◆MOVIE Watch(毎週金曜日発行:無料) ──────────────1999-3-12


☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●オススメ封切り情報
 『バグズ・ライフ』 これは楽しい! フルCGで描かれる昆虫版『七人の侍』
 『バンディッツ』 刑務所でバンドを組んだ女囚たちが脱走して演奏行脚
 『SAFE』 花粉症の時期に見るには恐すぎる環境ホラー映画
 ○公開作 CHECK 5本!
 『微笑みをもう一度』『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』 ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『レッド・バイオリン』
  17世紀イタリアの名工の手による伝説の「レッド・バイオリン」をめぐる物語
 『アルナーチャラム 踊るスーパースター』
  疾風怒涛のエンターティメント・マサラ・ムービー、ラジニカーント最新作
  ほか

●映画4人衆
 『ガメラ3/邪神〈イリス〉覚醒』
  破壊を破壊のみで終わらせまいとする、特撮の水準の高さがみもの

●TOPICS
 スタンリー・キューブリック監督、死去 ほか

●興行成績ベストテン
 初登場の『ガメラ3/邪神〈イリス〉覚醒』が首位!

●オススメVIDEO
 『四月物語』 あこがれの、新しい大学生活の春を、切なくまぶしく
 ○CHECK 4本!

●Weeklyレンタルビデオランキング
 

●BS&CS今週の3本

●追悼 スタンリー・キューブリック監督
 "アイズ・ワイド・オープン" ─ 世界を睨み続けた映画監督

●今週誕生の美女
 吉永小百合、ヴァネッサ・L・ウィリアムズ


                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『バグズ・ライフ』    これは楽しい! フルCGで描かれる昆虫版『七人の侍』
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3月13日より全国松竹東急洋画系にて公開 '98年/アメリカ/1時間34分 ◇監督:
ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン ◇音楽:ランディ・ニューマン
◇声の出演:デイブ・フォーリー、ケビン・スペイシー ◇配給:ブエナビスタ

 毎年収穫期にアリの巣から食料を奪うバッタたちを撃退すべく、働きアリのフリッ
クが助っ人探しの旅に出る。ところが見つけてきたのは売れないサーカス芸人たち。
フリックは知恵と勇気でバッタたちに立ち向かう。『トイ・ストーリー』のスタッフ
が作った、昆虫たちの冒険物語。木の葉や木の実、草原や水など、自然の風景をきわ
めてリアルに描くCG技術にびっくり。最後のNG集(?)までたっぷり楽しめる。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.disney.co.jp/movies/
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『バンディッツ』      刑務所でバンドを組んだ女囚たちが脱走して演奏行脚
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3月13日より公開 '97年/ドイツ/1時間49分 ◇監督・脚本:カーチャ・フォン・
ガルニエ ◇脚本:ウヴェ・ウィルヘルム ◇出演:カーチャ・リーマン、ヤスミン
・タバタバイ、ニコレッテ・クレビッツ、ユッタ・ホフマン ◇配給:シティ出版
 ―SPACE PART3 12:15/14:30/16:45/19:00(~21:00)
 ―新宿ピカデリー3 11:10/13:10/15:10/17:10/19:10(~21:00)

 女子刑務所内でロックバンド「バンディッツ(悪党)」を結成した4人組が、警備
のすきをついてまんまと脱走。各地で演奏をしながら逃げるうち、CDやビデオが発売
されて、彼女たちは大人気バンドになってしまう。ノリのいい演奏シーンの合間に、
彼女たちの人生や過去が描かれ、女同士の固い友情が見る者の心をとらえて話さない。
久しぶりにカッチョいい音楽映画の登場。ハリウッドでリメイク話があるのも納得だ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.parco-city.co.jp/bandits/
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『SAFE』            花粉症の時期に見るには恐すぎる環境ホラー映画
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3月13日より公開 '95年/アメリカ/1時間59分 ◇監督・脚本:トッド・ヘインズ
◇製作:クリスティーヌ・ヴァション、ローレン・ザラズニック ◇出演:ジュリア
ン・ムーア、ザンダー・バークレー ◇配給:ユーロスペース
 ―ユーロスペース 11:40/14:00/16:20/18:40(~20:50)

 新築の家に引っ越したとたん、平凡な主婦キャロルの体調に異変が起きる。原因不
明の頭痛、めまい、吐き気、全身の疲労感、喘息の発作……。医者の診断は異常なし。
精神的なストレスが原因というわけでもない。じつはこれ、化学物質過敏症というア
レルギー反応だったのだ。原因不明の病におそわれ、医者が次々とさじを投げるくだ
りは、往年のオカルト映画『エクソシスト』そっくり。アレルギーは悪魔より恐い?
 □OFFICIAL SITE
  http://www.spe.sony.com/classics/archive/safe.html
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

■『微笑みをもう一度』 3月13日より全国東宝洋画系にて公開 ★★
高校時代の同級生と幸せな家庭を築いていたバーディは、テレビの公開番組で夫の不
倫を知らされ、子供を連れて実家に戻るのだが……。サンドラ・ブロックが子持ち主
婦を演じるヒューマン・ドラマ。俳優フォレスト・ウィティカーの監督最新作だ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.foxjapan.com/movie/hopefloats/index.html

■『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』
                   3月13日よりシネマライズにて公開 ★★
今世紀のイギリスが生み出した最大の画家フランシス・ベイコンと、彼の愛人であり、
モデルでもあったジョージ・ダイアーの愛憎に満ちた同性愛関係を綴ったドラマ。ベ
ーコンの絵をモチーフにしたトリッキーな映像表現が、この映画最大の見どころだ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.uplink.co.jp/FILM/LOVE/love00.html

■『ビジター』 3月13日よりシネマ・カリテにて公開 ★
中世から現代にタイムスリップした騎士と下僕が、奇想天外な騒動を巻き起こす『お
かしなおかしな訪問者』の続編。主演は前作と同じジャン・レノ。レノに対して『レ
オン』の渋い中年男しかイメージできない人は、この映画を見るとひっくり返るぞ!
 □OFFICIAL SITE
  http://visiteurs.gaumont.fr/entrez.htm

■『メリーに首ったけ』 3月19日まで全国東宝洋画系にて公開 ★★★
高校卒業から10年たっても忘れられない初恋の彼女。ああ、会いたい。……と思って
探偵を雇ったのが間違いのもと。なんと調査を依頼された探偵が、彼女に惚れてしま
ったのだ。今年の春、なんたって一番おかしなラブ・コメディ。ただしちょっと下品。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.foxjapan.com/movie/mary/

■『ウェディング・シンガー』 3月19日まで全国東宝洋画系にて公開 ★★★
男女の友情が恋に変わる定番の物語。誤解やすれ違いが連続するお決まりの展開。さ
さいな誤解がもとで恋が破局寸前に至るありきたりなクライマックス。こうしたミエ
ミエの展開がじつに心地よい! 感動のツボにはまった演出に、思わず泣き笑い!!
 □OFFICIAL SITE
  http://www.gaga.co.jp/movie/wedding1.html
                            [Written by 服部弘一郎]

            [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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            出走を待ちわびる新作情報を、
            期待値%つきでお届けします!
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■『レッド・バイオリン』
GW/シャンテ・シネほか 全国東宝洋画系(期待値80%)
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17世紀イタリア。バイオリンの名工は、身ごもった妻の死の悲しみから、彼女の魂を
吹き込んだ完璧な「レッド・バイオリン」を完成させる。そしてこの伝説のバイオリ
ンは、いくつもの大陸、時代でこれを奏でる者たちを魅了し、破滅させていく……。
第11回東京国際映画祭、最優秀芸術貢献賞受賞作。監督、フランソワ・ジラール。出
演、サミュエル・L・ジャクソン(『交渉人』)、グレタ・スカッキほか。
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■『アルナーチャラム 踊るスーパースター』
初夏/テアトル新宿、キネカ大森(75%)
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あの『ムトゥ 踊るマハラジャ』のインドの国民的スーパースター、ラジニカーント
最新作。モテモテのカッコイイ男ラジニカーントが都会へ行き、陰謀渦巻く大企業の
巨額の財産をめぐって大活躍する。歌も踊りもアクションも、笑いもドラマも全部満
載の疾風怒涛のエンターティメントムービー。監督・脚本、スンダルC。出演、ラジ
ニカーント、サウンダリヤー、ランバーほか。
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■『エロティカ』
5月中旬/アップリンク・ファクトリー(70%)
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エロティシズムとセクシャリティについて、それらを常に表現してきた女性アーティ
スト10人が赤裸々に告白していくドキュメンタリー。長年、謎の作家であった『O嬢
の物語』のポーリーヌ・レアージュが創作秘話を語り、作家アラン・ロブ・グリエの
妻ジャンヌ・ド・ベルグが自らの性癖(SM)を告白し、写真家ベッティナ・ランスが
自身の作品をポルノグラフィーだと言及する。監督、マヤ・ガルス。出演、ポーリー
ヌ・レアージュ、ベッティナ・ランスほか。


             [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『ガメラ3/邪神〈イリス〉覚醒』
 破壊を破壊のみで終わらせまいとする、特撮の水準の高さがみもの
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 1999年、世界では巨大怪鳥ギャオスが大量発生していた。鳥類学者の長峰真弓(中
山忍)は、4年前に人類を恐怖に包んだギャオスに遭遇して以来その生態研究に没頭
していた。一方、ある村には、ガメラを心から憎む少女がいた。かつて、東京を舞台
としたガメラとギャオスの激闘による被災で、両親を失った少女、比良坂綾奈(前田
愛)。彼女は、弟と共に親戚のいる村で暮らしていたが、ある日、伝説の神獣「柳星
張(りゅうせいちょう)」が眠るといわれる村の祠で、奇妙な卵状の物体を見つける。
やがてその物体から1つの生命体が覚醒するが、綾奈はそれを「イリス」と名付け、
両親の仇であるガメラへの怒りをイリスに託すようになる……。
                        (満点は★5つ/半は★半分)

■前作のほうがドキドキして好きだけど、こちらはまた地球の守護神としてのガメラ
像が深く、人間・自然・科学・公害……あ、実は怪獣映画の王道だ。★★★★☆<唯>

■少女よ、見た目で男を判断しちゃいけない。不格好なヤツほど信用するに足る。自
らの腕を火炎放射?でぶったぎるガメラにこそ、真の男を見る。  ★★☆☆☆<古>

■都市を包む炎の中のガメラ。この美しさには素直に感動。ただ、人間パートは、前
田愛ちゃんがひとりで背負っているような感じがしてしまった。  ★★★半☆<巴>

■なぎ倒され、吹き飛ばされる人間たちにも「命」を感じるような、俳優陣の個性が
垣間見える演出があれば……。意思や動機が行動から見えてこない。★★半☆☆<冴>

 □OFFICIAL SITE
  http://www.gamera.gr.jp/

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★スタンリー・キューブリック監督、死去
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『2001年宇宙の旅』などで知られる映画監督、スタンリー・キューブリック氏が3月
7日、ロンドン郊外の自宅で死去した。70歳だった。ニューヨーク生まれのキューブ
リック監督は、'56年の『現金に体を張れ』で注目され、ローマ時代の奴隷反逆を描
いた'60年の『スパルタカス』でアカデミー賞4部門を受賞するなど、一躍脚光を浴び
た。ハリウッド体制を逃れてのちに英国に移住。SF映画の古典『2001年宇宙の旅』
('68)や児童性愛を描いて物議を醸した『ロリータ』('62)、若者たちの虚無感や
暴力性をテーマとする『時計じかけのオレンジ』('71)など数々の話題作を発表し
た。'96年に製作を開始し、その徹底した完璧主義から、完成まで2年近くを要したト
ム・クルーズ、ニコール・キッドマン主演作『アイズ・ワイド・シャット』(今夏公
開予定)が遺作となった(本文後半に関連記事掲載)。

 □『アイズ・ワイド・シャット("Eyes Wide Shut")』OFFICIAL SITE
  http://www.eyeswideshut.com/
 □スタンリー・キューブリック監督フィルモグラフィー
  http://www.werde.com/movie/special/Kubrick1.html
 □伝説となった「孤高の旅人」、スタンリー・キューブリック
  http://www.werde.com/movie/special/Kubrick2.html
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★松竹が映像部門の改革を発表
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3月5日(金)、東京・築地の松竹株式会社は、同社の映画製作・配給に関する抜本的
な改革を行うことを発表した。概要は以下のとおり。

 □既存の「企画調整室」「映画製作部」「映画宣伝部」を統合し、新設される「映
  像企画部」を中心とした、作品ごとに企画からその二次利用までを管理するプロ
  ジェクトチームを編成する

 □製作・配給する作品の本数は固定化せず、作品を厳選した上で商品価値の高い作
  品を扱う

 □長年、日本映画界で行われてきた邦画のブロック・ブッキング・システム(興行
  主の選択に関わらず、製作会社からあらかじめ決められた作品が自動的に流され
  る形式)を廃止し、邦画・洋画を問わず、かつ興行期間等も柔軟に対応できる新
  しい劇場チェーンを(6月中旬から)展開する

 なお、新劇場チェーンの第1弾作品として、6月12日からケビン・コスナー最新作の
『メッセージ・イン・ア・ボトル』(ワーナー・ブラザース配給)の公開が予定され
ている。
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★全米興行収入、"Analyze This"が首位
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先週末の全米興行収入は、ロバート・デニーロ主演のコメディ作品"Analyze This"が
初登場で首位。2位は同じく初登場の"Cruel Intentions"、3位は先週1位の"8MM"。

 □"Analyze This" OFFICIAL SITE
  http://www.analyzethis.com/
 □"Cruel Intentions" OFFICIAL SITE
  http://www.cruelintentions.com/

           [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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  初登場の『ガメラ3/邪神〈イリス〉覚醒』が、『アルマゲドン』をかわ
  して首位に立った週末。親子連れで大賑わいの春休み作品が軒並みラン
  クインを果たした中で、『ガメラ3~』の観客の平均年齢が高かったのは
  印象的。
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  【配収】
 1 初(─)ガメラ3/邪神〈イリス〉覚醒         ( 1週)
 2 ↓( 1)アルマゲドン                (13週)
 3 初(─)'99春・東映アニメフェア           ( 1週)
 4 ↓( 2)ユー・ガット・メール            ( 4週)
 5 ↓( 3)スネーク・アイズ              ( 2週)
 6 初(─)ドラえもん のび太の宇宙漂流記 ほか    ( 1週)
 7 初(─)ベイブ 都会へ行く             ( 1週)
 8 初(─)ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ
        ウルトラマンガイア・超時空の大決戦   ( 1週)
 9 ↓( 4)リング2/死国                ( 7週)
 10 ↓( 5)メリーに首ったけ              ( 6週)

 興行通信社調べ1999/3/6~1999/3/7(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
    季節ももうすぐ卒業式と新しい春。この時期にもぴったりの『四月
    物語』。一方、謎だらけの立方体からの命がけの脱出劇『CUBE』。
    こういう時のために数学を勉強しておこう……と思うかも(?)。
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『四月物語』 あこがれの、新しい大学生活の春を、切なくまぶしく
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【データ】
'98年/日本/1時間20分(3/17発売:ノーマンズ・ノーズ)
監督:岩井俊二 出演:松たか子,田辺誠一,加藤和彦,藤井かほり

 東京の大学へ通うため田舎をあとにした卯月(松たか子)には、実は大学よりも大
事なもうひとつの目的があった。とはいいながら、何となくおくる大学の日々もやっ
ぱりそれなりに希望の匂いに満ちて、ひとりの食卓も小さな家具もそれなりに輝き、
そんなある日に「もうひとつの目的」の場所が見つかって……。自分だけの胸にあっ
たはずの、漠然とした希望に満ちたあの日のひとコマが、岩井俊二の映像センスでス
クリーンに蘇った感動。ビデオには、作中の映画館でかかっていたおかしな挿入映画
『生きていた信長』の「完全版」もおまけで収録。
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『CUBE』 これはゲームなのか罰なのか
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【データ】
'97年/カナダ/1時間31分(3/17発売:ポニーキャニオン)
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ 出演:モーリス・ディーン・ウィント,ニコール・デボ
アー,ニッキー・ガーダグニー,デヴィド・ヒューレット

 目を覚ますとそこは、上下も四方も同じデザインの立方体の部屋。六面にある扉を
開けてみると隣もすべて色違いの同じ部屋ばかり。うかつに移動したものは仕掛けら
れた罠で命を落としていく。何もかも謎のキューブ=立方体で、生き残った見ず知ら
ずの男女がそれぞれの知識を徐々に表に出しながら、絶望的な脱出を試みる。キュー
ブの謎を解いていくカギやキューブの構造そのものは、想像するだけでパズル好きは
ワクワク。ただしメインストーリーはあくまでもその理不尽な環境下での心理と不条
理なる問いかけだから、サスペンスフルな謎解きもあくまで調味料。とはいえ映画よ
り先に解いてみる挑戦ももしかしたら、これはこれで臨場感を盛り上げるかも。
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○CHECK 4本!
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■『ベント 堕ちた饗宴』1時間45分/英(3/17発売:ポニーキャニオン)
第二次大戦下のベルリン。ナチスからユダヤ人同様に迫害を受けた同性愛者たちの逃
亡と虐待を通して、生と死と尊厳のあり方を描いていく。
監督:ショーン・マサイアス 出演:ロテール・ブリュトー,クライヴ・オーウェン,ブ
ライアン・ウェバー,ミック・ジャガー

■『夢翔る人 色情男女』1時間39分/香港(3/17発売:ポニーキャニオン)
仕事がなく不本意ながらポルノ映画を撮ることになった若い監督の、スタッフや女優
とのトラブルを乗り越えての製作過程とハプニングをテンポよくユーモラスに描く。
監督:イー・トンシン,ロー・チーリョン 出演:レスリー・チャン,スー・チー,カレン
・モク

■『サムライ・フィクション』1時間51分/日本(3/17発売:SF製作委員会)
将軍からの頂きものである大事な刀をアウトローな侍が持ち逃げし、彼にやられた追
手のひとりが風変わりな浪人の指導のもと再対決を期する。ミュージシャンも多数出
演、MTV出身監督の劇場用長編第1作となる、新感覚のモノクロ時代劇。
監督:中野裕之 出演:布袋寅泰,風間杜夫,吹越満,緒川たまき,谷啓,夏木マリ

■『ミスター・マグー』1時間28分/米
(3/17発売:ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント)
『裸の銃<ガン>を持つ男』のレスリー・ニールセン主演のコメディ。おかしな大富
豪マグーと秘宝の宝石をめぐり、美女の泥棒からCIAまで巻き込みお約束の大騒動。
監督:スタンリー・トン 出演:レスリー・ニールセン,ケリー・リンチ
                           [Written by 唯よーじゅ]


       [◆◆◆Weeklyレンタルビデオランキング◆◆◆]  2月28日~3月6日
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      レンタルビデオ全国総合ランキング(字幕+吹替え版)
         ♪♪♪レンタル前に要チェック!♪♪♪   【TSUTAYA調べ】
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【 1】(-)ブラッド                     パイオニアLDC
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【 2】(-)ディープインパクト             CIC・ビクタービデオ
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【 3】(初)TAXi                     ポニーキャニオン
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【 4】(初)マスク・オブ・ゾロ    ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
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【 5】(3)仮面の男                   ワーナーホームビデオ
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【 6】(7)GODZILLA(ゴジラ)                  東宝
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【 7】(5)L.A.コンフィデンシャル              ポニーキャニオン
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【 8】(4)ポケットモンスター~ミュウツーの逆襲     メディアファクトリー
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【 9】(-)リーサル・ウェポン4             ワーナーホームビデオ
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【10】(6)らせん                      ポニーキャニオン
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*このランキングは全国の「TSUTAYA」943店舗のデータにより集計されてます。
()内は前回のランキング
            □TSUTAYAのホームページ:http://www.tsutaya.co.jp/

            [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
                              セレクター:歩知
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 3/13(土)『判決前夜/ビフォア・アンド・アフター』 WOWOW(深2:25~)
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ある少女が殺され、キャロラインとベンの夫婦は警察へ足を運ぶ。17歳の息子ジェイ
コブに殺人容疑がかけられているというのだ。息子は証拠不十分で保釈されるのだが
やがて両親に対して正当防衛の殺人を告白し……。父は事実を隠すことを、母は自首
を望む。愛情ゆえに揺れる家族の思いを描くサスペンス。
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 3/14(日)『恋におぼれて』 スター・チャンネル(20:00~)
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『ユー・ガット・メール』も好調なメグ・ライアン主演作。ふられた男と裏切られた
女が、共にかつてのパートナーへの復讐に挑む。盗聴、盗撮はもとより、白熱する嫌
がらせの数々は、なぜか見ていてスカッとする。キュートなメグ・ライアンのなせる
わざか? 笑いあり、涙ありのラブ・ストーリーを是非!
----------------------------------------------------------------------------
 3/18(木)『フィラデルフィア』 NHK衛星第2(20:00~)
----------------------------------------------------------------------------
エイズに感染した弁護士が事務所を解雇され、不当解雇として提訴することを決意。
しかし、彼が担当を依頼した相手は、同性愛者を嫌う黒人弁護士だった……。同性愛
者と黒人弁護士の差別と偏見に立ち向かう姿が、この映画を社会派ドラマとしてだけ
でなく、観る者の涙を誘うまでの感動作に仕上げている。デンゼル・ワシントンとト
ム・ハンクスの演技が光る。トム・ハンクスは、この作品でアカデミー主演男優賞を
受賞している。

        [◆◆◆追悼 スタンリー・キューブリック監督◆◆◆]
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"アイズ・ワイド・オープン" ─ 世界を睨み続けた映画監督
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 人間を嫌い、世界を嫌っていたかのようなキューブリック監督。軍隊の非人間性、
小児性愛、核、科学の進歩、暴走する若者の暴力性などなど、先鋭的なテーマをクー
ルな作風で味付けし、人間や世界のダークサイドを完膚なきまでに描いて、観る者の
共感を拒む独特のスタイル。「厭世観に取り憑かれた偏屈オヤジ(彼の写真はどれも
みな、実に小難しい顔をしている!)」の不信感こそ、その創作の原動力であったと
言っても過言ではあるまい。
 しかし、こと彼の映像テクニックとなると、そこかしこに稚気と瑞々しさがあふれ
ていて、「偏屈オヤジ」のイメージを見事に裏切ってくれるのである。『現金に体を
張れ』('56/米)での、各登場人物の主観時間で話を進める斬新な話法、『突撃』
('57/米)の塹壕内を延々と移動する臨場感溢れる映像、『バリー・リンドン』('
75/英)の、ロウソクの淡い炎による実験的撮影、『時計じかけのオレンジ』('71
/米)のレイプ・シーンに、陽気な「雨に唄えば」の音楽を被せる対位法、『シャイ
ニング』('80/米)のステディカムという特殊カメラによる浮遊感漂う撮影……。
そこから浮かび上がってくるのは、映画創りをとことん愛し楽しむ、子供のように純
粋なもう1人のキューブリック監督の姿であり、その鮮やかな映像テクニックが、あ
まりにもトゲトゲしい彼の作品テーマを中和する役割を演じた。
 彼の厭世観・不信感はおそらく、人間・世界の行く末を心の底から危惧していたと
いうことの裏返しでもあったのだろう。彼は、大嫌いな(=大好きな)人間の愚かし
さや、大嫌いな(=大好きな)世界のおぞましさを映画で描き続け、人類への警鐘を
鳴らすことこそ自分の使命であると感じていたのではないか。きっと、常にあのギョ
ロ目を大きく見開いて("アイズ・ワイド・シャット"ならぬ"アイズ・ワイド・オー
プン"だ)人間を洞察し、世界を睨み、監視していたにちがいない。そして、人間や
世界がキナ臭い方向に向かい出すと、すぐにそれを作品の題材にした。キューブリッ
ク作品は、そんな彼の批判精神から出来上がった結晶なのである。
 それにしても、キューブリックというあまりに大きな監視人を失った今、誰が人間
と世界を監視して行くのだろう。心配である。
                            [Written by 渡辺 慎也]

            [●☆●今週誕生の美女●☆●]
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◆吉永小百合◆ [1945.3.13.生まれ]
老いも若きも日本人で知らぬ人はいない、今も現役でその美しさをスクリーンに焼き
つけ続ける、信者数最大、説明不要の天使。その出演作品も100本を超え、ファンに
してみればすべての吉永小百合が吉永小百合である以上、ビデオで見られて'70年以
前、としてもなおオススメ作品の紹介漏れがあるのは必然としてご容赦を。

▽オススメな出演作品
『太陽は狂ってる』'61
 監督:舛田利雄 出演:浜田光夫
『キューポラのある街』'62
 監督:浦山桐郎 出演:浜田光夫
『泥だらけの純情』'63
 監督:中平康 出演:浜田光夫
『伊豆の踊子』'63
 監督:西河克己 出演:高橋英樹
『愛と死をみつめて』'64
 監督:斎藤武市 出演:浜田光夫
『私、違っているかしら』'66
 監督:松尾昭典 出演:浜田光夫
『愛と死の記録』'66
 監督:蔵原惟繕 出演:渡哲也
『君が青春のとき』'67
 監督:斎藤武市 出演:山本圭
『幕末』'70
 監督:伊藤大輔 出演:中村錦之助
『風の慕情』'70
 監督:中村登 出演:石坂浩二


◆ヴァネッサ・L・ウィリアムズ◆ Vanessa L. Williams [1963.3.18.生まれ]
『イレイザー』('96監督:チャールズ・ラッセル)でシュワルツェネッガーの相手役
をつとめた、可愛くなおかつセクシーボディの歌姫。『ダンス・ウィズ・ミー』('98
 監督:ランダ・ヘインズ)のダンスもぜひ見たい今年。

▽その他オススメな出演作品
『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』'91
 監督:サイモン・ウィンサー 出演:ミッキー・ローク
『奴らに深き眠りを』'97
 監督:ビル・デューク 出演:ローレンス・フィッシュバーン
『ソウル・フード』'97
 監督:ジョージ・ティルマンJr. 出演:ヴィヴィカ・A・フォックス
                          [Written by 唯よーじゅ]

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----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■公開中の『悦楽晩餐会~』と13日から公開の『バンディッツ』は、ともにドイツ映
画。全然毛色の違う作品だけど、どちらも興味深く、なおかつおもしろい。  <巴>

■"Eyes Wide Shut"の完成をきちんと見届けてこの世を去った、スタンリー・キュー
ブリック監督の人生そのものに感銘を受けて。種々思いを馳せた1週間。    <冴>

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