◆MOVIE Watch(毎週金曜日発行:無料) ─────―――──―────1999-1-8


☆今週のHEADLINE☆─────────────────────────────

●オススメ封切り情報
 『ファイヤーワークス』 あの大ヒット作の憎まれ役、ビリー・ゼーンの主演作
 『ロンゲストナイト』 ギャング同士の抗争に巻き込まれた悪徳刑事
 『出発』 '67年ベルリン映画祭グランプリ作が日本で初の正式公開
 ○公開作 CHECK 5本! 現在公開中の絶対に見逃せない5本
 『プライベート・ライアン』『パパラッチ』 ほか

●MOVIE PADDOCK 出走を待ちわびる新作情報(期待値%つき!)
 『菊次郎の夏』
  少年と中年男との珍道中を描いた、北野武監督最新作
 『スモーク・シグナルズ』
  '98年サンダンス映画祭・観客賞、東京国際映画祭・最優秀芸術貢献賞受賞作
  ほか

●映画4人衆
 『マイ・フレンド・メモリー』
  ありがちな話で泣いたって、恥ずかしくないでしょ

●TOPICS
 「大井武蔵野館」、1月末閉館 ほか

●興行成績ベストテン

●REVIEW
 『フェイス』 男たちを魅力的に撮る、アントニア・バードの力量に注目

●オススメVIDEO
 『L.A.コンフィデンシャル』
  一輪の花に燃える情熱と、鋼鉄の信念、はじける火花
 『スウィート・ヒアアフター』
  傷ついた心の「その後」を守るために
 ○CHECK 3本!

●Weeklyレンタルビデオランキング
  『タイタニック』を引きずりおろしたのはこのビデオだ!

●BS&CS今週の3本

●[NEW!]今週誕生の美女

●後記


                    [◆◆◆オススメ封切り情報◆◆◆]
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『ファイヤーワークス』   あの大ヒット作の憎まれ役、ビリー・ゼーンの主演作
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1月9日より公開 '96年/アメリカ/1時間40分 ◇監督:マイケル・オブロウィッツ
◇原作:ジム・トンプソン ◇出演:ビリー・ゼーン、ジーナ・ガーション、シェリ
ル・リー、ルー・マクラナハン、シーモア・カッセル ◇配給:日本ビクター
 ―銀座シネパトス 21:00(~22:40)

 『タイタニック』でローズを追い回すストーカー型婚約者を演じたビリー・ゼーン
が、女をたらし込んで財産を奪おうとする男を演じたサスペンス映画。あらゆる権威
やモラルに逆らい、自分の能力だけを過信して突き進む男の暴走と破滅をスリリング
に描いている。『ツイン・ピークス』のシェリル・リーが、愛欲の虜になる女警官を
熱演。原作は『ゲッタウェイ』『グリフターズ/詐欺師たち』のジム・トンプソンだ。

 □OFFICIAL SITE
  http://www.victor.co.jp/movie/fire/index.html
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『ロンゲストナイト』        ギャング同士の抗争に巻き込まれた悪徳刑事
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1月8日より公開 '97年/香港/1時間21分 ◇監督:パトリック・ヤウ ◇脚本:セ
ット・カムイェン、ヤウ・ナイホイ ◇出演:トニー・レオン、ラウ・チンワン、マ
ギー・シュウ、ルン・ファン、ロー・ホイパン ◇配給:オンリー・ハーツ
 ―俳優座トーキーナイト 21:45(~23:10)1/15・16 17:30/19:45/21:45(~23:10)

 『パラダイス』でデビューした、パトリック・ヤウの監督第2作目。ギャング組織
の勢力バランスが危ういマカオで、かろうじて維持されていた平和が音を立てて崩れ
去ろうとしていた。主人公の刑事は、知らず知らずのうちにギャング同士の抗争に巻
き込まれ、身動きのできない暗闇に追い落とされる。『裏町の聖者』で親友同士を演
じたトニー・レオンとラウ・チンワンが、血で血を洗う凄惨な殺し合いを演じる。
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『出発』         '67年ベルリン映画祭グランプリ作が日本で初の正式公開
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1月14日より公開 '67年/ベルギー/1時間30分 ◇監督・脚本:イェジー・スコリ
モフスキ ◇脚本:アンジェイ・コステンコ ◇出演:ジャン=ピエール・レオー、
カトリーヌ=イザベル・デュポール ◇配給:スタンス・カンパニー
 ―SPACE PART3 21:10(~22:55)

 '67年のベルリン国際映画祭金熊賞に輝きながら、日本では'72年にフィルムセンタ
ーで上映されただけの"幻の傑作"が、ついに劇場公開されることになった。レース出
場を夢見る少年が、ガールフレンドとふたりでポルシェを手に入れようと四苦八苦す
る物語。トリュフォーやゴダールの映画で等身大のヒーローを演じたジャン=ピエー
ル・レオーが、レース熱と恋の間で揺れ動く19歳の少年を好演している。
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○公開作 CHECK 5本!
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★=注目作 ★★=見て損はしない ★★★=これは必見! (未)=未見

今週は新作映画の封切りもお正月休みで、新規公開は上記3作のみ。そこで今回は、
現在公開中の映画から、絶対に見逃せない5本を選んで紹介してみようと思う。急げ
ばまだ間に合う。ビデオを待つなどと言わずに、映画館でこの感動を味わうのだ!

■『プライベート・ライアン』 全国東宝洋画系にて公開中 ★★★
黒澤明の弟子を自認するスピルバーグの戦争映画。戦闘シーンの演出は『七人の侍』
『影武者』『乱』などの黒澤時代劇から、たっぷりと栄養をもらっているようだ。ド
ラマの力強さも黒澤ゆずり。「スピルバーグには人間が描けない」という定説は嘘だ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.toho.co.jp/cinema/ryan/welcome-j.html

■『パパラッチ』 銀座シネパトスにて公開中 ★★★
故・伊丹十三監督の一連の作品は、単純明快なストーリーにハウツー本のような情報
性を盛り込んだことに人気の秘密があった。映画『パパラッチ』は、いわば伊丹映画
のフランス版。スキャンダル誌制作の裏側がばっちり見られる、社会派のコメディだ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.fujicreative.com/paparazzi/index.html

■『ぼくのバラ色の人生』 ル・シネマにて公開中 ★★★
女装癖のある男の子の心理をファンタジックに描いた異色ホームドラマ。「自分はな
ぜ他人と違うのか?」という疑問と格闘する主人公の姿が、とにかく健気で可愛いの
だ。ヒット作『ポネット』の少女も可愛かったが、こちらはそれ以上だと断言できる。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.gaga.co.jp/movie/bokubara1.html

■『CUBE』 1月14日までキネカ大森にて公開中 ★★★
シネ・ヴィヴァン・六本木を連日満員にして、単館系では予想外の大ヒットとなった
カナダ映画。せまいキューブの中に閉じ込められた6人の男女が、互いのエゴをぶつ
けながらも力を合わせて脱出を目指す。最後に誰が生き残るか、予想できない面白さ。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.cubethemovie.com/

■『ラブ&デス』 1月14日までシネスイッチ銀座にて公開中 ★★★
堅物の英国人作家が、映画で見たアメリカの男性アイドル俳優に一目惚れ。ダンディ
な英国紳士役のジョン・ハートが、慣れない手つきでビデオを見たり、いそいそと雑
誌をスクラップする姿にゲラゲラ笑っているうちに、最後はホロリとさせられる。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.iijnet.or.jp/ASMIK/M/Ace/1998/LoveDeath/index.html
                           [Written by 服部弘一郎]

                        [◆◆◆MOVIE PADDOCK◆◆◆]
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            出走を待ちわびる新作情報を、
            期待値%つきでお届けします!
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■『菊次郎の夏』
'99年初夏/全国松竹・東急洋画系(期待値80%)
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明日から楽しい夏休みだというのに、正男(関口雄介)には宿題を見てくれたり、ど
こかに連れていってくれる人もいない。たったひとりの家族であるおばあちゃんは仕
事で忙しい。そこで正男は、写真でしか見たことのないお母さんに会いにいくため、
家を飛び出すのだが……。ひょんなことから、正男を母親の元に送り届ける役目を引
き受けてしまった中年の男(ビートたけし)と正男との珍道中を描いた、北野武監督
最新作。
 □OFFICIAL SITE
  http://www.office-kitano.co.jp/contents/MOVIE/mov8.html
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■『スモーク・シグナルズ』
'99年3月下旬/恵比寿ガーデンシネマ(80%)
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22歳のビクターは、10年前に母と自分を捨てた父を憎んでいた。そんなある日、父の
死の知らせを受けて、遺灰を引き取るために幼なじみのトーマスと生まれて初めての
旅に出た彼は、家に帰りたくても帰れなかった父の秘密を知り……。アメリカのベス
トセラー作家、シャーマン・アレクシーの原作を28歳のクリス・エア監督が映画化。
'98年サンダンス映画祭・観客賞、東京国際映画祭・最優秀芸術貢献賞受賞作。
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■『ホームドラマ』
'99年3月下旬/ユーロスペース(70%)
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一見、理想的で平和な家庭に、父親が1匹の"ペット"用のネズミを持ち帰った。その
日から、家族が何かに取り憑かれたような行動をとり始め……。'98年カンヌ国際映
画祭批評家週間に出品された、フランスの新星、フランソワ・オゾン監督作品。


                        [◆◆◆映画4人衆◆◆◆]
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『マイ・フレンド・メモリー』
 ありがちな話で泣いたって、恥ずかしくないでしょ
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 「感動作」か「コメディ」か。この映画のように、話としてはありがちな作品の場
合、一歩間違えれば……という危険が常につきまとう。語り部として主人公に過去を
振り返らせるこのタイプの作品で重要なのは、語り部の、話に対する距離と解釈だ。
距離によって物語がクドくも薄くもなるし、解釈がなければ物語の中で迷子になって
しまう。この映画が嫌味のない作品に仕上がったのは、主人公の語りが、その意味で
ある程度成功しているからだろう。そして、観る者にはちゃんと涙も用意されている。
文字どおり「感動作」の王道を行っている趣があるのだ。
 しかしこの映画、実はもう一方で、感動作としては大変危ういことをしている(私
が称賛したいのは正にそこなのだが)。それは、肩車。巨漢の学習障害児である主人
公が、難病で身体の不自由な親友を肩車する。一緒のときは常に肩車状態。一見、不
自然で不格好でコミカルな姿が、2人の関係性を見たままの形で私たちに語りかける。
不自然で不格好でコミカルな姿だけれど、だからこそ、2人はそれでイイのだという
具合。主人公は、友人から読書を教わり、生きる姿勢を学ぶ。友人の身体になって、
いつも肩車で街を歩くようになる。やがて友人の死に直面し、人として避けることの
できない永久の別れを知り、そして、友人が生きた証しを、2人の物語を書くことで
形にするのである。
 互いの必要性で結ばれた少年たちを描いた物語としては、文句のないラストだ。私
たちは、あの不自然で不格好で、ひとつ間違えればコメディになりかねない肩車の場
面に導かれ、最後にはやっぱり泣かされてしまう。涙の陰に肩車の場面あり。おそら
くその場面の危うさを覚悟で撮り、畳み掛けてみせた監督の勇気に拍手を送りたい。
                           [Written by 古山 慶]

                        (満点は★5つ/半は★半分)
■凸凹な2人の関係性は非常に理想的。凹凹でも凸凸でもダメ。不自然でブ格好で、
感情も何もかもが凸凹の2人だからこそ真に理解し合える不思議。  ★★★☆☆<古>

■誰かに感情移入することもなく、高潔な少年君主のアーサー王の夢に客席からつき
合い、ふとした優しさをマックスと共に味わい、で涙。音楽最高。 ★★★★☆<唯>

■幼い頃の冒険を思い出す。スティングの歌といい、アーサー王の物語といい、丹念
にひと針ひと針編まれたような作品は、涙の後に元気をくれる。  ★★★★半<巴>

■意図的なドラマ作りとは一線を画し、静かな時間の流れを感じさせる展開がいい。
それでいて、印象的なカットが心にバシッと切り込んでくる巧みさ。★★★半☆<冴>

 □OFFICIAL SITE
  http://www.shochiku.co.jp/shochikufuji/mighty/index.html

                            [◆◆◆TOPICS◆◆◆]
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★「大井武蔵野館」、1月末閉館
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1948年に開業し、1982年から名画座として多くの映画ファンに親しまれてきた東京都
品川区の「大井武蔵野館」が、1月末をもって閉館することになった。現在上映中の
「1999年新春スペシャル~世紀末に甦る、懐かしのヒーロー/多羅尾伴内=七つの顔
を持つ男」に次いで、17日(日)から、「ジャパニーズ・ラスト・ヒーロー/三船敏
郎」と題し、『或る剣豪の生涯』('59年)、『戦国群盗伝』('59年)などの12作品
を紹介。レイトショーでは『東京の休日』('58年)、『結婚の夜』('59年)などの
上映を予定している。

 □「大井武蔵野館」上映スケジュール
  http://www.werde.com/movie/old/musashino.html
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★『二十四の瞳』の木下恵介監督、死去
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映画監督で文化功労者の木下恵介(きのした・けいすけ)氏が、昨年12月30日午前3
時10分、脳こうそくのため東京都港区麻布狸穴町の自宅で死去した。享年86歳。静岡
県浜松市生まれの同監督は、1943年の『花咲く港』で監督デビュー。'51年には日本
初の長編カラー作品『カルメン故郷に帰る』を手がけ、'54年の『二十四の瞳』でそ
の名声を不動のものにした。代表作に『喜びも悲しみも幾年月』('57年)、『楢山
節考』('58年)などがある。葬儀・告別式は1月8日正午から、東京都中央区の築地
本願寺で予定されている。
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★『アウト・オブ・サイト』、全米映画批評家協会、作品賞受賞
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3日(現地時間)に発表された全米映画批評家協会賞で、スティーブン・ソダーバー
グ監督の『アウト・オブ・サイト』が作品賞を受賞した。同作品はまた、監督賞(ス
ティーブン・ソーダーバーグ)と脚本賞(スコット・フランク)も受賞している。
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★全米興行収入、"Patch Adams"が首位
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年明け最初の全米興行収入は、ロビン・ウィリアムズ主演のコメディー作品 "Patch
Adams"が首位。2位には、スーザン・サランドン、ジュリア・ロバーツ共演による
"Stepmom"、3位には、"You've Got Mail"(『ユー・ガット・メール』)がつけた。

 □"Patch Adams" OFFICIAL SITE
  http://www.patchadams.com/
 □"Stepmom" OFFICIAL SITE
  http://www.spe.sony.com/movies/stepmom/index.html

           [◆◆◆興行成績ベストテン◆◆◆]
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  1999年最初の興行成績ベストテンは、『アルマゲドン』の首位で明けた。
  2位はお正月ならでは、『花のお江戸の釣りバカ日誌』、3位は米国の世論
  調査会社による「最も人気のある映画俳優」の調査で、見事1998年の第1
  位に輝いたハリソン・フォード主演の『6デイズ/7ナイツ』。
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  【配収】
 1 →( 1)アルマゲドン                ( 4週)
 2 ↑( 4)花のお江戸の釣りバカ日誌          ( 2週)
 3 →( 3)6デイズ/7ナイツ              ( 3週)
 4 ↓( 2)ジョー・ブラックをよろしく         ( 3週)
 5 ↑( 7)踊る大捜査線/THE MOVIE           (10週)
 6 ↓( 5)ドクター・ドリトル             ( 3週)
 7 ↑( 8)マイ・フレンド・メモリー          ( 2週)
 8 ↓( 6)ロスト・イン・スペース           ( 4週)
 9 →( 9)Xファイル/ザ・ムービー           ( 5週)
 10 ↑(11)モスラ3/キングギドラ来襲          ( 4週)

 興行通信社調べ1999/1/2~1999/1/3(銀座・新宿・渋谷3地区代表館集計)

              [◆◆◆REVIEW◆◆◆]
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『フェイス』
 男たちを魅力的に撮る、アントニア・バードの力量に注目
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  ロバート・カーライル演じるレイを中心とした武装強盗団は、造幣工場に押し入り
多額の現金を強奪する。ところが予定外に金は少なかった。まっさらな紙幣を目の前
にした時から彼らの計画は狂い始め、男たちを取り持つ絆が崩れていく……。
  今回のロバート・カーライルは渋い。皮の手袋をして深々と煙草を吸う姿には、
『フル・モンティ』('97)でパンツを脱ぐ決心をする前の、弱気な面影などまった
く見られない。髪をなでつけて黒づくめの格好でキメ、危険を省みなければいくらで
も金を手に入れることのできる男(それでも気のイイ兄貴ぶりは残っていたが)。今
回こそ、誰もが彼を器用で隅々にまで神経を行き届かせることのできる、希有な演技
力の持ち主だと認めることだろう。タイトルどおり劇中ずっと表情を捕らえられ、少
しも動じないのだから。
  『フェイス』は、アントニア・バードという女性監督の描いた犯罪映画。前作『司
祭』('94)では、近親相姦、同性愛というタブーを描いてその力量をみせたが、彼
女の魅力はその大胆さだけではなく、ライナス・ローチを美しく撮ったことにもある
んじゃないか、と考えていた。本作でも、ラストの銃撃戦に見られる派手さよりも、
俳優陣の撮られ方を見ていきたい。ロバート・カーライル演じるレイはもちろんのこ
と、彼を囲む男たちそれぞれが、イチイチ魅力ある人物に見える。グループの中でも
年配者のジュリアンが口にする、「犯罪映画は犯罪者をアップにしないんだ。」とい
うセリフを拭い去るように、『フェイス』に登場する犯罪者は人柄を描かれ、アップ
にされ、その趣味嗜好までこと細かに描写されていくのである。後半ブチ切れてしま
う男たちを微笑ましく思うその陰には、彼らの"フェイス"を繊細に撮り続ける、アン
トニア・バードの力がしっとりと張りめぐらされているのだということを忘れないで
ほしい。                       [Written by 長谷川未来]

-------------------------[◆◆◆オススメVIDEO◆◆◆]------------------------
       年初号を飾るべく、昨年のアカデミー賞受賞・ノ
       ミネート作品が2本登場、もちろんオススメです。
       激しく、あるいは静かに心を温めてくれる逸品。
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『L.A.コンフィデンシャル』 一輪の花に燃える情熱と、鋼鉄の信念、はじける火花
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【データ】
'97年/米/2時間18分(1/20発売:日本ヘラルド映画)
監督:カーティス・ハンソン 出演:ケビン・スペイシー,ラッセル・クロウ,ガイ・ピ
アース,キム・ベイシンガー,ジェイムズ・クロムウェル

 知的でお堅い、正義を絵に描いたような男と、いかにも血の気が多そうで要領もい
い男。ふたりの刑事が組んだときから音を立ててきしみ始める犯罪の城。警官殺しの
捜査から浮上する高級娼館、謎の女……。謎解きも一流のサスペンスながら、それぞ
れの男たちの自己流捜査と勝手な行動がなんともカッコいい硬派エンタテインメント。
アカデミー最優秀脚色賞と最優秀助演女優賞(キム・ベイシンガー)受賞。
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『スウィート・ヒアアフター』 傷ついた心の「その後」を守るために
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【データ】
'97年/カナダ/1時間50分(1/20発売:ポニーキャニオン)
監督:アトム・エゴヤン 出演:イアン・ホルム,サラ・ポーリー

 『エキゾチカ』の天才監督による、アカデミー賞(監督賞・脚色賞)にもノミネー
トされた作品。ある事件によって悲しみに沈む町。訪れるひとりの弁護士。人々の告
白とともによみがえる、冬の湖に沈んだスクールバスの悲劇。ただひとり生き残った
少女が、自分自身の心の傷と街の人々の癒しをめぐり、招かれざる弁護士に静かに対
岐する。「ハンメルンの笛吹き」の一節を挿入しながら、寓話のような浮遊感と生々
しい現実とが交錯していく、哀しさと救いの狭間に揺れる現代のおとぎ話。
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○CHECK 3本!
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■『悪魔を憐れむ歌』2時間4分/米(1/15発売:ワーナー・ホーム・ビデオ)
殺人犯は死刑となった。しかし猟奇殺人が再び……なぜか死刑囚の歌っていた『Time
 is on my side』が響く……。
監督:グレゴリー・ホブリット 出演:デンゼル・ワシントン,ドナルド・サザーランド

■『ハミルトン』2時間6分/米(1/15発売:クロックワークス)
消えた核ミサイルの行方を追い、特殊部隊がテロリストと対決するサスペンスアクシ
ョン。悪役に『スターウォーズ』のマーク・ハミルが。
監督:ハラルド・ツァート 出演:ピーター・ストーメア,レナ・オリン,マーク・ハミル

■『カジノ・ヒート』1時間30分/米(1/20発売:コムストック,ポニーキャニオン)
強盗の濡れ衣を着せられた、出所直後の男。ベガスのカジノ王の仕業だと気づいた彼
は……。豪華俳優共演のサスペンスフル・ドラマ。
監督:シドニー・J・フューリー 出演:ピーター・ウェラー,デニス・ホッパー,ティア
・カレル,ピーター・コヨーテ,ケイリー・ヒロユキ・タガワ
                           [Written by 唯よーじゅ]

     [◆◆◆Weeklyレンタルビデオランキング◆◆◆]  98年12月27日~1月2日
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       レンタルビデオ全国総合ランキング(字幕+吹替え版)
          ♪♪♪レンタル前に要チェック!♪♪♪   【TSUTAYA調べ】
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【 1】(初)ディープインパクト               CIC・ビクタービデオ
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【 2】(1)タイタニック          フォックス ホーム エンターテイメント
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【 3】(初)GODZILLA(ゴジラ)                      東宝
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【 4】(3)リーサル・ウェポン 4                   アスミック
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【 5】(初)スクリーム 2         ブエナビスタホームエンターテイメント
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【 6】(4)ジャッカル                           東宝
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【 7】(5)追跡者                     ワーナーホームビデオ
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【 8】(6)レインメーカー                 レントラックジャパン
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【 9】(-)エイリアン 4          フォックス ホーム エンターテイメント
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【10】(7)スターシップ・トゥルーパーズ   ブエナビスタホームエンターテイメント
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*このランキングは全国の「TSUTAYA」980店舗のデータにより集計されてます。
()内は前回のランキング
                          □TSUTAYAのホームページ:http://www.tsutaya.co.jp/

            [◆◆◆BS&CS今週の3本◆◆◆]
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 1/9(土)『ナバロンの要塞』 NHK衛星第2(22:00~)
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第二次大戦中、連合軍は同胞救出のため、独軍制圧下にあるエーゲ海の小島ナバロン
に据えられた巨砲爆破計画を立てた。作戦のために集められた、6人の特殊部隊の活
躍を描いた戦争巨編。J・リー・トンプソン監督のダイナミックな演出が、映画全体
のテンションを上げている。何度観ても楽しめる作品。
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 1/10(日)『チェンバー 凍った絆』 WOWOW(午後12:55~)
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'60年代、公民権運動に絡んだ爆破テロ事件の犯人として死刑判決を受けた、白人至
上主義者の祖父をもつ若手弁護士のアダム。彼は、祖父の刑の執行停止を求めて真相
を探るうちに、その事件には多くの謎が残されていることに気付く。おなじみ、ジョ
ン・グリシャム原作のミステリー。
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 1/13(水)『ザ・フォッグ』 スター・チャンネル(19:00~)
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小さな港町の100年祭の夜、100年前に難破した船の乗組員たちの亡霊が住民を襲う。
その背後には隠された理由があったのだが……。低予算の映画なら絶対ハズさない監
督、ジョン・カーペンターの作品。霧が街に立ちこめるときに流れる印象的な音楽は
監督本人の作曲。その曲が、これまた恐い。

            [●☆●今週誕生の美女●☆●]
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 ともに1月14日生まれのふたりは、それぞれ(『チャンプ』、『ボクサー』で)元
ボクサーの主人公と共演。演技の重量感もどことなく共通点があったり。

◆フェイ・ダナウェイ◆ Faye Dunaway [1941.1.14.生まれ]
32年前の作品『俺たちに明日はない』('67 監督:アーサー・ペン 出演:ウォーレン
・ビーティ)のボニー役で、永遠に色あせることのない鮮烈な存在感を見せた。舞台
出身ゆえか否か演技派の味のある魅力でこれまたシブイ作品群でも活躍。
▽その他主な出演作品
『タワーリング・インフェルノ』'74
 監督:ジョン・ギラーミン 出演:ポール・ニューマン
『チャイナタウン』'74
 監督:ロマン・ポランスキー 出演:ジャック・ニコルソン
『チャンプ』'79
 監督:フランコ・ゼフィレッリ 出演:ジョン・ボイト
『アリゾナ・ドリーム』'93
 監督:エミール・クストリッツァ 出演:ジョニー・デップ
『アルビノ・アリゲーター』'96
 監督:ケビン・スペイシー 出演:マット・ディロン

◆エミリー・ワトソン◆ Emily Watson [1967.1.14.生まれ]
その『俺たち~』の年に生まれた、同じ誕生日のエミリー・ワトソン、『奇跡の海』
('96 監督:ラース・フォントリア 出演:ステラン・スカルスゲート)でやはり強烈
な演技でもってデビュー。激しい感情の変遷とともに見せた無垢な笑顔が忘れられな
い魅力。
▽その他主な出演作品
『ボクサー』'97
 監督:ジム・シェリダン 出演:ダニエル・デイ・ルイス
                          [Written by 唯よーじゅ]

▼MOVIE WatchのHP
 http://www.watch.impress.co.jp/movie/
----------------------------◆◆◆ 後記 ◆◆◆----------------------------
■元日の映画の日は最初立川に行くつもりが、時間を外してしまって結局新宿で2本
ハシゴしました。リニューアル完了したジョイシネマ2はほんとにキレイ。   <唯>

■『ラスト・ゲーム』にて。スパイクの撮ったバスケシーンに愛情がこもっているの
は明らか。デンゼル・ワシントンの格好良さに改めて惚れなおした。     <巴>

■年の変わり目を感じるか否かは、その人の意識と置かれた状況にかかっているよう
な……。元旦に見上げた空の清々しさを心に刻んで、今年1年がスタート。   <冴>

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