば、本体をコンセントに接続後、側面のWPSボタンを使って親機となる無線LANルーターに接続するだけでいい。 これで、たとえば親機側が「WirelessAP」というSSIDであった場合は、「WirelessAP_5GXT(5GHz用)」「WirelessAP_2GXT(2.4GHz用)」というSSIDが自動的に設定され、親機側の接続用パスワードがそのままNighthawk X4にも継承される。

WPSボタンで親機に接続するだけで簡単にセットアップ可能

一方、手動セットアップも手軽だ。Nighthawk X4をコンセントに接続すると、標準で「NETGEAR_EXT」というオープン(暗号化なし)のSSIDが表示されるので、PCからここに接続すると、自動的にブラウザーが起動してセットアップ画面が表示される。

ウィザードに従って、管理用のIDやパスワードを設定したり、接続先の親機を指定するだけでセットアップは完了する。

無線LAN中継器は、初心者が利用するケースも多いが、どのような方法を選択した場合でも手軽に設定できるようになっているのは高く評価したいところだ。

手動セットアップの場合は、暗号化なしのセットアップ用SSIDに接続することで自動的にブラウザーでセットアップウィザードが開始される

親機のSSIDの末尾に「_5GEXT」「_2GEXT」が付加されたSSIDが設定され、パスワードは親機からそのまま継承される

セットアップ後の接続状況も非常にわかりやすい。本体前面のランプの色で通信状況が表示されるようになっており、矢印のランプを使って設置場所のアドバイスまで表示されるようになっている。

たとえば、赤い「クライアント」ランプの方向に矢印のランプが点灯した場合は、Nighthawk X4をクライアントに近い場所に移動することが推奨される。

ランプで通信状況を確認できる無線LAN中継器は少なくないが、ユーザーにしてみれば「で、どうしたらいいの?」と戸惑うことが多い。これに対して、本製品では、具体的にどこに設置すればいいのかを適切に示してくれる。

無線LAN中継器を快適に利用するには、設置場所選びが非常に重要だが、本製品であれば、それに迷うこともないわけだ。

付属のマニュアルに記載されているLEDの状態説明。幸い筆者宅では表示されなかったが、電波状況が悪い場合は、クライアントと親機のどちらの方向に移動させればいいかも表示することが可能

また、設定画面を利用すると、実際に親機となる無線LANルーターとどれくらいの速度でリンクしているかを数値で確認することができる。この値を確認しながら、設置場所を決めるのもひとつの方法だ。

このほか、同社では「WiFi Analytics」というスマートフォン向けのアプリも無料で提供している。無線LANの電波状況を手軽に確認できるので、親機に接続したほうがいいのか? 中継器につないだほうがいいのか? 2.4GHzと5GHzのどちらにつなぐべきか? などに迷ったときの判断材料にするといいだろう。

セットアップ画面を表示することで、親機とどれくらいの速度でリンクしているかも簡単に確認できる

WiFi Analysticsを利用すると、現在の電波状況や周囲のアクセスポイントの状況を確認可能。親機とNighthawk X4のどちらにつなぐべきかに迷ったときなどにも便利

実際の効果を試す

実際の効果については、親機として利用している無線LANルーターの性能や周囲の電波状況、無線LAN中継器の設置場所など、さまざまな要因に左右されるため非常に難しいが、筆者宅でテストした限りではハイエンドルーターの拡張用としても実用的という印象だった。

木造3階建ての住宅の1階に親機となる無線LANルーター(Nighthawk X10)を設置し、3階の階段を上がったところに中継器となるNighthawk X4を設置、その効果を測定したのが以下のグラフだ。

※クライアントにはMacbook Air 11 2013(866Mbps)を使用し5GHz帯に接続
※Nighthawk X4は通常モード(Fastlaneモードではない)でX10に接続

親機のみの場合、3階では階段付近で137Mbps、親機からもっとも遠くなる窓際で33.7Mbpsという速度(iperfによる計測)となっていたが、Nighthawk X4を設置することで、この値が221Mbpsと206Mbpsに向上している。

無線LANルーターの場合、いくら高性能な製品でも、家の中のどこかしらで通信状況が悪くなる場合があるが、中継器を利用すれば、家中隅々で実効200Mbpsオーバーを実現することも不可能ではなさそうだ。

また、本製品にはfastlaneモードも用意されており、親機との接続や子機との接続にそれぞれどの周波数帯を使うかを明示的に指定することもできる。

通常モードの場合、2.4GHz帯と5GHz帯の両方を同時に利用することができる(子機との接続にも中継にも両方の周波数帯を使う)ため、利便性は高まるものの、速度が低下しやすい。

たとえば、2.4GHzで子機を接続した場合、中継も2.4GHzとなる。無線LANは、同じ周波数を使う端末が通信している最中は、ほかの端末は通信ができないしくみになっているため、子機と中継器が通信している最中は中継器と親機は通信できず、逆に中継器と親機が通信している最中は子機と中継器は通信できない。

このため、子機の数が増えると、中継器と親機の間の通信がなかなかできず、転送速度がどうしても低くなってしまう。

これに対して、Fastlaneモードでは、子機と中継器は2.4GHz、中継器と親機は5GHzといったように、それぞれ別々の周波数帯の電波を利用できる。これにより、子機と中継器の間の通信をしながら、同時に中継器と親機との通信も可能になるわけだ。

2.4GHzと5GHzの組み合わせは手動で選択可能だが、一般的には中継器と親機を結ぶ基幹側に高速な5GHz帯を利用するのが一般的となる。

 ただし、マンションなど5GHz帯が届きにくい環境の場合2.4GHzを基幹として使ったほうが結果的に高速になる可能性もある。モードを切り替えながらリンク速度を設定画面で確認し、最適な設定を探すといいだろう。

fastlaneモードを使うと、親機との接続、クライアントとの接続に、それぞれ2.4GHz帯と5GHz帯のどちらを使うかを明示的に指定できる

無線LANに快適をプラス

以上、ネットギアの無線LAN中継器「Nighthawk X4 EX7300」を実際に試してみたが、今までの製品より確実にワンランク上の性能を持った中継器と言えそうだ。

従来の中継器は遅い親機の性能をカバーするイメージだったが、本製品は中継器そのものが非常にパワフルなため、親機側が高性能な無線LANルーターであっても、その効果を体感することができる。

それでいて、邪魔にならないデザインが採用されていたり、使いやすさも十二分に工夫されているなど、非常に完成度の高い製品と言える。今までの中継器のイメージを覆す「力作」と言っていいだろう。