◆MOVIE Watch(毎週金曜日発行:無料)───────────────1999-2-19 ☆今週のHEADLINE☆───────────────────────────── ●オススメ封切り情報 『ウェディング・シンガー』 見れば必ず幸せな気分になれる正統派ラブコメ 『自由な女神たち』 「ポーランド式結婚」とは「できちゃった結婚」のこと? 『コメディ・フランセーズ/演じられた愛』 伝統劇団の舞台裏全部見せます! ○公開作 CHECK 5本! 『沈黙の陰謀』『おかしな二人2』 ほか ●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!) 『デッドマンズ・カーブ』 ルームメイトを殺して大学院行き!? 『八月のクリスマス』 余命幾ばくもないカメラマンと少女との、束の間の恋 ほか ●映画4人衆 『ユー・ガット・メール』 心が先に結びついてしまった2人の悪戦苦闘 ●TOPICS 『ビザと美徳』、シネ・ヴィヴァン・六本木ほかにて公開 ほか ●興行成績ベストテン 初登場の『ユー・ガット・メール』が首位! ●REVIEW 『鮫肌男と桃尻女』 ギャングは森がお好き ●オススメVIDEO 『十二夜』 嵐の夜が明けたとき、恋の嵐が始まって…… ○CHECK 9本! ●Weeklyレンタルビデオランキング ポケモンがランクイン!デカプリオも強し ●BS&CS今週の3本 ●COLUMN 【世界の終わりとハードとソフト・ワンダーランド(16)】 こんな映画見たことないぞッ! 『鮫肌男と桃尻女』が日本映画に風穴を開ける!! ●今週誕生の美女 リリ・テイラー、ドリュー・バリモア [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆] ────────────────────────────────────── 『ウェディング・シンガー』 見れば必ず幸せな気分になれる正統派ラブコメ ────────────────────────────────────── 2月20日より全国東宝洋画系にて公開 '98年/アメリカ/1時間37分 ◇監督:フラ ンク・コラチ ◇脚本:ティム・ハーリヒ ◇出演:ドリュー・バリモア、アダム・ サンドラー、クリスティーン・テイラー ◇配給:ギャガ・ヒューマックス 結婚披露宴でバンド演奏と歌を披露する歌手と、宴会場ウェイトレスの恋物語。10 代でアル中になるなど一時は私生活が荒廃し、演じる役も「頭とお尻が軽い」キャラ クターが多くなっていたドリュー・バリモアは、『世界中がアイ・ラヴ・ユー』あた りから、育ちのいいお嬢さん役を演じるようになってきた。近日公開の『エバー・ア フター』では、なんとシンデレラ姫の役! しばらくは彼女から目が離せそうにない。 □OFFICIAL SITE http://www.gaga.co.jp/movie/wedding1.html ────────────────────────────────────── 『自由な女神たち』 「ポーランド式結婚」とは「できちゃった結婚」のこと? ────────────────────────────────────── 2月20日より公開 '97年/アメリカ/1時間46分 ◇監督・脚本:テレサ・コネリー ◇音楽:ルイス・エンリケ・バカロフ ◇出演:レナ・オリン、ガブリエル・バーン、 クレア・デーンズ、アダム・トレッセ、ミリー・アヴィタル ◇配給:東北新社 ―シネ・ラ・セット 12:15/14:30/16:45/19:00(~21:00) アメリカは世界各地から集まった移民たちが、それぞれ独自の文化を保ちながら作 った寄り合い所帯。アメリカ人としてのアイデンティティを持ちながらも、生まれ育 った文化的資質は頑固に守り続ける……。ポーランド系一家の結婚騒動を描いたこの 映画からも、そんなアメリカの多様性が伝わってくる。ポーランド系は民族ジョーク のネタになりやすい人たちだが、この映画を見るとその原因の一端がわかるかも。 □OFFICIAL SITE http://www.tfc.co.jp/hiroba/movie_theater/flash/polish/index.html ────────────────────────────────────── 『コメディ・フランセーズ/演じられた愛』 伝統劇団の舞台裏全部見せます! ────────────────────────────────────── 2月20日より公開 '96年/フランス/3時間43分 ◇製作・監督:フレデリック・ワ イズマン ◇出演:フィリップ・トレトン、クレール・ヴェルネ、コラリー・ザオネ ロ、ティエリー・アンシス、フロランス・ヴィアラ ◇配給:セテラ ―ユーロスペース 11:00/15:00/19:00(~22:55) フランスの国立劇団コメディ・フランセーズは、1680年に当時の国王ルイ14世によ って設立された。映画ファンにも『女優マルキーズ』や『ボーマルシェ/フィガロの 誕生』でお馴染みの劇団だ。間もなく設立320年を迎えるこの世界最古の劇団の姿を、 360度あますところなく記録したのがこの映画だ。4時間近い上映時間は確かに長い。 しかしその中には、「芸術の国フランス」のエッセンスがぎっしり詰まっている。 □OFFICIAL SITE http://www.city.yamagata.yamagata.jp/yidff/ff/pub/ja/97/inter16.html ============================================================================ ○公開作 CHECK 5本! ============================================================================ ★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見 ■『沈黙の陰謀』 2月20日より全国洋画系にて公開 ★★ スティーブン・セガール扮する町医者が、細菌テロの恐怖に立ち向かうサスペンス・ アクション。看護婦役で出演している東洋系の若い女優はアヤコ・セガール。何を隠 そう、これはセガールと藤谷文子の親子初共演作なのだ。物語はいつも同じだけどね。 □OFFICIAL SITE http://www.inter-g7.or.jp/g2/cinema/herald/lineup/patriot/home.html ■『おかしな二人2』 2月20日より有楽町スバル座にて公開 ★ 30年前に作られた傑作コメディ『おかしな二人』の続編。脚本のニール・サイモン、 主演のウォルター・マッソーとジャック・レモンが再び集まり、世界で最も神経質な 男と、世界で最もグウタラな男の珍道中をユーモラスに描いている。う~ん、名人芸。 □OFFICIAL SITE http://www.oddcouple.com/ ■『ダウンタイム』 2月20日よりシネ・アミューズにて公開 ★ スラム化したアパートで、墜落寸前のエレベーターに閉じ込められた人間たち。『ス ピード』の冒頭にあったエレベーターのパニック・シーンが、延々1時間半続くイギ リス映画。イギリス低所得者層の暮らしぶりが、リアルに描き出されている。 ■『いとこ同志』 2月20日よりキネカ大森にて公開 ★★ 近年再評価の気運が高まっているヌーヴェル・ヴァーグの代表的作家、クロード・シ ャブロルの長編第2作。試験勉強のためパリの従兄弟宅を訪れた青年が、挫折に挫折 を重ねて自滅して行く様子を残酷に描き出す。これはフランス版『狂った果実』だ。 ■『新・唐獅子株式会社』 2月20日より中野武蔵野ホールにて公開 ★ かつて映画化されたことのある小林信彦の原作を、スタッフ・キャストを一新して再 映画化。刑務所から出所したばかりの武闘派やくざが、ケーブルテレビの社長になっ て大奮闘。監督の前田陽一は、一部に熱狂的ファンを持つ才人。これが遺作となった。 [Written by 服部弘一郎] [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆] ============================================================================ 出走を待ちわびる新作情報を、 期待値%つきでお届けします! ============================================================================ ────────────────────────────────────── ■『デッドマンズ・カーブ』 4月/シネ・アミューズ(期待値70%) ────────────────────────────────────── 「デッドマンズ・カーブ」─それは「もしも学生が自殺したら、同室のルームメイト 全員が自動的にオールAをもらえる」というシステム。これを悪用して、大学院に行 こうと企んだ学生たちがいた。ところが自殺に見せかけて殺したはずの学生の死体が 紛失して……。出演はマシュー・リラード(『スクリーム』)、マイケル・ヴァルタ ン(『3人のエンジェル』)、ランダル・ベイティンコフ(『恋愛小説家』)ほか。 監督は、今回が第1作となるダン・ローゼン。 □OFFICIAL SITE http://www.deadmanscurve.com/ ────────────────────────────────────── ■『八月のクリスマス』 初夏/シネマスクエアとうきゅう(70%) ────────────────────────────────────── 韓国で人気の若手女優シム・ウナと、演技派人気俳優ハン・ソッキュで描くラブ・ス トーリー。余命幾ばくもないカメラマンと少女との、優しくてせつない束の間の恋。 カンヌ映画祭をはじめ、モントリオール、トロントなど世界中の映画祭に正式出品さ れ話題を呼んだ。ホ・ジノ監督作品。なお、2月19日(金)から2月23日(火)まで、 北海道夕張市で開催される「ゆうばり国際冒険・ファンタスティック映画祭'99」で の上映が予定されている。 ────────────────────────────────────── ■『ドンを撃った男』 4月10日/シネマ・カリテ(レイトショー)(65%) ────────────────────────────────────── たった1発の銃弾が、3万人の極道を敵に回した! "義"を信じ、己の"信念"のために 巨大組織のドンに銃弾を放った男の物語。山田勝啓の同名小説を和泉聖治監督(『修 羅がゆく』)が映画化。元山口組顧問弁護士の山之内幸夫(『悲しきヒットマン』の 原作者)が監修。出演は、的場浩司(『獅子王たちの夏』)、千堂あきほ、中野英雄 ほか。 [◆◆◆映画4人衆◆◆◆] ============================================================================ 『ユー・ガット・メール』 心が先に結びついてしまった2人の悪戦苦闘 ============================================================================ 亡き母が残した、小さな絵本の店を経営するキャスリーン(メグ・ライアン)と、 全米に店舗を持つ大書店チェーン「フォックス・ブックス」の御曹司、ジョー(トム ・ハンクス)。ふたりはインターネットのチャットルームで知り合い、毎日Eメール を交わす仲だが、互いに知っているのは"Shopgirl"と"NY152"という相手のスクリー ンネームだけ。やがて、ほんの数ブロック先に「フォックス・ブックス」の新店舗が 開店し、キャスリーンの店は経営の危機に瀕してしまう。その悩みをメールで打ち明 ける"Shopgirl"(=キャスリーン)に、「死ぬまで戦い抜け!」とアドバイスする "NY152"(=ジョー)。しかし、ジョーはひょんなことから、最大のライバルとして 自分に敵意をあらわにするキャスリーンこそ、"Shopgirl"その人であることに気付い てしまい……。 (満点は★5つ/半は★半分) ■愛の終わりはあっさり、恋の始まりはこんなにも難産。それが未来の愛の深さを予 感させるあたり、センスかな。トムの純情さと歳はそろそろ違和感。★★★半☆<唯> ■結局、犬なんだよね。「僕のコートは古着だから、そんなに引っぱったら糸がほつ れちゃうよ」と想像してしまう気持ち良さがこの映画にはあるね。 ★★★☆☆<古> ■運命の男女の出会いにこだわる監督の演出は、奇をてらうことなく、主演の2人と 共にNYを隣り町のように感じさせ、ほんのりと暖かな風を送る。 ★★★半☆<巴> ■実際こんな2人に起こるであろうニアミスの数々を、雰囲気で流すことなくいつも どおりキッチリ描く監督。水面下の計算しつくされた演出がニクイ。★★★半☆<冴> □OFFICIAL SITE http://www.warnerbros.co.jp/movie/youmail/index.htm [◆◆◆TOPICS◆◆◆] ---------------------------------------------------------------------------- ★『ビザと美徳』、シネ・ヴィヴァン・六本木ほかにて公開 ---------------------------------------------------------------------------- 第二次世界大戦下、ナチスから逃れるため日本へのビザを求めて押し寄せた多くのユ ダヤ難民に、日本政府の中止要請を振り切ってビザを発行し続けた、在リトアニア領 事・杉原千畝(ちうね)とその妻・幸子。6000人余の命を救い、「日本のオスカー・ シンドラー」と呼ばれる彼らの姿を描いた『ビザと美徳』("VISAS AND VIRTUE")が、 3月20日(土)からシネ・ヴィヴァン・六本木で公開される。同作品は、第70回アカ デミー賞で短編映画賞を受賞、国内では昨年7月に行われた第12回福岡アジア映画祭 での上映を皮切りに、愛知、大阪を経て、現在は名古屋シネマスコーレにて2月26日 (金)まで上映中。その他の上映予定は以下のとおり。 2月20日(土)~3月12日(金) 広島・松竹東洋座(082-246-0500) 3月13日(土)~3月26日(金) 岡山・シネマクレール(086-232-2281) 3月20日(土)~4月16日(金) 東京・シネ・ヴィヴァン・六本木(03-3403-6061) 3月20日(土)~4月 2日(金) 福岡・KBCシネマ(092-751-4268) 4月 京都・朝日シネマ(06-075-255-6760) 5月 1日(土)~5月14日(金) 神戸・アサヒシネマ(078-251-9877) 5月 札幌・シアターキノ(011-231-9355) また、3月には原作「千畝」(清水書院)の著者、ヒレル・レビン教授が来日、順次 全国での講演会が予定されている。なお、福岡アジア映画祭実行委員会では、引き続 き『ビザと美徳』の上映希望団体を受け付けている。詳しくは、福岡アジア映画祭 (092-733-0949/faff@gol.com)まで。 □福岡アジア映画祭 『ビザと美徳』 http://www.shukosha.com/faff/reviews/index.html ---------------------------------------------------------------------------- ★『ナイル』、製作発表記者会見 ---------------------------------------------------------------------------- 2月12日(金)、東京プリンスホテル・サンフラワーホールで、『ナイル』(和泉聖 治監督)の製作発表記者会見が行われた。『ナイル』は、エジプト考古学者、吉村作 治早稲田大学教授の原作で、エジプトを舞台に、暗躍する国際シンジケートを追う日 本人ジャーナリストの活躍を描いたサスペンス作品。今年で芸能生活30周年を迎えた 渡瀬恒彦を主演に迎え、日本映画初出演のエジプト人女優、ラニア・サイエド・ユー セフがヒロインを演じる(吉村教授自身も考古学者役で出演)。エジプト政府の前面 的な協力により、全編エジプトロケが予定されている同作品は、今月下旬にクランク イン、11月13日より全国東映洋画系にてロードショー。 ---------------------------------------------------------------------------- ★全米興行収入、"Message in a Bottle"が首位 ---------------------------------------------------------------------------- 先週末の全米興行収入は、ケビン・コスナー、ロビン・ライト主演によるロマンス作 品"Message in a Bottle"が初登場で首位を獲得、前回首位の"Payback"は2位、クリ ストファー・ロイド主演のコメディー、"My Favorite Martian"が初登場で3位に入っ た。 □"Message in a Bottle" OFFICIAL SITE http://www.message-bottle.com/ □"My Favorite Martian" OFFICIAL SITE http://disney.go.com/DisneyPictures/martian/index.html [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆] ============================================================================ 初登場の『ユー・ガット・メール』が、公開以来、向かうところ敵なしの 勢いを続けていた『アルマゲドン』から首位を奪った! こちらも初登場 の『ランナウェイ』は9位。『ラッシュアワー』も上位にとどまり、クリ ス・タッカー出演作は安定した人気を維持しているもよう。 ============================================================================ 【配収】 1 初(─)ユー・ガット・メール ( 1週) 2 ↓( 1)アルマゲドン (10週) 3 ↓( 2)ラッシュアワー ( 4週) 4 ↑( 5)リング2/死国 ( 4週) 5 ↓( 4)踊る大捜査線/THE MOVIE (16週) 6 ↓( 3)メリーに首ったけ ( 3週) 7 →( 7)レ・ミゼラブル ( 2週) 8 →( 8)ジョー・ブラックをよろしく ( 9週) 9 初(─)ランナウェイ ( 1週) 10 ↓( 6)ワイルド・シングス ( 2週) 興行通信社調べ1999/2/13~1999/2/14(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計) [◆◆◆REVIEW◆◆◆] ============================================================================ 『鮫肌男と桃尻女』 ギャングは森がお好き ============================================================================ 冬枯れの木々と枯葉から成るさびしい森。そこに、シックな装いのギャングが現わ れる。森の奥に秘密の処刑場があるのだ─これは、スタイリッシュなギャング映画の 秀作、『ミラーズ・クロッシング』('90年/ジョエル・コーエン監督)の印象的な 場面。シカゴやニューヨークではなく「森」にギャングを配し、その意表をついた取 り合わせが不思議で、粋で、実に見事な調和を見せていた。 ところが、アメリカのギャングだけが森好きなのかと思っていたら、どうもそうで はないらしい。つい先頃公開となった『鮫肌男と桃尻女』('98年/石井克人監督) で、日本のギャング(ヤクザ)たちが、アメリカに負けじと森に現れたのである。 組織の金を持ち逃げした鮫肌(浅野忠信)を捕まえようと、森の中で繰り広げられ るギャングたちの追跡劇。ただし、『ミラーズ・クロッシング』のエレガントなギャ ングたちとは違い、こちらはさまざまな色合いのポップな格好で、登場するキャラク ターも非常に濃く、はじけた連中なのである。感じるのは、森の中で鬼ごっこをして 楽しんでいるような遊戯性。作品全体が独特のユーモアに包まれていて、いわば陽性 『ミラーズ・クロッシング』といったところか。 作風は対照的だが、『ミラーズ~』に負けず劣らず、とても不思議な魅力を醸し出 している。そして、その魅力の源は言うまでもなく「森」。森とギャング─シュール で非現実的なのに、何だか妙にマッチしていて、なぜか懐かしささえ感じさせるから おもしろい。一体全体、森のどんな魔力がギャングたちを惹きつけるのだろうか? [Written by 渡辺慎也] -------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------ 美男美女の集ったラブコメディの名品、シェイ クスピア原作の人気作『十二夜』。ハラハラも 笑いもありの三角関係の行方はいかに……? ---------------------------------------------------------------------------- 『十二夜』 嵐の夜が明けたとき、恋の嵐が始まって…… ---------------------------------------------------------------------------- 【データ】 '96年/英/2時間14分(2/26発売:東北新社) 監督:トレヴァー・ナン 出演:ヘレナ・ボナム・カーター,ベン・キングズレイ,イモ ジェン・スタッブス,ナイジェル・ホーソーン,リチャード・E・グラント 大切な兄を奪い去られて遭難の末、男装して公爵に仕えることになった女性。別の つれない美女を追いかける公爵を、恋愛指南のかたわらで密かに想いつつ……。シェ イクスピアの原作を、笑いもテンポも軽快に描いたおかしな三角関係のラブコメディ。 絵面、衣装、セリフと、さまざまな角度から魅せて、どれもシャレた雰囲気。ストー リーが進むにつれ、楽しめて、あまりにも美しく危険な香りさえ漂う、華麗なる男装 からも目が離せない。 ---------------------------------------------------------------------------- ○CHECK 9本! ---------------------------------------------------------------------------- ■『河』1時間55分/台湾(2/22発売:ユーロスペース/日本スカイウェイ) 映画の撮影で河の汚水を飲んでしまった翌日から、首が曲がったまま動かない奇病に 冒される主人公。息子の治療のために付き添う父。ぎこちなくも、親子の会話を取り 戻そうとする父はゲイサウナの常連。息子を心配しつつも愛人と鬱憤を晴らす母。寡 黙で張りつめた映像センスが親子の間の見えない糸を描く。 監督:ツァイ・ミンリャン 出演:リー・カンション,ミャオ・ティエン,ルー・シアオ リン,チェン・チャオロン ■『アイス・ストーム』1時間53分/米(2/26発売:アミューズビデオ) アメリカの田舎で平穏に暮らしていたはずの家族。歯車の小さな歪みから壊れていく 絆の悲痛な叫びを、『いつか晴れた日に』のアン・リー監督が描く。 監督:アン・リー 出演:ケヴィン・クライン,シガーニー・ウィーバー,クリスティー ナ・リッチ,ジョアン・アレン ■『恋するシャンソン』2時間2分/英=仏=スイス(2/26発売:アスミック) パリの男女の間に交差する縁と恋と愛情とを、強引に繰り出すシャンソンナンバーに のせて、あるいはこじつけて描き出す。 監督:アラン・レネ 出演:アニエス・ジャウィ,ジャン・ピエール・バクリ,サビーヌ ・アゼマ,ランベール・ウィルソン,アンドレ・デュソリエ ■『アンナ』1時間26分/仏(2/20発売:日本コロムビア) 広告用の写真にたまたま写っていた女性、彼女が気になり探しだそうとする男。ゲン ズブールのナンバーとともに展開する騒動とロマンスと。物憂げな表情も美しいアン ナが輝く、'66年制作の幻のTV映画。 監督:ピエール・コラルニック 出演:アンナ・カリーナ,セルジュ・ゲンズブール,ジャ ン・クロード・ブリアリ,マリアンヌ・フェイスフル ■『グローリー・デイズ 旅立ちの日』1時間44分/米(2/20発売:彩プロ) 大学卒業間近の友人たちが、離れたくない気持ちや不安に苦悩しつつ卒業の日へと近 づいていく。 監督:リッチ・ウィルクス 出演:ベン・アフレック,マット・デイモン,アリッサ・ミ ラノ,マシュー・マコノヒー ■『フラッド』1時間37分/米(2/21発売:丸紅/東宝東和) 大雨で決壊しそうなダムの下流の街。住民が避難する中、水にはまった現金輸送車が 襲われる。水位の上がり続ける街で、身の安全のために金を隠した警備員を犯人グル ープが追走する。 監督:ミカエル・サロモン 出演:モーガン・フリーマン,クリスチャン・スレイター, ランディ・クエイド,ミニー・ドライバー,エドワード・アスナー ■『アンラッキー・モンキー』1時間46分/日本(2/21発売:松竹ホームビデオ) 『弾丸ランナー』『ポストマン・ブルース』に続く、サブ監督の第3作。銀行強盗を 計画したのが間違いの始まりか、いつの間にか殺人犯として追われるハメになる男の 不運なる1日。 監督:サブ 出演:堤真一,清水宏,山本亨,吉野公佳,田口トモロヲ,鈴木一功 ■『岸和田少年愚連隊 望郷』1時間34分/日本(2/21発売:松竹ホームビデオ) 三たび、岸和田を舞台に繰り広げられるケンカの日々。小学6年生のリイチと友と家 族の物語。 監督:三池崇史 出演:竹中直人,高岡早紀,長田融季,笑福亭松之助,烏丸せつこ ■『エグゼクティブコマンド ステルスVSステルス』 1時間33分/米(2/26発売:クロックワークス) テロリストに奪われた新型ステルス機を追って繰り広げられる空中戦。 監督:リック・ジェイコブソン 出演:マイケル・ダディコフ,リチャード・ノートン, ゲイリー・ハドソン,フレデリック・フォレスト [Written by 唯よーじゅ] [◆◆◆Weeklyレンタルビデオランキング◆◆◆] 2月7日~2月13日 ============================================================================ ◆◆◆◆◆◆◆ カルチュア・コンビニエンス・クラブ TSUTAYA提供 ◆◆◆◆◆◆◆ レンタルビデオ全国総合ランキング(字幕+吹替え版) ♪♪♪レンタル前に要チェック!♪♪♪ 【TSUTAYA調べ】 ============================================================================ 【 1】(-)ディープインパクト CIC・ビクタービデオ ---------------------------------------------------------------------------- 【 2】(3)仮面の男 ワーナーホームビデオ ---------------------------------------------------------------------------- 【 3】(2)L.A.コンフィデンシャル ポニーキャニオン ---------------------------------------------------------------------------- 【 4】(-)GODZILLA(ゴジラ) 東宝 ---------------------------------------------------------------------------- 【 5】(-)リーサル・ウェポン4 ワーナーホームビデオ ---------------------------------------------------------------------------- 【 6】(初)ポケットモンスター~ミュウツーの逆襲 メディアファクトリー ---------------------------------------------------------------------------- 【 7】(9)タイタニック フォックスホームエンターテイメント ---------------------------------------------------------------------------- 【 8】(7)らせん ポニーキャニオン ---------------------------------------------------------------------------- 【 9】(8)ジャッカル 東宝 ---------------------------------------------------------------------------- 【10】(再)レインメーカー ブエナビスタホームエンターテイメント ---------------------------------------------------------------------------- *このランキングは全国の「TSUTAYA」943店舗のデータにより集計されてます。 ()内は前回のランキング □TSUTAYAのホームページ:http://www.tsutaya.co.jp/ [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆] セレクター:古山 慶 ---------------------------------------------------------------------------- 2/20(土)『ハスラー』 NHK衛星第2(21:30~) ---------------------------------------------------------------------------- ビリヤードの賞金稼ぎを描いたギャンブルもの。勝負の世界で生きる男たちの人生を、 全編の3分の2を占めるゲームシーンでの、ビリヤードの球の動きで見せる傑作。主人 公の若きハスラー(ポール・ニューマン)は、ミネソタの名人に挑戦して破れ、一文 なしになってしまう。荒れた生活に身を投じる主人公は、再び名人に挑戦するのだが ……。ロバート・ロッセン監督作品。 ---------------------------------------------------------------------------- 2/23(火)『キートンの大列車追跡』 NHK衛星第2(深2:10~) ---------------------------------------------------------------------------- 不死身の男、バスター・キートンのスラップスティックコメディー。機関車を恋人と 同じくらいに愛している機関士。南北戦争勃発後、北軍のスパイに恋人が乗っている 機関車を奪われ、主人公は愛する恋人と機関車を取り戻すべく、驚異の奮闘を繰り広 げる。アクションとロマン。つまり、映画の魅力満載なのだ。 ---------------------------------------------------------------------------- 2/26(金)『ナショナル・ランプーン/ホリデー・ロード4000キロ』 スター・チャンネル(16:00~) ---------------------------------------------------------------------------- アメリカの中産階級の家族4人が、シカゴからロサンゼルスのレジャーランドへ行く までの珍道中と、目的地に着いてから巻き起こす事件を描いた爆笑コメディー。まさ に絵に描いたような父親像を演じようとする、チェビー・チェイスの代表作と言いた い。ちなみにこれ、このあとシリーズ化してます。 [◆◆◆COLUMN◆◆◆] ============================================================================ 【世界の終わりとハードとソフト・ワンダーランド(16)】 こんな映画見たことないぞッ! 『鮫肌男と桃尻女』が日本映画に風穴を開ける!! ============================================================================ 間違いなく日本が世界でトップだと言い切れる映像媒体は、ゲームとアニメーショ ン、そして、コマーシャルだ。本誌先週の興行成績ベストテンで、単館上映ながら10 位に食い込んだ『鮫肌男と桃尻女』の石井克人監督は、「マツダ・デミオ」等のCMで ACC賞他、数多くの賞を受賞しているCMディレクターである。石井監督は、'94年に 『8月の約束』を自主制作しているが、劇場用長編としては本作がデビュー作となる。 殺し屋、山田を演じる、若人あきらの怪演が話題となっているが、特筆すべきは、デ ビュー作とは思えないその完成度である。アレだけ無茶やってるのに、ちっともバラ ンスが悪くない。テンポもいいし、語り口も見事。15秒、30秒の世界で勝負している CMディレクターならではの、集中力とこだわりを全カットに見せつけている。「映画 というのは、妥協の産物だ」と、どこぞのオッサン監督が言っていたが、それはオッ サンに体力がないから。石井監督は若い。集中力を全編に行使する持久力をも持ち合 わせている。 何がすごいって、1時間47分の長編映画に、石井監督はCMと同じ方法でアプローチ しているのだ。1コマ1コマ全カットの絵コンテを描き上げ、なんとそれをヴィデオ撮 影し、アニメーションを作っている。現場に入る前にカメラワークを完全に把握し、 監督が撮りたい絵を、カメラマンと共有できているというのは非常に重要な事だ。現 場でカメラマンと作り上げる方法もあるが、この場合、監督が映画の全体像をカメラ マンにうまく説明できないと、カッティングのバランスが崩れ、結果、作品全体のテ ンポも悪くなってしまう。撮影現場で、映画全体を完璧にイメージできているのは監 督だけなのだ。精密に練り上げられた撮影プランこそが、この無軌道でポップな活劇 を成功に導いたと言える。まだ2月だけど、'99年邦画ナンバー1決定って感じですナ。 [Written by 藤原タカシ] 『鮫肌男と桃尻女』はシネセゾン渋谷にて絶賛公開中です。 □OFFICIAL SITE http://www.tfc.co.jp/hiroba/SAMEHADA/ □MOVIE Watchの紹介ページ http://www.watch.impress.co.jp/movie/main/guide/samehada/samehada.htm [●☆●今週誕生の美女●☆●] ---------------------------------------------------------------------------- ◆リリ・テイラー◆ Lili Taylor [1967.2.20.生まれ] 悪役やチョイ役もこなしつつマイペースに中性的な魅力をふりまく彼女は、確かに怒 ると怖そう。でもにこやかな顔を見ると(役によっては滅多に見られないが)ホッと すると同時に得した気分に。『アディクション』('95 監督:アベル・フェラーラ 出 演:クリストファー・ウォーケン)の激しくも知的な演技は必見。 ▽その他オススメな出演作品 『恋のドッグ・ファイト』'91 監督:ナンシー・サボカ 出演:リバー・フェニックス 『アリゾナ・ドリーム』'93 監督:エミール・クストリッツァ 出演:ジョニー・デップ 『身代金』'96 監督:ロン・ハワード 出演:メル・ギブソン 『ショート・カッツ』'93 監督:ロバート・アルトマン 出演:ロバート・ダウニーJr. 『I SHOT ANDY WARHOL』'95 監督:メアリー・ハロン 出演:ジャレッド・ハリス ◆ドリュー・バリモア◆ Drew Barrymore [1975.2.22.生まれ] 『スクリーム』('97 監督:ウェス・クレイヴン 出演:ネーブ・キャンベル)の冒頭 で逃げ惑う彼女は『E.T.』('82 監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:ヘンリー ・トーマス)の少女。その後スティーブン・キングものなどホラー作品を経て『ドッ ペルゲンガー 憎悪の化身』('93 監督:アビ・ネッシャー 出演:ジョージ・ニュー バーン)では色香も匂う堂々の美女ぶりを発揮。それでもまだまだ今年で24歳。『ウ ェディング・シンガー』('98 監督:フランク・コラチ 出演:アダム・サンドラー)、 『エバー・アフター』(監督:アンディ・デナント 出演:アンジェリカ・ヒュースト ン)と新作も順次公開、エネルギー満点の笑顔が輝く旬な注目の女優。 ▽その他オススメな出演作品 『ガンクレイジー』'92 監督:タムラ・デイビス 出演:ジェームズ・ル・グロス 『バッド・ガールズ』'94 監督:ジョナサン・キャプラン 出演:マデリーン・ストウ 『ボーイズ・オン・ザ・サイド』'95 監督:ハーバート・ロス 出演:ウーピー・ゴールドバーグ 『世界中がアイ・ラヴ・ユー』'96 監督・出演:ウディ・アレン ▼MOVIE WatchのHP http://www.watch.impress.co.jp/movie/ ----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆---------------------------- ■『ユー・ガット・メール』は距離の話。そもそも恋愛は、距離で苦しんだり高揚し たりするから当たり前か。さあ春だ。街も活気づくころ。とりあえず犬と散歩。<古> ■『エバー・アフター』のドリュー・バリモア。あんなことやこんなことがあった過 去を微塵も感じさせない屈託のない笑顔に、ぜひとも弟子入りを志願したい。 <巴> ■トムとメグ、そしてノーラ・エフロン。この3人の間には、確かに"ケミストリー"が 存在する。創る歓びの発火作用を『ユー・ガット・メール』で楽しんでみて。 <冴> ▼問い合わせ先 ────────────────────────────── movie-watch-info@impress.co.jp :記事内容 ウォッチ編集部 ad-sales@impress.co.jp :広告関連 インプレス A&D sales@ips.co.jp :配信先等 インプレス販売 ▼購読中止・配信先変更 ────────────────────────── 下記のURLから、ポイントアップシステムのメンバーIDとパスワードを入力し、案 内にしたがって、中止・変更をしてください。なお、メンバーID等が不明なときは、 sales@ips.co.jpまでご連絡ください。 http://www.ips.co.jp/pointup/query.htm ────────────────────────────────────── 発行人 塚本慶一郎/編集人 井芹昌信 発行 株式会社インプレス 〒102-0075 東京都千代田区三番町20 編集:デラ・ジャパン株式会社(紺野美樹、服部弘一郎、唯洋樹、菊池朋子) Copyright(C) 1997-1999 Impress Corporation. MOVIE Watchに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます ──────────────────────────────────────