◆ＭＯＶＩＥ Ｗａｔｃｈ（毎週金曜日発行：無料）──────────1999-5-28 ☆ＨＥＡＤＬＩＮＥ☆──────────────────────────── ◆オススメロードショー 『ＲＯＮＩＮ』 デ・ニーロ＆ジャン・レノ、米仏２大俳優の骨太アクション 『イフ・オンリー』 ヴィクター役のダグラス・ヘンシャルに注目 ○ ＣＨＥＣＫ ５本！ 『ハイ・アート』『ヴァイラス』 ほか ◆新作先取り情報 『パラサイト』 ロバート・ロドリゲス監督最新作の寄生体サスペンス！ 『夢幻琉球・つるヘンリー』 高嶺剛監督による９年ぶりの長編作 ほか ◆シネマニュース 「第52回カンヌ国際映画祭」、パルムドールはベルギーの"Ｒｏｓｅｔｔａ" ほか ◆ピックアップシネマ 『カラー・オブ・ハート』 心が色づく瞬間の愛おしさ ◆興行成績ベストテン 『ペイバック』が２週連続で首位 ◆特集「ヌーヴェルヴァーグ」 （４）「フランソワ・トリュフォー」、「ジャン＝リュック・ゴダール」 ◆オススメＶＩＤＥＯ 『私の愛情の対象』 本当の愛のカタチは思わぬところに ○ ＣＨＥＣＫ ５本！ ○ Ｗｅｅｋｌｙレンタルビデオランキング ◆ＢＳ＆ＣＳ今週のオススメ ◆今週の美女 ヘレナ・ボナム・カーター ◆◆◆オススメロードショー◆◆◆ 今週末のオススメ封切り作品をセレクト！ ────────────────────────────────────── 『ＲＯＮＩＮ』 デ・ニーロ＆ジャン・レノ、米仏２大俳優の骨太アクション ────────────────────────────────────── 5月29日より丸の内ルーブルほか全国松竹東急洋画系にて公開 '98年／アメリカ／2 時間2分 ◇監督：ジョン・フランケンハイマー ◇脚本：J・D・ザイク、リチャー ド・ウェイズ ◇出演：ロバート・デ・ニーロ、ジャン・レノ、ナターシャ・マケル ホーン、ショーン・ビーン、スキップ・サダス、ステラン・スカルスゲールド ◇配 給：UIP 冷戦が終結し、世界のスパイ戦からドロップアウトしたサム（ロバート・デ・ニー ロ）をはじめとする元諜報員6人が、謎の人物からの依頼で、欧米各国からパリに集 められた。彼らの任務とは、厳重に装備され、中身さえ確認出来ないスーツケースを 無傷で強奪することだったのだが……。アクション映画の巨匠、ジョン・フランケン ハイマーが放つハード・サスペンス・アクション。なんといっても圧巻なのは、作品 中、最大の見せ場ともいえるカーチェイス。ロバート・デ・ニーロ、ジャン・レノは もちろんのこと、それぞれにひとクセある登場人物たちが物語をバッチリ締めている。 □OFFICIAL SITE http://www.ronin-movie.com/ ────────────────────────────────────── 『イフ・オンリー』 ヴィクター役のダグラス・ヘンシャルに注目 ────────────────────────────────────── 5月29日よりシネ・ラ・セットにて公開 '98年／イギリス＝スペイン／1時間32分 ◇監督：マリア・リボル ◇脚本：ラファ・ルソ 出演：リナ・ヒーディ、ダグラス ・ヘンシャル、ペネロペ・クロス、シャーロット・コールマン ◇配給：アルシネテ ラン ●シネ・ラ・セット／1：00／3：00／5：00／7：00（～終了8：50） 別れた恋人シルヴィア（リナ・ヒーディ）が忘れられない青年ヴィクター（ダグラ ス・ヘンシャル）は、後悔に苛まれる日々を送っていた。そんなある朝、彼が目を覚 ますと、なんと8カ月前の世界に戻っていた！ 彼は、シルヴィアとのやり直しを心 に誓うのだが……。「もしも、あの時」という感覚を体現するヴィクター役のダグラ ス・ヘンシャルは、その存在感で一見ありきたりの内容を正当化し、この映画を心地 良いラブ・ストーリーに仕上げている。もちろん、ヒロインのリナ・ヒーディの美貌 の助けも得ているが、ヘンシャルの嫌味のなさが、この映画の全体の印象を決定づけ ているといえるだろう。 ============================================================================ ○ ＣＨＥＣＫ ５本！ 今週末時点の劇場公開作、よりどり５本も要チェック ============================================================================ チェック度１＝★ チェック度２＝★★ チェック度３＝★★★（劇場へ急げ！） ■『ハイ・アート』 5月29日よりシネマライズ ★★ 写真雑誌の編集の仕事に就いたシドは、偶然、伝説的な写真家のルーシーと出会う。 作品発表のゴタゴタに巻き込まれて、業界から姿を消していたルーシーを復帰させよ うとするシドだったが……。アートの現場で繰り広げられるラブ・ストーリー。 □OFFICIAL SITE http://www.kinetique.co.jp/highart/highart.html ■『ヴァイラス』 5月29日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系 ★ 衛星探査船に、宇宙からやってきた未知の電磁波宇宙生命体が侵入。クルーたちは襲 われ、機械人間殺人クリーチャーにされてしまい……。謎の有害電磁波によって生み だされた知的生命体と人間の死闘を描く。SFスリラーならなんでもOK、という方向け。 □OFFICIAL SITE http://www.toho.co.jp/towa/virus/welcome-j.html ■『もういちど逢いたくて』 5月29日より有楽町スバル座ほか全国東宝系 ★ □OFFICIAL SITE 事故で失った婚約者への想いを胸に、2人で暮らすはずだった香港を訪ねた瞳。そん な彼女の前に、彼と瓜二つの麻薬捜査官、ガーボウが現れ……。香港のスター、レス リー・チャンと常盤貴子の共演による、せつないラブ・ストーリーだ。 □OFFICIAL SITE http://www.spe.co.jp/movie/moonlightexpress/ ■『トゥエンティフォー・セブン』 6月4日までシネ・ラ・セット ★★★ 夢も希望もなく、毎日をダラダラと過ごす若者たちを、ボクシング・ジムを開いて入 門させた中年男。彼らは、次第にボクシングに目覚めていくのだが……。中年男を演 じるボブ・ホスキンスの魅力と、若者の熱気が溢れる、全編モノクロの佳作。 □OFFICIAL SITE http://www.t3.rim.or.jp/~c-quanon/NEW_MOVIE/MARIUS/MARIUS.html ■『ラウンダーズ』 6月4日まで丸の内ピカデリー2他全国松竹東急洋画系 ★★★ ロシアン・マフィアにポーカー・ゲームで惨敗。全財産を失ったマイクは、ギャンブ ルの世界から足を洗おうと決意する。しかし、イカサマギャンブラーの悪友、ワーム がマイクの前に現れて……。ギャンブル版、『許されざる者』ともいうべき作品だ。 □OFFICIAL SITE http://www.shochiku.co.jp/shochikufuji/rounders/index.html ◆◆◆新作先取り情報◆◆◆ 公開を待ちわびる新作情報を、期待値つきでお届けします。 ---------------------------------------------------------------------------- ■『パラサイト』 夏／渋谷東急ほか全国松竹東急洋画系 （期待値85％） ---------------------------------------------------------------------------- 謎の寄生体が人類への侵略を始める。人々は気付かないうちに寄生されていく。異変 を察した7人の若者は、迫りくる敵に立ち向かうが……。このサスペンス・ホラーを 監督したのは、『デスペラード』のロバート・ロドリゲス。脚本は、『スクリーム』 のケビン・ウィリアムソン。出演に、ジョシュ・ハートネット、ジョーダナ・ブリュ ースター、イライジャ・ウッド、アッシャー・レイモンド、サルマ・ハエックほか。 □OFFICIAL SITE http://www.gaga.co.jp/movie/faculty1.html ---------------------------------------------------------------------------- ■『夢幻琉球・つるヘンリー』 8月下旬／アップリンク・ファクトリー （65％） ---------------------------------------------------------------------------- ある日、放浪の民謡歌手つるは、映画『ラブーの恋』のシナリオを拾う。その映画と は、とうとう撮影されることがなかった、沖縄を舞台にしたSF映画だった。つるは映 画化をもくろむのだが……。監督は、この作品が、世界各国の映画祭で好評を博した 『ウンタマギルー』から、実に9年ぶりの長編映画となる高嶺剛。出演は、大城美佐 子、宮城勝馬ほか。個人出資による、市民プロデューサーシステムで製作された作品。 ---------------------------------------------------------------------------- ■『テックス・エイヴリー 笑いのテロリスト』 7月中旬／ユーロスペース、BOX東中野 （70％） ---------------------------------------------------------------------------- かつてアメリカで、劇映画の前にニュースや予告編とともに上映され人気を博した、 7分間のアニメーション「セブン・ミニッツ・カートゥーン」。中でも、ナンセンス でシニカルなギャグで異彩を放っていた鬼才テックス・エイヴリー。今回は、MGMの 最初の作品『うそつき狼』、シュールな笑いの『月へ行った猫』『恐怖よさらば』、 テックスの傑作との声が多い『呪いの黒猫』『太りっこ競争』など、24本が公開され る。 ◆◆◆シネマニュース◆◆◆ ---------------------------------------------------------------------------- ★「第５２回カンヌ国際映画祭」、パルムドールはベルギーの"Ｒｏｓｅｔｔａ" ---------------------------------------------------------------------------- 5月23日（現地時間）に発表された、第52回カンヌ国際映画祭のパルムドール（大 賞）は、ベルギーのリュック＆ジャン＝ピエール・ダルデンヌ兄弟監督による "Rosetta"が獲得した。 同映画祭コンペティション部門に出品され、20日の公式上映では観客とマスコミの話 題をさらってパルムドール候補にも名を連ねていた北野武監督作品、『菊次郎の夏』 は惜しくも賞を逃した。なお、同映画祭監督週間に出品された諏訪敦彦監督作品 『M/OTHER』は、国際批評家連盟賞を受賞した。主な受賞結果は以下のとおり。 パルムドール "Rosetta"（Luc and Jean-Pierre Dardenne） グランプリ "L'Humanite" （Bruno Dumont） 審査員賞 "A Carta"（Manoel de Oliveira） 監督賞 Pedro Almodovar "Todo Sobre Mi Madre" 女優賞 Emilie Dequenne "Rosetta" Severine Caneele "L'Humanite" 男優賞 Emmanuel Schotte "L'Humanite" 脚本賞 Youri Arabov, Marina Koreneva "Moloch" カメラドール賞 Murali Nair "Marana Simhasanam" □OFFICIAL SITE http://www.festival-cannes.fr/ ---------------------------------------------------------------------------- ★『スター・ウォーズ エピソード１』、興行成績で新記録続出 ---------------------------------------------------------------------------- 5月19日（現地時間）、全米2,970館で公開された『スター・ウォーズ エピソード1／ ファントム・メナス』。チケットを入手しようとしたファンが、オンライン・チケッ ト販売を手がけるサイトに殺到、クレジットカードの利用者は記録的な数に達し、カ ード処理に伴う影響で、公開初日は母の日やバレンタインデーに匹敵する混雑ぶり。 一時は、サーバーの限界を超え大混乱をきたすサイトが続出するなど、インターネッ ト上でもさまざまな話題を提供している同作品、公開後最初の週末3日間の興行成績 は6,180万ドルと、『ロスト・ワールド／ジュラシック・パーク』（'97）が記録した 7,200万ドルにはおよばなかったが、『ロスト～』が保持していたオープニング興収 記録、『インデペンデンス・デイ』（'96）の水曜日初日興収記録をそれぞれ更新、 公開5日間（水曜初日作品）の累計でも新記録（1億270万ドル）を達成するなど、期 待どおりの結果をみせている。『タイタニック』（'97）が記録した全世界での興行 収入（18億ドル）にどこまで迫るか、最終的な全世界興収見込みは10億ドル程度とい われている同作品だけに、今後の行方が気になるところだ。 □OFFICIAL SITE http://www.starwars.com/ ---------------------------------------------------------------------------- ★「ぴあシネマ検定＠es」「シネマ通信＠es」、好評展開中！ ---------------------------------------------------------------------------- ソニー・ネットワークイベント「@es（アットマーク・エス）presented by VAIO」の 「ステージ・ゾーン」参加サイト「ぴあシネマ検定＠es」「シネマ通信＠es」では、 映画ファンが楽しめるコンテンツを提供している。映画知識レベルを判定するシネマ ・クイズサイト「ぴあシネマ検定＠es」では、洋画に関する20題が週替わり（毎週火 曜更新）で出題される。1問5点×20問＝100点満点の各設問（4択問題）に全問回答の 上、所定事項を記入してエントリーするとすぐに採点される仕組み。50点以上の得点 をマークした希望者は、ぴあシネマ検定内のランキング表に名前を登録することがで きるほか、70点以上をマークすると抽選で素敵なプレゼントが当たる。一方、「シネ マ通信＠es」では第52回カンヌ国際映画祭の特別レポートを掲載している。現地の雰 囲気をそのまま伝える写真や映画祭の裏側がわかるレアな情報が満載で、カンヌでし か絶対手に入らない超レア物カンヌ・グッズ・プレゼントも用意され、楽しみながら 今回の映画祭を振り返ることができるので要チェックだ。 □「@es（アットマーク・エス）presented by VAIO」 http://www.sony.co.jp/es3315/ ---------------------------------------------------------------------------- ★「アイマックス映画フェスティバル」、開催 ---------------------------------------------------------------------------- 東京アイマックス・シアター（東京都渋谷区）では、6月5日（土）から7月2日（金） まで「アイマックス映画フェスティバル」を開催する。同劇場における過去の上映作 品のうち、リクエスト希望の多かった作品を集めて再上映するもので、3D作品の『T- REX』『ブルーオアシス』『L5』、2D作品の『エベレスト』『スペシャル・エフェク ト』『アラスカ』の計6本の上映が予定されている（期間中は各種特別割引料金）。 詳細は下記サイトにて。 □「アイマックス映画フェスティバル」 http://www.sme.co.jp/Movie/IMAX/Festival/index.html ---------------------------------------------------------------------------- ★全米興行収入、『スター・ウォーズ エピソード１』が文句なしのダントツ首位！ ---------------------------------------------------------------------------- 先週末の全米興行収入は、ファン待望の『スター・ウォーズ』最新作、『スター・ウ ォーズ エピソード1／ファントム・メナス』が初登場でダントツの首位に立った。2 位は、前週首位の"The Mummy"（『ハムナプトラ／失われた砂漠の都』／今夏公開予 定）、3位は、ショーン・コネリー主演の"Entrapment"。 □『スター・ウォーズ エピソード1／ファントム・メナス』 OFFICIAL SITE http://www.starwars.com/episode-i/features/intro/japanese/ □"The Mummy" OFFICIAL SITE http://www.themummy.com/ □"Entrapment" OFFICIAL SITE http://www.foxmovies.com/entrapmentcs.html ◆◆◆ピックアップシネマ◆◆◆ 劇場公開中の作品レビューをお届けします。 ============================================================================ 『カラー・オブ・ハート』 心が色づく瞬間の愛おしさ ============================================================================ 日本が誇るホームドラマ「サザエさん」の長寿の秘訣に、「変わらない世界」に対 する安心感というものがあるように思う。日々のさまざまな出来事に追い回される私 たちは、日曜の夕暮れ、20年以上もの間変わらない世界 ― 現実の煩わしい事件や流 行が入り込まない世界 ― に、ひとときの安心を求めてチャンネルを合わせるのだ。 『カラー・オブ・ハート』の双子の兄妹が迷い込むテレビドラマの町「プレザント ヴィル」は、人々が「変わらない」生活の中で「気持ちを揺らさず」生きることに価 値を見い出す、モノクロの穏やかな世界だ。しかし、外側から見ている分には平和で 快適な世界も、ひとたび内側からのぞき始めると、かなりホラーな要素に満ちた世界 に一変してしまう。いつも笑顔を絶やさない両親や、ひとつ段取りが狂うと次に進め ず、ひたすらテーブルをふき続ける喫茶店の店主、などなど。 この「ホラーな人々」が、兄妹2人の乱入で、「変わること」や「気持ちが揺れる こと」を知る。世界は色づき、各々の顔には笑顔以外のさまざまな表情が表われ始め る。その変化に伴う輝きを見るとき、私たちは、人が生きることの価値というものを 改めて思わずにはいられなくなる。思春期の子供たちは少し大人に近づき、母親は女 に戻る。気持ちが揺れて変わっていく人々は、変わっていくからこそ愛おしく、美し いのだ。 私たちには、「変わらない」ことに安らぎを覚える時間と同様、「変わっていく」 ことの素晴らしさ、生きている喜びといったものを感じる時間も大切なのだと思う。 『ビッグ』（'88）や『デーヴ』（'93）の脚本を手がけ、本作で監督デビューを飾っ たゲーリー・ロス。彼ならではの優しさと愛情が、ひしひしと伝わってくる作品だ。 □OFFICIAL SITE http://www.gaga.co.jp/movie/pleasant1.html ◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆ ============================================================================ 『ペイバック』が２週連続で首位を獲得した週末。上位３作品は前週と 変わらず、初登場の『ブレイド』『カラー・オブ・ハート』が４位、５ 位にランクイン。同じく初登場の『レッド・バイオリン』は、銀座１館 で１３位につけ、まずまずの滑り出しを見せている。 ============================================================================ 1 →（ 1）ペイバック （ 2週） 2 →（ 2）恋におちたシェイクスピア （ 4週） 3 →（ 3）ライフ・イズ・ビューティフル （ 6週） 4 初（─）ブレイド （ 1週） 5 初（─）カラー・オブ・ハート （ 1週） 6 →（ 6）シン・レッド・ライン （ 7週） 7 ↓（ 4）8mm （ 4週） 8 →（ 8）39 刑法第三十九条 （ 4週） 9 ↓（ 7）スター・トレック 叛乱 （ 3週） 10 ↓（ 9）ラウンダーズ （ 3週） 興行通信社調べ1999/5/22～1999/5/23（銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計） ◆◆◆特集◆◆◆ ============================================================================ 「ヌーヴェルヴァーグ」 （４）「フランソワ・トリュフォー」、「ジャン＝リュック・ゴダール」 ============================================================================ 1957年、25歳の若き批評家フランソワ・トリュフォーは、仲間から金を集めて『あ こがれ』（短編映画）を製作した。幼い子供たちが大人の女性に憧れる心を描いたも ので、彼の映画の出発点となった作品だ。子供たちの描き方やさまざまな映像イメー ジは、後のトリュフォー作品にもつながるものである。ジャン＝リュック・ゴダール と同様、「カイエ・デュ・シネマ」で激しい論調の批評を展開し、「フランスの墓掘 り人」と呼ばれていた。あの、アルフレッド・ヒッチコック監督へのインタビューで 構成された彼の著作「ヒッチコック映画術」でも、その批評家としての姿勢がうかが える。 彼の映画には、一貫してデリケートなタッチのわかりやすさがあった。代表作は、 『大人は判ってくれない』（'59）と『突然炎のごとく』（'61）の2本であろう。中 でも、『大人は～』のラスト（主人公が海岸を走っていくシーン）などは、それ以後、 各国で製作された青春映画の多くに、その影響を見ることができる。 さて、最後に、ゴダールに登場願おう。「ヌーヴェルヴァーグ」＝「ゴダール」と いっても過言ではない作家だ。彼は今も現役で映画を撮り続け、しかもその作品は、 いまだ保守的になるどころか、歳を重ねるごとに、独自の世界を追及するものになっ ており、その勢いはとどまるところを知らないようだ。彼の代表作は、「ヌーヴェル ヴァーグ」の代名詞的作品でもある『勝手にしやがれ』（'59年）だろう。スタッフ には、原案のトリュフォー（企画シノプシス）や、監修のクロード・シャブロル（彼 は『いとこ同士』（'59）を手がけている）が名を連ねているが、当時の常識からい えば、この作品は「失敗作」に終わるはずだった。なぜなら、実に多くの映画的タブ ー ― シナリオ無視の即興演出や、編集、演技、そして、警官に撃たれて、ヒーロー らしからぬ最後（「最低だ」と言って死んでいく）を遂げる男を演じた、決して美男 とはいえないジャン＝ポール・ベルモンドにいたるまで ― を犯しまくっていたから だ。しかし、ゴダールは十分意図的だった。結果として、公開されるや否や、全世界 の若者に受け入れられ、今では映画史を語る上で、避けては通れぬ作品となったので ある。 □TSUTAYA Web ビデオ検索 http://ff.tsutaya.ccc.co.jp/ ◆◆◆オススメＶＩＤＥＯ◆◆◆ ジャン・レノ主演の『ビジター』、ビル・マーレイ主 演の『知らなすぎた男』、金城武……と続くファンも のをおさえてのオススメは、『私の愛情の対象』。 ---------------------------------------------------------------------------- 『私の愛情の対象』 本当の愛のカタチは思わぬところに ---------------------------------------------------------------------------- 【データ】 '98年／米／1時間52分（6/4発売：フォックス ホーム エンターテイメント） 監督:ニコラス・ハイトナー 出演:ジェニファー・アニストン,ポール・ラッド,アリ ソン・ジャニー,アモ・グリネロ,ナイジェル・ホーソーン,アラン・アルダ 市民センターで働くカウンセラーの女性、ニーナが、あるパーティーで知り合った ゲイの小学校教師、ジョージ。同棲中の恋人にふられて行く当てもない傷心のジョー ジを、ニーナはルームメイトに迎える。恋人ヴィンスとの間の子供を身ごもったニー ナは、ヴィンスとの結婚へ徐々に抵抗感が芽生えてくる。一方、同居するうち、互い に理解が深まっていくニーナとジョージ。やがて彼らの間に意外な展開が……。『ク ルーシブル』で愛の虚像と実像を激しく描き出したニコラス・ハイトナー監督による、 現代のさまざまな男女の愛情の行方を見つめた前向きな物語。 ---------------------------------------------------------------------------- ○ ＣＨＥＣＫ ５本！ ---------------------------------------------------------------------------- ■『ビジター』1時間58分／仏（6/4発売：アート・キャップ） 時間を超えての騒動『おかしなおかしな訪問者』の続編。宝石を盗んで「現代」に残 ってしまった従者を追って、伯爵が中世からタイムトリップで再び現代へ。 監督:ジャン・マリー・ポワレ 出演:ジャン・レノ,クリスチャン・クラヴィエ,ミュ リエル・ロバン,ジャン・ポール・ミュエル ■『知らなすぎた男』1時間34分／米（6/4発売：ワーナー・ホーム・ビデオ） スパイ活動による国際的謀略に巻き込まれた男。しかし彼は巻き込まれたことに気づ いていなかった……。 監督:ジョン・アミエル 出演:ビル・マーレイ,ピーター・ギャラガー,ジョアン・ ウォーリー,アルフレッド・モリーナ ■『ザ・プレイヤーズ』1時間43分／米（6/4発売：アクロス） ストリップ・クラブとダンサーをめぐり、DJ、殺し屋が復讐劇とともに絡み合う。 『アナコンダ』のアイス・キューブの初監督＆出演作品。 監督:アイス・キューブ 出演:アイス・キューブ,リサ・レイ,ジェイミー・フォック ス,バーニー・マック,A・J・ジョンソン ■『金城武のピックアップ・アーティスト』1時間25分／台湾（6/4発売：マクザム） 青年の前にようやく現れた理想の美女。しかし彼女と青年の関係は……。コミカルな 金城武がじっくり見られるラブ・コメディ。 監督:チュー・イェンピン 出演:金城武,アテナ・チュウ,スー・ヨンポン ■『オーメン1999』1時間25分／米（6/4発売：徳間ジャパンコミュニケーションズ） 悪魔の申し子と人類との世紀末の戦いを描く、『新オーメン』の続編。 監督:リック・ジェイコブソン 出演:ミシェル・グリーン,スコット・ヴァレンタイ ン,ロビン・カーティス ---------------------------------------------------------------------------- ○ Ｗｅｅｋｌｙレンタルビデオランキング 5月16日～5月22日 ---------------------------------------------------------------------------- ◆◆◆◆◆◆◆ カルチュア・コンビニエンス・クラブ TSUTAYA提供 ◆◆◆◆◆◆◆ レンタルビデオ全国総合ランキング（字幕＋吹替え版） ♪♪♪レンタル前に要チェック！♪♪♪ 【TSUTAYA調べ】 ============================================================================ 【 1】( 1)ロスト・イン・スペース ＣＩＣ・ビクタービデオ ---------------------------------------------------------------------------- 【 2】(―)沈黙の陰謀 ポニーキャニオン ---------------------------------------------------------------------------- 【 3】( 2)シティ・オブ・エンジェル ワーナー ホーム ビデオ ---------------------------------------------------------------------------- 【 4】( 3)マーキュリー・ライジング ＣＩＣ・ビクタービデオ ---------------------------------------------------------------------------- 【 5】( 4)ディープインパクト 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妻を守るために、誤って人を殺してしまったポー（ニコラス・ケイジ）は、正当防 衛が認められず、10年の刑に。それから8年後、模範囚で仮釈放になった彼は、家族 のもとへ帰るために囚人護送機に乗り込むが……。「飛んで火に入るニコラス・ケイ ジ」といいたくなるほどに、ジョン・マルコビッチをはじめとする凶悪犯たちの顔が 恐い。しかし、彼らに立ち向かうニコラスも、髭面にロン毛で対抗しているぞ。 ---------------------------------------------------------------------------- 5/30（日）『スワロウテイル』 ＷＯＷＯＷ（深2：25～） ---------------------------------------------------------------------------- ◇監督：岩井俊二 出演：三上博史、Chara、伊藤歩、江口洋介、渡部篤郎 母を亡くし、たらい回しにされた少女アゲハ（伊藤歩）は、歌手を夢見て円都（イ ェンタウン）に来た娼婦のグリコ（Chara）に拾われる。アゲハは、フェイホン（三 上博史）や謎の男ラン（渡部篤郎）たちが集まる、なんでも屋「青空」で働き始める が……。岩井監督が、架空の無国籍都市を舞台に成功と挫折を描いた。ミュージシャ ンのローリー寺西など、思わぬ人が出演しているので、そのあたりもチェック。 ---------------------------------------------------------------------------- 6/3（木）『フレンジー』 ＣＳＮ１ムービーチャンネル（前11：30～） ---------------------------------------------------------------------------- ◇監督：アルフレッド・ヒッチコック 出演：ジョン・フィンチ、バリー・フォスタ ー、アレク・マッコーエン 情事の後、ネクタイで女性を絞殺する連続殺人事件が発生する。そんなある日、結 婚相談所の女性経営者が殺された。容疑は、離婚した前夫リチャード（ジョン・フィ ンチ）に向けられる。彼は、無実の罪で警察に追われるハメになるが……。ヒッチコ ック監督作の中でも、ブラック・ユーモアが利いている作品だ。ネクタイ連続殺人事 件とは昔の2時間ものTVサスペンスのようだが、サスペンス感も極上の映画である。 ---------------------------------------------------------------------------- 6/4（金）『エイトメン・アウト』 パワームービー（18：45～） ---------------------------------------------------------------------------- ◇監督：ジョン・セイルズ 出演：チャーリー・シーン、ジョン・キューザック、 D・B・スウィーニー 伝説のスラッガー、"シューレス"ジョー・ジャクソンをはじめとする強者ぞろいの シカゴ・ホワイトソックスは、ワールド・シリーズまで快調に勝ち進んでいた。しか し、シリーズ第1戦で惨敗してしまい、にわかに八百長のウワサが広がって……。 ジョン・セイルズ監督が、全米を騒がせた有名な事件「ブラック・ソックス・スキャ ンダル」をベースに、男たちのベースボールへの限りない愛と友情を描いた秀作。 ◆◆◆今週の美女◆◆◆ ---------------------------------------------------------------------------- ◆ヘレナ・ボナム・カーター◆ Helena Bonham Carter [1966.5.26.生まれ] 小さな顔に映える印象深いくっきりした目。コミカルな表情をするほどにキュッと握 りしめ……もとい、抱きしめたくなるかわいらしさで今年33歳。'97アカデミー賞で は『鳩の翼』（監督／イアン・ソフトリー、出演／ライナス・ローチ）でノミネート。 ▽その他オススメな出演作品 『眺めのいい部屋』'86 監督:ジェームズ・アイボリー 出演:マギー・スミス 『フランチェスコ』'89 監督:リリアーナ・カバーニ 出演:ミッキー・ローク 『ハムレット』'90 監督:フランコ・ゼフィレッリ 出演:メル・ギブソン 『天使も許さぬ恋ゆえに』'91 監督:チャールズ・スターリッジ 出演:ジュディ・デイビス 『ハワーズ・エンド』'92 監督:ジェームズ・アイボリー 出演:アンソニー・ホプキンス 『フランケンシュタイン』'94 監督:ケネス・ブラナー 出演:ロバート・デ・ニーロ 『誘惑のアフロディーテ』'95 監督:ウディ・アレン 出演:ミラ・ソルヴィーノ 『十二夜』'96 監督:トレヴァー・ナン 出演:イモジェン・スタッブス 『ヴァージンフライト』'98 監督:ポール・グリーングラス 出演:ケネス・ブラナー ▼ＭＯＶＩＥ ＷａｔｃｈのＨＰ http://www.watch.impress.co.jp/movie/ ▼問い合わせ先 ────────────────────────────── movie-watch-info@impress.co.jp ：記事内容 ウォッチ編集部 ad-sales@impress.co.jp ：広告関連 インプレス A＆D sales@ips.co.jp ：配信先等 インプレス販売 ▼購読中止 ──────────────────────────────── 購読中止の場合は下記URLにアクセスし、記入欄に配信先のメールアドレスを入力し た後、購読中止ボタンを押してください。 http://www.ips.co.jp/pointup/enstopv.htm ▼媒体資料の請求先───────────────────────────── http://iad.impress.co.jp/ad-info/ ▼配信先変更 ─────────────────────────────── 下記URLより、ポイントアップシステムのメンバーIDとパスワードを入力し、案内に したがい変更をしてください。メンバーID等が不明なときは、sales@ips.co.jpまで ご連絡ください。 http://www.ips.co.jp/pointup/enchgv.htm ────────────────────────────────────── 発行人 塚本慶一郎／編集人 田村明史 発行 株式会社インプレス 〒102-0075 東京都千代田区三番町20 編集 村田敦史 協力 WERDE OFFICE Copyright(C) 1997-1999 Impress Corporation. 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