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第12回:『STACY』
加藤夏希ふたたび~“この娘”がゾンビに変わるまで
第10回で「タモさんと中山エミリによる2ショット立て看板を作って欲しい!」といった旨を書いてしまったが、すでに存在していることが判明した。しかも、ボクの最寄りの駅の薬局で発見!(現在のラテンっぽいのではなく、教授と女子大生のバージョン)。もうこれは訂正して詫びるしかないが、言い訳させてもらえるのならば、毎日のように視野に入っているのにも関わらず、それだと気づかないほどタモさんが日常に溶け込んでいる証拠とも言えるのではないか。『笑っていいとも!』も同じで、毎日欠かさず観ている視聴者など希有だろうが、いざタモさんが降板するなんてことになったら、日本中がパニックに陥るだろう。タモさんは、すでに空気や水といった域に達しているのだ。
タモさんと同じく多芸で、ニッポン放送『オールナイトニッポン』のパーソナリティを務めたひとりとして、大槻ケンヂの名が挙げられる。彼の書いた小説『ステーシー 少女ゾンビ再殺談』が、この度『STACY』として映画化された。主演は加藤夏希。彼女は当連載の第1回目『エコエコアザラク』での“コノ娘”であり、ポテンシャルの高さは実証済み。今回の『STACY』では、いつも風鈴を片手に持ち、セーラー服姿で尾美としのりの前に現れるミステリアスな“コノ娘”を演じきってくれた。すでに次回作『羊のうた』も控えていることから、彼女や彼女のスタッフサイドがスクリーンを重視してくれていることが伺える。これは「この娘」塾生にとって、喜ばしい方向性であろう。
但し、『STACY』はかなり異色とは言え、ホラーと括るメディアが多いだろうから、『エコエコ』と合わせていわゆるホラー女優というイメージを植え付けさせるのはいかがなものか。また次回作も含め、セーラー服での登場が多いのは、ポテンシャルへの足かせとなりかねない。彼女の明るい面やオタクな面もスクリーンで見てみたいし、また秋田訛りがあるのなら、その訛りを活かした役柄も早い段階で残しておくべきだろう(例えばナマハゲと恋し、村からつまはじきにされるファンタジーとか見たい!)。
加藤夏希以外に目を向けると、テレビから流れるテレフォンショッピング風のCMに佐伯日菜子が登場。短い出演時間ながらも、大槻ケンヂとともに「殺戮マシンを笑顔で紹介する滑稽さ」を伝えてくれた。
それから是非注目していただきたいのは、“ドリュー違法再殺団”なる3人組のひとり“かなえ”役で出演している池田早矢加! ヒット作『バトル・ロワイヤル』(及び特別編)では、主演の前田亜希の親友で“女子三番 江藤恵”という、いかにも重要人物そうな役柄ながらも、早々死んでしまった彼女だが、『STACY』では飛躍的に生命力がアップ! なんと流血して、死んでも(?)なおセリフを放つのだ! ま、その辺の種明かしは劇場でのお楽しみにするとして、日本刀を振り回すなどのアクションにも挑戦し、彼女の短いようで長い芸歴を見守ってきたファンにとっては、『BR』以上に楽しめる作品であることには違いない。「池田早矢加? SAYAKAなら知ってるけどー」などとアイスの実を一気食いして、頭をキーンとさせているごく一般の人にも、顔と名前を覚えていただきたい。
その他、クライマックスに向けて、多くの女子高生が出演するが、ステーシー(ゾンビ)化してしまった後なので、彼女たちの顔を判別するのは困難極まりない。かと言って声ならどうかと思えば、全員「ウーー……」といったうめき声しか発しない。ま、ゾンビだから当然なのだが。
ゾンビ――中学時代、ゾンビという身も蓋もないあだ名がつけられた女子がいたことを思い出してしまった。今になって振り返ってみると、彼女はゾンビの痩せ細ったイメージとはほど遠い恰幅のいい体型で、今時分ならば“パパイヤ”なんて呼ばれることだろう。あだ名の由来は闇の中だが、ボクたち男子の間ではからかいを含んだ“ゾンビ”であり、女子からはちょっぴりかわいく“ゾンちゃん”とアレンジされ呼ばれていて、それがやたらと懐かしい。次に彼女と会ったら“ステーシー”と呼ぼうかとも思うが、その経緯を説明するのが面倒なので、やはりやめるとする。その前に、再び会う機会が訪れるかは謎。
(佐藤ろまん)
【関連サイト】
・『STACY』OFFICIAL SITE
http://www.movie.co.jp/zeitaku/
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