■ヒロスエとジャン・レノが共演!! フランスと日本を舞台にリュック・ベッソン製作映画、本格始動!

 『グラン・ブルー』『ニキータ』『レオン』と数々のヒット作を手がけ、フランスを代表する映像クリエーターとして世界から注目を集めるリュック・ベッソン。映画ファンの間ではカリスマ的人気を誇り、つねに最新作を待ち望まれる存監督であるが、実は現在、脚本家、プロデューサーとしての才能を生かし、ある最新プロジェクトに取り組んでいる。それが今、世界中の熱い注目を浴びている映画『WASABI(原題)』。物語の舞台はフランスと日本にまたがり、国際的な展開が予想される作品だ。

 本作でメガホンを取るのはジェラール・クラヴジック。『TAXi2』でその才能を高く評価され、同作ではフランス歴代興行新記録を打ち立てた実績の持ち主。主演はベッソン作品の常連でフランスが生んだ大スター、ジャン・レノ。映画の話題としてはすぎるほどだが、実は注目すべき点はそれだけにとどまらない。なんと、ヒロイン役に日本から広末涼子が大抜擢されているのだ。日本での撮影の真っ只中という忙しいスケジュールの中、その合間をぬって5月1日には製作発表記者会見が行われた。いまだその全貌が開かされていないものの、ちらりと影が見え始めた『WASABI(原題)』。会見の模様を交えながら、気になる作品の魅力に迫ってみたい!

■カリスマ・クリエイター、リュック・ベッソンの最新プロジェクト 『WASABI(原題)』

 リュック・ベッソンといえば、映画ファンなら知らないものはいないカリスマ・クリエーター。初の長編映画『最後の戦い』(83)で、アヴォリアッツ映画祭審査員特別賞と批評家大賞を受賞。その後の活躍はご存知の方も多いだろう。『サイブウェイ』(85)、『グレート・ブルー』(88)、『ニキータ』(89)などを次々に発表。人気を不動のものにした。94年には『レオン』でアメリカ進出を果たし、『フィフィス・エレメント』(97)、『ジャンヌ・ダルク』(99)と莫大な費用を投じた大作でも大成功を収める実力派といえる。また、プロデューサーとしても数多くの作品を手がけ、代表作『TAXi』(97)、『TAXi2』(99)では興行的にも大成功を納めており、名実ともに世界的なヒットメーカーと呼ぶに相応しい人物なのである。

 その彼が脚本・プロデュースしているとなれば、『WASABI(原題)』が多くの注目を集めるのも当然のこと。フランス国内はもちろん、日本、アメリカそして全世界が熱い視線を向けている最新プロジェクトは、今、まさに現在進行形。どんな作品に仕上がるのか、またレノ&ヒロスエがどんなコンビネーションを見せてくれるのか、今から公開が楽しみな作品である。

■話題の『WASABI(原題)』製作真っ只中!会見リポート

 『現在はフランスでの撮影が一段落し、日本での製作が進んでいるという『WASABI(原題)』。日本での撮影真っ只中の5月1日、都内のホテルで製作発表記者会見が開かれた。
出席したのは、製作・脚本を担当するリュック・ベッソン、監督のジェラール・クラヴジック、主演のジャン・レノ、ヒロインを演じる広末涼子、レノが扮する刑事の相棒として出演しているフランスの名バイ・プレーヤー、ミシェル・ミューラの5人。詰めかけた多くの報道陣からの熱い視線とフラッシュの嵐の中、会見はスタートした。フランスでの撮影が一段落したとはいえ、やや疲れ気味の表情が隠せない一行。それでも日本での歓迎ぶりを心から喜び、滞在を楽しんでいる様子が伺えた。

 実は、日本での撮影がスタートしていはいるものの、街中での撮影はフィルムコミッションからの許可待ちという状況でもある。そんな“待ち”の現状について、ベッソンは「日本は確かに外国映画の撮影を受け入れる習慣がないと思います。フランスでいう“生卵の上を歩く様に”慎重に物事をはこばなくてはなりません。でも、我々が真剣に取り組んでいるということ、何がやりたいかということをきちんと伝えればきっと理解してもらえると思っている」とその胸中を語った。すでに建物内での撮影を了解してくれている高島屋、カシオ、帝国ホテルには感謝していると話した。

 撮影の真っ只中というだけあって、会見でスタッフ、キャストの口から作品のくわしい内容が明らかにされることはなかったが、撮影は基本的には順調に進んでいる様子。ジャン&リョーコのコンビもすこぶる好調のようで、出来あがりには大きな期待が持てそうだ。

■日本の広末から世界のHIROSUEへ

 ベッソンの最新作、しかも主演はジャン・レノ。監督はフランスでの歴代興行新記録を打ち立てたあの『TAXi2』のクラヴジックとなればもう、それだけで大きな期待が寄せられる『WASABI(原題)』。だが、日本人ならどうしても気になるのが今回ヒロインを演じる広末涼子の存在。主演映画『秘密』を観たベッソンからの熱いラブ・コールに答える形で、この作品への参加が決定した正真正銘の世界デビューとなる。

 会見場にはかなり明るめの茶髪で登場した広末。これまでの清純派イメージを一新するかのように、謎めいた美少女を演じるにあたって、外見からの役作りにも努めているという。

 さらに、セリフはすべてフランス語という厳しい条件にも挑戦し、まさに役に体当たりで挑んでいる彼女。「フランス語については大学で第二外国語でとっていれば、と思いました。今回は大変だったんですが、スタッフが協力してくれて、時間をとっていただきました。ホームステイ1カ月と撮影の間1カ月をフランスで過ごしましたし。こんな新しい出会いがあって、とっても幸せ」と話した。記者からのリクエストに答え、照れながらも「こんにちは。私はリョーコです。ありがとう」とフランス語での挨拶にも応じた。

 本作への出演理由を「夢をかなえるためと、自分を守ってくれる人のため、あと、負けん気ですね」と話していた彼女だが、ジャン・レノが広末との共演の感想を聞かれた際に「撮影は問題なし。毎日少しずつ関係を構築しています。上手くいっているのがわかるでしょ」とコメントすると、思わず感激で泣き出すという場面も。「現在は撮影中ということでかなりホット。作品と作品が身近なものですから距離をおいて話ができず、ちょっともろい状態になっているんですよ」とのレノの言葉にさらに涙を溢れさせていた。

 実績を重ねるごとに、活躍の場、演技の幅を広げ続ける広末涼子。本作では、ベッソンの魔法によって、そして世界の荒波にもまれてどんな成長ぶりを見せてくれるか、彼女のファンならずとも見守りたいところだ。

■大予想! 『WASABI(原題)』はこんな作品!?

 ここまでいろいろ本作の話題を紹介してきたが、いったいどんな内容になるのかは非常に気になるところだ。そこで、今回は特別に、『WASABI(原題)』のストーリーを少しだけご紹介しよう。

 フランス、パリ。強引な捜査を繰り返し、つねに問題を巻き起こしている刑事ユベール(ジャン・レノ)。勝手な行動がたたりとうとう謹慎処分を言い渡されてしまう。愛想がなくどこまでもマイペースな彼には、友達はおろか恋人もいない。そんな彼のもとに、ある日、東京から悲しい知らせが入る。彼が生涯でただ一人愛した女性、ミコが死んだという知らせだった。悲しみに打ちひしがれたユベールは、日本へと向かう決意をする。愛する人との思い出を胸に19年ぶりの日本に降り立ったユベール。だが、そこで彼を待っていたのはYUMI(広末涼子)という謎の美少女。そして、危険で巨大な犯罪の匂いだった...。

 現在明かされている内容はここまでだがクラヴジック監督は、自らが作品に向けているまなざしについてこう話している。「日本文化のことはもちろん意識しました。日本で撮影する以上、そこに出てくる登場人物も本物でなくてはと思いましたから。現代フランス人が今の日本に投げかける視線、これがテーマではありませんが、フランス人の見方が反映された作品になると思いますよ」。どうやらエキゾチックな日本の風景がフランス人の目にどのように写っているのか、そんな視点からも楽しむことができそうだ。アジアとヨーロッパがミックスされたコスモポリタンな作品。『フィフス・エレメント』に見られたようなちょっとアジアンテイストでエスニックな要素が撮り入れられた作品になるのかもしれない。

 わかっている範囲の情報を総合すると『ニキータ』や『レオン』といったクライム・サスペンスにちょっぴりプラトニックな恋愛が交じり合った物語、さらにアジアンテイストが効いた作品になるのでは、というのが大方の予想。いずれにしても、アクション、サスペンスといった複雑な要素が絡み合う美しい映像作品になるのは間違いなさそうだ。


2001年5月1日、帝国ホテルにて
(ライター:牧口じゅん/撮影:歌頭孝之)

『WASABI(原題)』
(2002年春公開予定/配給:K2/日本ビクター)

□OFFICIAL SITE
 http://www.wasabimovie.com/





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